absorption 3話
3話
バルタンの生み出した融合生物「エヌピー」
実験室を飛び出し、次元を滑るように移動し最初の目的「ウルトラマン」の元に現れた。
「オマエモ・・・イッショニ・・・・」謎の言葉を放ち、その言葉通りにウルトラマンを自らの体で包み込み、体内へと飲み込んでしまったのだ。
そして、真っ白だった体にカラータイマーが現れ、体に幾分か筋肉がついたようにも見えた。
しばらくは月面に立ち尽くし、動きのなかったエヌピーだったが、不意に動き出したかと思うと次元に滑り込むように入り込みどこへともなく消えてしまった・・・体内に飲み込んだウルトラマンと共に・・・。
その頃、火星周辺をパトロールしていたウルトラマンジャック。
彼もまたウルトラマン同様に宇宙の平和の維持のために尽力していたのだ。
火星に降り立ち一休みをしていたところだった。
不意に感じた違和感に注意を向けていたところ・・・・・
ヌゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ・・・・
ジャック「・・?!・・な、なんだ!」
エヌピー「ヴヴヴヴ・・ジャック・・・・オマエモ・・・・・」
ジャック「何?どういうことだ?」
以前よりも知能が増したのか、ジャックに話しかけ勢いをつけて走っていく。
その移動の仕方も徐々に無駄のない動きになりつつあった。
ジャック「何者かわからないが、挑んでくるのなら問答無用!これをくらえ!!」
エヌピー「ヴヴヴヴヴヴヴ・・・・・・」
ジャックの言葉にも耳を貸さず突進し続ける白の化け物。
ジャック「ストップ光線!」
両手の間から放たれた光がエヌピーに命中する!
その瞬間、わき目も振らずに進んでいたエヌピーの体が停止したのだ。
ジャック「よし、今がチャンス!・・・?!・・・・」
ストップ光線で狙い通りにエヌピーの動きを止め、攻撃に移ろうと思った瞬間、思わぬ反撃を受けてしまったのだ。
ジャック「(体が・・・動かない・・・・?!・・・これは・・ストップ光線なのか)」
本来、動きの止まった敵が反撃できるはずがなかった。
光線が命中したことで油断したのかもしれない。
エヌピーがカウンターで放ったストップ光線をまともに受けてしまったのだ。
ジャック「・・・・・?!・・・はぁ・・はぁ・・はぁ・・・・・」
エヌピー「・・・・・・・・・・・・・・・・ヴヴヴヴヴヴ・・・・」
カウンターとは言え、未熟なストップ光線だったため、一瞬早くジャックの方が硬直から解放されていた。
肩で息をしながらも、距離をとるジャック。
カウンターで放った光線の効果を悟ったエヌピーはうなり声を上げながらストップ光線を全身のいたるところから光弾として放ち始めた。
ジャックは光線をよけるのが必死で反撃の余地などなかった。
そんな戦いも長くは続かず、光線がついにジャックの体にも着弾し始めてしまった。
ジャック「しまっ・・・・(まずい・・・一方的に動きを止められてしまった)」
着弾してからは一定間隔でストップ光線が放たれジャックは動きを止められ続けた。
未熟なストップ光線でも十分な脅威となった瞬間だった。
ジャック「(このままでは・・・エネルギーがもたない・・・・)」
そんな死の予感が頭をよぎったジャックの目の前でエヌピーは予想外な動きをし始めた。
両腕をクロスさせて体を回転させ始めたのだ。
そう・・・ウルトラマンが得意とする技にそっくりな動きをしているのだ。
ジャック「(何故、あいつがキャッチリングを?!)」
未だ動かない体で目の前の現象に困惑してしまう。
回転する白い化け物の体の回りには光とは違う輪が3つ生じふわふわと浮かんでいる。
そして、輪が空中に投げ出されるとジャックの体に狙いを定めたかのようにゆっくりと下降してくる。
ジャック「・・・・・くはぁっ・・はぁ・・・はぁ・・・」
エヌピー「ヴヴヴヴヴヴ・・・・・ヴヴヴヴヴヴ・・・ヴッ!」
ジャック「・・?!・・ぐわぁぁぁぁぁぁぁっ・・・・くる・・し・・いっ・・・・」
リングが3本共ジャックの周囲を浮遊したところでストップ光線の効果が切れた。
しかし、時はすでに遅く、ジャックの体はリングの効果範囲に封じられていた。
エヌピーの掛け声に合わせて光速で絞まるリング。
ジャックは両手を体に沿わせ、両膝、腹部、両肘の部分で拘束されてしまった。
その締め上げる力は相当なもので、骨が軋む音が今にも聞こえそうなほどだった。
ジャック「んぐわぁぁぁぁぁぁっ・・・ぐっ・・・」
エヌピー「ヴヴヴヴヴヴ・・・ジャック・・・・オマエモ・・・イッショ・・・」
ジャック「お前・・・も・・だとっ・・・・・がぁぁぁっ・・・・どういう・・・ことだ・・・」
エヌピー「ヴヴヴヴヴ・・・・」
ジャックの体を締め上げるリングはエヌピーの肉片で出来ていた。
その忌まわしきリングは締め上げると同時に体に付着し、広がり始めていた。
徐々に徐々にジャックの体を侵食し、3箇所の拘束箇所から表面を包み込んでいく。
空中に浮かびモゴモゴともがくことしか出来ないジャックの体は瞬く間に肉片に覆い尽くされウルトラマンの時と同じ悪夢が再現されようとしていた・・・。
エヌピーの前には顔だけが残されたジャックが悶絶を続けているのだ。
ジャック「か、体が・・・ぐっ・・・ぐわぁぁぁぁっ・・・・」
表面は肉片に覆われているものの、その皮下では締め付けが尚も続いておりジャックには地獄の時間だった。
そして、その悲鳴をBGMにしてゆらりゆらりと歩み寄るエヌピー。
あまりのダメージに瞳が明滅するジャック・・・そして、ついに最期の時が訪れた。
苦しむ光の国の戦士の頬を優しく包み、口付けをするエヌピー。
その接触した口を介して肉片が獲物の顔を多い尽くしていく。
ジャック「んごっ・・んんっ・・・んっ・・・・・・・・っ・・・・・・・・・・・・」
消耗しきった体では抵抗する力も残っておらず、容易く手中に収められてしまう光の戦士。
そして、完全な肉の塊になり蠢いたかと思うと、再び人の形をとったエヌピー。
その胸にはタイマーが2つ輝いていた。
体つきは確実に筋肉が増していき、両手首には金色に輝くブレスレットが装着されていた。
その頃・・・・
聞きなれた声「・・ック・・・ジャック・・・・ジャック!しっかりしろ!」
ジャック「・・・んっ・・・んんっ・・・・」
聞きなれた声「ジャック?!・・・よかった・・目が覚めたか・・・」
ジャック「こ、ここは・・・?!・・・・兄さん、その姿は・・一体・・・」
兄弟の必殺技に苦しめられつい先ほど、謎の敵に飲み込まれてしまったばかりだった。
聞きなれた声に呼び覚まされ、意識を失っていたジャックは目を覚ました。
ジャックが目にしたのは驚愕の光景だった。
ジャック「こ、これは・・・一体・・・・・」
マン「ここはあの化け物の体内だ・・・」
ジャック「・・では、わたしたちはやはり取り込まれてしまったのですね」
マン「あぁ・・・名前はエヌピーと言うらしい」
ジャック「どこでそれを?」
マン「そこを見るんだ・・・」
ジャック「こ、これは・・・バルタン星人?!・・・」
マン「あぁ・・1人目の被害者、そしてエヌピーの生みの親だそうだ」
ジャック「そ、そんな・・・くそっ、とれない!」
敵の名前、自分が置かれた状況・・・ウルトラマンから話を聞きながら少しずつ冷静になっていくジャック。
手足が肉の壁に飲み込まれており引き抜こうにも一体化でもしたかのように抜ける気配がない。肉の壁が柔らかいため、引っ張ると多少は動くものの、そのまま引き戻されてしまう。
ジャックにはまだ四肢にも残された部分があるのだが、隣にいるウルトラマンは腕や脚の付け根までが肉の壁に埋没し動かすことが出来るのは首から上だけであった。
脈動する不気味な空間には奥にある巨大な塊と石版の様にされたバルタン星人、そして捕まったウルトラマンとジャックだけが存在していた。
奥で脈動する肉の塊は壁とは違い一際激しく動いており、そこにはどこかで見たような記憶のかなたにある・・そんなものが見え隠れしていた。
マン「バルタンはブルトン、アメーザ、イフの3つを融合し、生物兵器を作るつもりだったようだ」
ジャック「・・・?!・・・じゃあ、まさかのあの塊・・・」
マン「あぁ、どうやら怪獣たちはあそこで一塊になっているようだ」
ジャック「な、何故、わたしたちはここに・・・?」
マン「それは、バルタン・・こいつの執念が原因だろう・・・おまえも聞いただろう?」
ジャック「・・・?!・・・オマエモ・・イッショ・・・あれはそういう意味なのか!」
マン「あぁ・・・そして、バルタンは全ての真相を話し、この姿になったんだ」
ジャック「くそっ・・・なんとかここを脱出しないと・・」
二人が脱出のために頭を悩ませている頃、エヌピーは確実増えつつある頭脳で次の獲物を狩に行く前に必要な「物」を取りにいっていた。
ウルトラ戦士でさえも簡単に取り込める彼に狙われた獲物は逃げることは出来なかった。
あるものは栄養分として・・・あるものは丈夫な体を狙われ・・・・そして・・・・。
マン「・・・?!・・・な、なんだ・・」
ジャック「心臓部が蠢いている・・・」
マン「あ、あれは・・・」
ジャック「サータン?!・・・」
エヌピーは能力を奪うために特殊な怪獣たちもターゲットにしているようだった。
ジャックと戦ったこともあるサータンには体を透明にする能力がある。
地球で戦った時にはジャックも苦戦を強いられた能力の1つであり、それが今、エヌピーの物になってしまうことが二人には恐怖だった。
ジャック「この上・・姿まで見えなくなるのか・・・・」
マン「な、なんとかしてセブンたちに知らせないと・・」
蠢く心臓の機能を担う肉の塊にサータンが加わり、より禍々しく・より強力な脈動を始めた。
この空間で変化が訪れたのは心臓だけではなかった。
ジャック「なっ・・・兄さん、そ、それは・・・?!」
マン「・・・最初はジャック・・お前の様に四肢の一部だけ・・・そして」
ジャック「・・?!・・・くそっ、飲み込まれていっているのか・・」
マン「付け根まで取り込まれると、今度は薄い膜が侵食してくるんだ」
ジャック「・・・?・・・」
マン「そして、膜が体の全てを覆い尽くすと・・・」
ジャック「ま、まさか・・・」
マン「あぁ・・・バルタンのように石化してしまう仕組みのようだ」
ジャック「ま、まだ時間はあります!諦めないで打開策を見出しましょう!」
マン「そ、そうだな・・・」
不安と恐怖に瞳の光に陰りが見えるウルトラマンを必死に励ますジャック。
しかし、そんなジャックも四肢の付け根が飲み込まれつつあり、確実に石化への末路を辿っていることに焦りを感じていた。
バルタンが石になる瞬間を見ていたウルトラマンの心は恐怖に染められ、心は暗く沈み始めていた。精神状態に反応してなのか、肉の壁から出ているウルトラマンの四肢の末端から徐々に半透明な膜が体を覆い始めていた。ゆっくり舐めるようにじっくりと・・・。
バルタンの生み出した融合生物「エヌピー」
実験室を飛び出し、次元を滑るように移動し最初の目的「ウルトラマン」の元に現れた。
「オマエモ・・・イッショニ・・・・」謎の言葉を放ち、その言葉通りにウルトラマンを自らの体で包み込み、体内へと飲み込んでしまったのだ。
そして、真っ白だった体にカラータイマーが現れ、体に幾分か筋肉がついたようにも見えた。
しばらくは月面に立ち尽くし、動きのなかったエヌピーだったが、不意に動き出したかと思うと次元に滑り込むように入り込みどこへともなく消えてしまった・・・体内に飲み込んだウルトラマンと共に・・・。
その頃、火星周辺をパトロールしていたウルトラマンジャック。
彼もまたウルトラマン同様に宇宙の平和の維持のために尽力していたのだ。
火星に降り立ち一休みをしていたところだった。
不意に感じた違和感に注意を向けていたところ・・・・・
ヌゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ・・・・
ジャック「・・?!・・な、なんだ!」
エヌピー「ヴヴヴヴ・・ジャック・・・・オマエモ・・・・・」
ジャック「何?どういうことだ?」
以前よりも知能が増したのか、ジャックに話しかけ勢いをつけて走っていく。
その移動の仕方も徐々に無駄のない動きになりつつあった。
ジャック「何者かわからないが、挑んでくるのなら問答無用!これをくらえ!!」
エヌピー「ヴヴヴヴヴヴヴ・・・・・・」
ジャックの言葉にも耳を貸さず突進し続ける白の化け物。
ジャック「ストップ光線!」
両手の間から放たれた光がエヌピーに命中する!
その瞬間、わき目も振らずに進んでいたエヌピーの体が停止したのだ。
ジャック「よし、今がチャンス!・・・?!・・・・」
ストップ光線で狙い通りにエヌピーの動きを止め、攻撃に移ろうと思った瞬間、思わぬ反撃を受けてしまったのだ。
ジャック「(体が・・・動かない・・・・?!・・・これは・・ストップ光線なのか)」
本来、動きの止まった敵が反撃できるはずがなかった。
光線が命中したことで油断したのかもしれない。
エヌピーがカウンターで放ったストップ光線をまともに受けてしまったのだ。
ジャック「・・・・・?!・・・はぁ・・はぁ・・はぁ・・・・・」
エヌピー「・・・・・・・・・・・・・・・・ヴヴヴヴヴヴ・・・・」
カウンターとは言え、未熟なストップ光線だったため、一瞬早くジャックの方が硬直から解放されていた。
肩で息をしながらも、距離をとるジャック。
カウンターで放った光線の効果を悟ったエヌピーはうなり声を上げながらストップ光線を全身のいたるところから光弾として放ち始めた。
ジャックは光線をよけるのが必死で反撃の余地などなかった。
そんな戦いも長くは続かず、光線がついにジャックの体にも着弾し始めてしまった。
ジャック「しまっ・・・・(まずい・・・一方的に動きを止められてしまった)」
着弾してからは一定間隔でストップ光線が放たれジャックは動きを止められ続けた。
未熟なストップ光線でも十分な脅威となった瞬間だった。
ジャック「(このままでは・・・エネルギーがもたない・・・・)」
そんな死の予感が頭をよぎったジャックの目の前でエヌピーは予想外な動きをし始めた。
両腕をクロスさせて体を回転させ始めたのだ。
そう・・・ウルトラマンが得意とする技にそっくりな動きをしているのだ。
ジャック「(何故、あいつがキャッチリングを?!)」
未だ動かない体で目の前の現象に困惑してしまう。
回転する白い化け物の体の回りには光とは違う輪が3つ生じふわふわと浮かんでいる。
そして、輪が空中に投げ出されるとジャックの体に狙いを定めたかのようにゆっくりと下降してくる。
ジャック「・・・・・くはぁっ・・はぁ・・・はぁ・・・」
エヌピー「ヴヴヴヴヴヴ・・・・・ヴヴヴヴヴヴ・・・ヴッ!」
ジャック「・・?!・・ぐわぁぁぁぁぁぁぁっ・・・・くる・・し・・いっ・・・・」
リングが3本共ジャックの周囲を浮遊したところでストップ光線の効果が切れた。
しかし、時はすでに遅く、ジャックの体はリングの効果範囲に封じられていた。
エヌピーの掛け声に合わせて光速で絞まるリング。
ジャックは両手を体に沿わせ、両膝、腹部、両肘の部分で拘束されてしまった。
その締め上げる力は相当なもので、骨が軋む音が今にも聞こえそうなほどだった。
ジャック「んぐわぁぁぁぁぁぁっ・・・ぐっ・・・」
エヌピー「ヴヴヴヴヴヴ・・・ジャック・・・・オマエモ・・・イッショ・・・」
ジャック「お前・・・も・・だとっ・・・・・がぁぁぁっ・・・・どういう・・・ことだ・・・」
エヌピー「ヴヴヴヴヴ・・・・」
ジャックの体を締め上げるリングはエヌピーの肉片で出来ていた。
その忌まわしきリングは締め上げると同時に体に付着し、広がり始めていた。
徐々に徐々にジャックの体を侵食し、3箇所の拘束箇所から表面を包み込んでいく。
空中に浮かびモゴモゴともがくことしか出来ないジャックの体は瞬く間に肉片に覆い尽くされウルトラマンの時と同じ悪夢が再現されようとしていた・・・。
エヌピーの前には顔だけが残されたジャックが悶絶を続けているのだ。
ジャック「か、体が・・・ぐっ・・・ぐわぁぁぁぁっ・・・・」
表面は肉片に覆われているものの、その皮下では締め付けが尚も続いておりジャックには地獄の時間だった。
そして、その悲鳴をBGMにしてゆらりゆらりと歩み寄るエヌピー。
あまりのダメージに瞳が明滅するジャック・・・そして、ついに最期の時が訪れた。
苦しむ光の国の戦士の頬を優しく包み、口付けをするエヌピー。
その接触した口を介して肉片が獲物の顔を多い尽くしていく。
ジャック「んごっ・・んんっ・・・んっ・・・・・・・・っ・・・・・・・・・・・・」
消耗しきった体では抵抗する力も残っておらず、容易く手中に収められてしまう光の戦士。
そして、完全な肉の塊になり蠢いたかと思うと、再び人の形をとったエヌピー。
その胸にはタイマーが2つ輝いていた。
体つきは確実に筋肉が増していき、両手首には金色に輝くブレスレットが装着されていた。
その頃・・・・
聞きなれた声「・・ック・・・ジャック・・・・ジャック!しっかりしろ!」
ジャック「・・・んっ・・・んんっ・・・・」
聞きなれた声「ジャック?!・・・よかった・・目が覚めたか・・・」
ジャック「こ、ここは・・・?!・・・・兄さん、その姿は・・一体・・・」
兄弟の必殺技に苦しめられつい先ほど、謎の敵に飲み込まれてしまったばかりだった。
聞きなれた声に呼び覚まされ、意識を失っていたジャックは目を覚ました。
ジャックが目にしたのは驚愕の光景だった。
ジャック「こ、これは・・・一体・・・・・」
マン「ここはあの化け物の体内だ・・・」
ジャック「・・では、わたしたちはやはり取り込まれてしまったのですね」
マン「あぁ・・・名前はエヌピーと言うらしい」
ジャック「どこでそれを?」
マン「そこを見るんだ・・・」
ジャック「こ、これは・・・バルタン星人?!・・・」
マン「あぁ・・1人目の被害者、そしてエヌピーの生みの親だそうだ」
ジャック「そ、そんな・・・くそっ、とれない!」
敵の名前、自分が置かれた状況・・・ウルトラマンから話を聞きながら少しずつ冷静になっていくジャック。
手足が肉の壁に飲み込まれており引き抜こうにも一体化でもしたかのように抜ける気配がない。肉の壁が柔らかいため、引っ張ると多少は動くものの、そのまま引き戻されてしまう。
ジャックにはまだ四肢にも残された部分があるのだが、隣にいるウルトラマンは腕や脚の付け根までが肉の壁に埋没し動かすことが出来るのは首から上だけであった。
脈動する不気味な空間には奥にある巨大な塊と石版の様にされたバルタン星人、そして捕まったウルトラマンとジャックだけが存在していた。
奥で脈動する肉の塊は壁とは違い一際激しく動いており、そこにはどこかで見たような記憶のかなたにある・・そんなものが見え隠れしていた。
マン「バルタンはブルトン、アメーザ、イフの3つを融合し、生物兵器を作るつもりだったようだ」
ジャック「・・・?!・・・じゃあ、まさかのあの塊・・・」
マン「あぁ、どうやら怪獣たちはあそこで一塊になっているようだ」
ジャック「な、何故、わたしたちはここに・・・?」
マン「それは、バルタン・・こいつの執念が原因だろう・・・おまえも聞いただろう?」
ジャック「・・・?!・・・オマエモ・・イッショ・・・あれはそういう意味なのか!」
マン「あぁ・・・そして、バルタンは全ての真相を話し、この姿になったんだ」
ジャック「くそっ・・・なんとかここを脱出しないと・・」
二人が脱出のために頭を悩ませている頃、エヌピーは確実増えつつある頭脳で次の獲物を狩に行く前に必要な「物」を取りにいっていた。
ウルトラ戦士でさえも簡単に取り込める彼に狙われた獲物は逃げることは出来なかった。
あるものは栄養分として・・・あるものは丈夫な体を狙われ・・・・そして・・・・。
マン「・・・?!・・・な、なんだ・・」
ジャック「心臓部が蠢いている・・・」
マン「あ、あれは・・・」
ジャック「サータン?!・・・」
エヌピーは能力を奪うために特殊な怪獣たちもターゲットにしているようだった。
ジャックと戦ったこともあるサータンには体を透明にする能力がある。
地球で戦った時にはジャックも苦戦を強いられた能力の1つであり、それが今、エヌピーの物になってしまうことが二人には恐怖だった。
ジャック「この上・・姿まで見えなくなるのか・・・・」
マン「な、なんとかしてセブンたちに知らせないと・・」
蠢く心臓の機能を担う肉の塊にサータンが加わり、より禍々しく・より強力な脈動を始めた。
この空間で変化が訪れたのは心臓だけではなかった。
ジャック「なっ・・・兄さん、そ、それは・・・?!」
マン「・・・最初はジャック・・お前の様に四肢の一部だけ・・・そして」
ジャック「・・?!・・・くそっ、飲み込まれていっているのか・・」
マン「付け根まで取り込まれると、今度は薄い膜が侵食してくるんだ」
ジャック「・・・?・・・」
マン「そして、膜が体の全てを覆い尽くすと・・・」
ジャック「ま、まさか・・・」
マン「あぁ・・・バルタンのように石化してしまう仕組みのようだ」
ジャック「ま、まだ時間はあります!諦めないで打開策を見出しましょう!」
マン「そ、そうだな・・・」
不安と恐怖に瞳の光に陰りが見えるウルトラマンを必死に励ますジャック。
しかし、そんなジャックも四肢の付け根が飲み込まれつつあり、確実に石化への末路を辿っていることに焦りを感じていた。
バルタンが石になる瞬間を見ていたウルトラマンの心は恐怖に染められ、心は暗く沈み始めていた。精神状態に反応してなのか、肉の壁から出ているウルトラマンの四肢の末端から徐々に半透明な膜が体を覆い始めていた。ゆっくり舐めるようにじっくりと・・・。
absorption 2話
2話
バルタンの実験により生を受けた「エヌピー」。
アメーザとブルトン、それにイフの融合生物である。
その姿は人型ではあるものの、全身が白いだけで何の起伏もない姿。
世に和をもたらす存在なのか、破滅を導く存在なのか・・・・それは誰にもわからなかった。
実験室から突然消えたエヌピーはバルタン星人のサンプル倉庫から1体だけ、サンプルを奪い姿を消していた・・・。
場所は変わって地球の衛星・月の近く。
宇宙の平和を維持するため、パトロールをしているウルトラマン。
彼が月面に降り立ち地球を眺めていると事件は起きた。
その瞬間は平和に輝く青い星の眺める穏やかな時を破り訪れた。
バリバリ・・・バリバリ・・・ガシャァァァァァァン
マン「な、何っ?!バキシムか!・・・・?!・・・な、なんだ、お前は・・・!」
エヌピー「・・・・・」
空間を割り現れた白い人型生物。
その出現方法はバキシムそのものだった。
ウルトラマンがバキシムかと身構えるのも無理はなかったことだったが、現れたのは彼の予想に反し見たこともない生物だった。
エヌピー「・・ヴヴ・・・ヴヴヴヴヴ・・・・・・」
マン「・・?!・・・くそっ、正体がわからないが、向かってくるなら容赦はしないぞ!」
うなり声をあげながらウルトラマンに向かって謎の生物が突進してくる。
敵なのか味方なのかを見極めたいと考えていたが、友好的ではないことがわかり、渋々戦闘態勢に移行していく。
片膝をつき必殺の八つ裂き光輪を放つ!
今まで幾多の敵を倒してきた自慢の技の1つだ。
エヌピー「ヴヴヴヴヴヴ・・・・・?!・・・・ヴ?・・・・・」
マン「よしっ!・・・・?!・・・な、なにっ?!・・・・」
わき目も振らず向かってくる生物にクリーンヒットした光の刃。
体を真っ二つにした・・・かに見えたのだが、体を切り裂いたそばから切断箇所が再生し再融合してしまったのだ。
目の前にいるのは幻影などはでなく間違いなく本体・・・効果がないのだ。
そればかりか・・・・
エヌピー「ヴヴヴヴヴヴ・・・・・!」
マン「・・?!・・・っ・・・くそっ、こいつ、まさか、カウンターをしてくるのか?」
体が再生した直後、首をかしげたかと思うと、2本の手から別々に八つ裂き光輪が放たれウルトラマンを襲っていく。
しかし、その狙いは甘く、避けることは難しくはなかったのだが、攻撃がカウンターされる・・・その可能性が次なる手を牽制していた。
マン「スペシウム光線は使えない・・・肉弾戦しか・・・ないのか?」
エヌピー「ヴヴヴヴヴヴ・・・・ウル・・・トラ・・・マン・・・」
マン「・・?!・・・私の名前を?・・何故・・・」
エヌピー「ヴヴヴヴヴヴヴ・・・・・・」
八つ裂き光輪の乱れうちを止め、1度だけウルトラマンの名前を呼び動きを止める。
名前を呼ばれたことで動揺するウルトラマン。
動きを止めた獲物とは対称的により激しく動き始める白い化け物。
体中のいたるところから自らの肉片を飛ばし始める。
マン「な、なんだ・・これは・・・くそっ、避けきれない・・・」
両手で顔をガードしつつ迫り来る肉片を避けようとするが手数が多いために数発、体にヒットしていく。
脚に腕に胸に・・・場所を選ばずに確実に着弾していく肉片。
体に着弾すると意思があるように張り付いて流れ落ちることも吹き飛ぶこともなかった。
マン「くそっ・・・こ、このままではまずいな・・・」
徐々に体の動きが鈍くなっていくウルトラマン。
肉片に包まれ始めた場所の感覚が薄れ、なくなっていくのがわかった。
これを一種の毒と考えたウルトラマンは打開策を考えながらガードを続けていく・・・。
マン「はぁ・・はぁ・・・ど、どういうことだ・・・毒は防いでいたはずなのに・・・・か、体が・・・・」
体にエネルギーを漲らせ外部からの毒の侵入を防御していたはずだった。
しかし、瞬く間に体の自由が利かなくなってしまったのである。
両膝をつき、両手をつき・・・肉片にまみれ、顔以外が白い塊に覆われつくした体を前後させ呼吸が荒くなるウルトラマン。
ウルトラマンに命中しなかった肉片が本体に還り、幾分か細くなってしまったがゆらりゆらりと動けなくなった獲物の元へと近づいてくる。
マン「(ウルトラサインも出せない・・・・万事休すか・・・)」
エヌピー「ヴヴヴヴヴ・・・ウル・・・トラ・・・マン・・・・オマエモ・・・・イッショニ」
マン「・・?!・・・だ、誰だ、お前は・・・」
エヌピー「ヴヴヴヴヴヴヴヴ・・・」
謎のメッセージを言い放つとその両手で優しくウルトラマンの両頬を包み込む。
その腕からは液体が流れるように頬から顔へと肉片が流れ込み、顔を包んでいく。
マン「うっ・・んぐっ・・やめ・・・ろっ・・・やめる・・・んだ・・・・・・んぐぐぐっ・・・」
エヌピー「ヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴ・・・」
マン「んんっ・・・んっ・・・・・・んっ・・・・っ・・・・・・」
顔が覆われ、全身が肉片に覆われてからしばらくの間は最後まで諦めずに抵抗していたウルトラマンだったが、次第に動きが弱まり、ついには動かなくなってしまった。
動かないウルトラマンを抱きしめるようにエヌピーが覆いかぶさると体が融合し1つになっていく。
再び人型に戻ると、その胸にはカラータイマーが1つ輝いていた。
バルタンの実験により生を受けた「エヌピー」。
アメーザとブルトン、それにイフの融合生物である。
その姿は人型ではあるものの、全身が白いだけで何の起伏もない姿。
世に和をもたらす存在なのか、破滅を導く存在なのか・・・・それは誰にもわからなかった。
実験室から突然消えたエヌピーはバルタン星人のサンプル倉庫から1体だけ、サンプルを奪い姿を消していた・・・。
場所は変わって地球の衛星・月の近く。
宇宙の平和を維持するため、パトロールをしているウルトラマン。
彼が月面に降り立ち地球を眺めていると事件は起きた。
その瞬間は平和に輝く青い星の眺める穏やかな時を破り訪れた。
バリバリ・・・バリバリ・・・ガシャァァァァァァン
マン「な、何っ?!バキシムか!・・・・?!・・・な、なんだ、お前は・・・!」
エヌピー「・・・・・」
空間を割り現れた白い人型生物。
その出現方法はバキシムそのものだった。
ウルトラマンがバキシムかと身構えるのも無理はなかったことだったが、現れたのは彼の予想に反し見たこともない生物だった。
エヌピー「・・ヴヴ・・・ヴヴヴヴヴ・・・・・・」
マン「・・?!・・・くそっ、正体がわからないが、向かってくるなら容赦はしないぞ!」
うなり声をあげながらウルトラマンに向かって謎の生物が突進してくる。
敵なのか味方なのかを見極めたいと考えていたが、友好的ではないことがわかり、渋々戦闘態勢に移行していく。
片膝をつき必殺の八つ裂き光輪を放つ!
今まで幾多の敵を倒してきた自慢の技の1つだ。
エヌピー「ヴヴヴヴヴヴ・・・・・?!・・・・ヴ?・・・・・」
マン「よしっ!・・・・?!・・・な、なにっ?!・・・・」
わき目も振らず向かってくる生物にクリーンヒットした光の刃。
体を真っ二つにした・・・かに見えたのだが、体を切り裂いたそばから切断箇所が再生し再融合してしまったのだ。
目の前にいるのは幻影などはでなく間違いなく本体・・・効果がないのだ。
そればかりか・・・・
エヌピー「ヴヴヴヴヴヴ・・・・・!」
マン「・・?!・・・っ・・・くそっ、こいつ、まさか、カウンターをしてくるのか?」
体が再生した直後、首をかしげたかと思うと、2本の手から別々に八つ裂き光輪が放たれウルトラマンを襲っていく。
しかし、その狙いは甘く、避けることは難しくはなかったのだが、攻撃がカウンターされる・・・その可能性が次なる手を牽制していた。
マン「スペシウム光線は使えない・・・肉弾戦しか・・・ないのか?」
エヌピー「ヴヴヴヴヴヴ・・・・ウル・・・トラ・・・マン・・・」
マン「・・?!・・・私の名前を?・・何故・・・」
エヌピー「ヴヴヴヴヴヴヴ・・・・・・」
八つ裂き光輪の乱れうちを止め、1度だけウルトラマンの名前を呼び動きを止める。
名前を呼ばれたことで動揺するウルトラマン。
動きを止めた獲物とは対称的により激しく動き始める白い化け物。
体中のいたるところから自らの肉片を飛ばし始める。
マン「な、なんだ・・これは・・・くそっ、避けきれない・・・」
両手で顔をガードしつつ迫り来る肉片を避けようとするが手数が多いために数発、体にヒットしていく。
脚に腕に胸に・・・場所を選ばずに確実に着弾していく肉片。
体に着弾すると意思があるように張り付いて流れ落ちることも吹き飛ぶこともなかった。
マン「くそっ・・・こ、このままではまずいな・・・」
徐々に体の動きが鈍くなっていくウルトラマン。
肉片に包まれ始めた場所の感覚が薄れ、なくなっていくのがわかった。
これを一種の毒と考えたウルトラマンは打開策を考えながらガードを続けていく・・・。
マン「はぁ・・はぁ・・・ど、どういうことだ・・・毒は防いでいたはずなのに・・・・か、体が・・・・」
体にエネルギーを漲らせ外部からの毒の侵入を防御していたはずだった。
しかし、瞬く間に体の自由が利かなくなってしまったのである。
両膝をつき、両手をつき・・・肉片にまみれ、顔以外が白い塊に覆われつくした体を前後させ呼吸が荒くなるウルトラマン。
ウルトラマンに命中しなかった肉片が本体に還り、幾分か細くなってしまったがゆらりゆらりと動けなくなった獲物の元へと近づいてくる。
マン「(ウルトラサインも出せない・・・・万事休すか・・・)」
エヌピー「ヴヴヴヴヴ・・・ウル・・・トラ・・・マン・・・・オマエモ・・・・イッショニ」
マン「・・?!・・・だ、誰だ、お前は・・・」
エヌピー「ヴヴヴヴヴヴヴヴ・・・」
謎のメッセージを言い放つとその両手で優しくウルトラマンの両頬を包み込む。
その腕からは液体が流れるように頬から顔へと肉片が流れ込み、顔を包んでいく。
マン「うっ・・んぐっ・・やめ・・・ろっ・・・やめる・・・んだ・・・・・・んぐぐぐっ・・・」
エヌピー「ヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴ・・・」
マン「んんっ・・・んっ・・・・・・んっ・・・・っ・・・・・・」
顔が覆われ、全身が肉片に覆われてからしばらくの間は最後まで諦めずに抵抗していたウルトラマンだったが、次第に動きが弱まり、ついには動かなくなってしまった。
動かないウルトラマンを抱きしめるようにエヌピーが覆いかぶさると体が融合し1つになっていく。
再び人型に戻ると、その胸にはカラータイマーが1つ輝いていた。
absorption 1話
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国民的アニメ:ドラ○ン○ールの魔神○ウ戦での吸収・取り込みを見ていつか書こうと思っていました。
もともと、敗北の形としてオブジェ(ブロンズ像など)のほかに、敵に利用される屈辱も大好きなので合わせてみました。
absorption
1話
バルタン星人:「ようやく完成する・・・ようやくだ・・・・」
暗闇で不気味に微笑むバルタン星人。
操っているデバイスの先にはバルタン星人が必死になって集めた怪獣たちが並べられ、実験材料として扱われていた。
そこに並べられているのは過去にウルトラ戦士を苦戦させた強者・曲者ばかりだった。
バルタン星人:「どれも手に入れるのが大変だったのだ・・・しかし、それも今日で報われる・・・・」
今までの苦労を振り返りながら緑色の蠢く液体にテトラポットにも似た鉱石のようなものを合わせ実験装置から七色の光線を浴びせていく。
見ている目の前で二つの怪獣は溶け合い、融合していく。
何度も挑んでは敗北し、侵略を諦めない・・・。
そんなバルタンの至った結果の1つ・・それは新たな怪獣を生み出すこと。
ある者は自らを強化し、ある者は他者を利用し、そしてこのバルタンは自らの研究した成果でウルトラ戦士へと挑もうとしていたのだ。
バルタン星人:「よし・・いいぞ・・・アメーザとブルトンの融合により無限の吸収力と次元の操作能力を・・・そしてイフがここに融合されれば・・・・・もう負けること
はありえない!」
興奮に息を荒くし実験を続けていく。
アメーザとブルトンは予定通りに融合し形を1つにとどめていた。
そこに最後のサンプル:イフを融合していく。
慎重にイフをアメーザ・ブルトンの融合体に乗せていく・・・・・。
バルタン星人:「よし・・よし・・・もうちょっと・・・・・・」
イフが融合体に餌として吸収される前に融合させなければならなかった。
徐々に融合体に包まれ始める最後のサンプル。ここがタイミングだ!とばかりに七色の光線を照射するバルタン星人。
融合の為の光線を照射した瞬間、実験装置内に光が満ち始め予想外の出来事がおき始めていた。
バルタン星人:「い、一体、何が・・何が起こって・・・?!・・・ま、まさかっ・・・ま、まず・・・・」
爆発が起きたと錯覚するほどの光が漏れ出し、実験室を光が満たしていた。
光が薄らいでいき実験室の中がようやく視認できるようになったが、そこにいるはずのバルタンの姿はなかった。
代わりに白い肉の塊のような物体が床に転がり、蠢きながら形を変え、人型に変形し始めていた。
無言で実験室を動き回り、バルタンの資料を見つけると実験データを確認していく。
(エヌピー融合実験)
実験のタイトルを見つけ自分の名前が「エヌピー」であると知る。
エヌピー「ウルトラマン・・・・ウルトラマン・・・・?!・・・・」
きょろきょろと忙しく頭らしき場所を動かしていた白いのっぺらぼうだったが、突然、ウルトラマンの名前を2回つぶやいた後、次元の隙間に滑り込み消えてしまった。
国民的アニメ:ドラ○ン○ールの魔神○ウ戦での吸収・取り込みを見ていつか書こうと思っていました。
もともと、敗北の形としてオブジェ(ブロンズ像など)のほかに、敵に利用される屈辱も大好きなので合わせてみました。
absorption
1話
バルタン星人:「ようやく完成する・・・ようやくだ・・・・」
暗闇で不気味に微笑むバルタン星人。
操っているデバイスの先にはバルタン星人が必死になって集めた怪獣たちが並べられ、実験材料として扱われていた。
そこに並べられているのは過去にウルトラ戦士を苦戦させた強者・曲者ばかりだった。
バルタン星人:「どれも手に入れるのが大変だったのだ・・・しかし、それも今日で報われる・・・・」
今までの苦労を振り返りながら緑色の蠢く液体にテトラポットにも似た鉱石のようなものを合わせ実験装置から七色の光線を浴びせていく。
見ている目の前で二つの怪獣は溶け合い、融合していく。
何度も挑んでは敗北し、侵略を諦めない・・・。
そんなバルタンの至った結果の1つ・・それは新たな怪獣を生み出すこと。
ある者は自らを強化し、ある者は他者を利用し、そしてこのバルタンは自らの研究した成果でウルトラ戦士へと挑もうとしていたのだ。
バルタン星人:「よし・・いいぞ・・・アメーザとブルトンの融合により無限の吸収力と次元の操作能力を・・・そしてイフがここに融合されれば・・・・・もう負けること
はありえない!」
興奮に息を荒くし実験を続けていく。
アメーザとブルトンは予定通りに融合し形を1つにとどめていた。
そこに最後のサンプル:イフを融合していく。
慎重にイフをアメーザ・ブルトンの融合体に乗せていく・・・・・。
バルタン星人:「よし・・よし・・・もうちょっと・・・・・・」
イフが融合体に餌として吸収される前に融合させなければならなかった。
徐々に融合体に包まれ始める最後のサンプル。ここがタイミングだ!とばかりに七色の光線を照射するバルタン星人。
融合の為の光線を照射した瞬間、実験装置内に光が満ち始め予想外の出来事がおき始めていた。
バルタン星人:「い、一体、何が・・何が起こって・・・?!・・・ま、まさかっ・・・ま、まず・・・・」
爆発が起きたと錯覚するほどの光が漏れ出し、実験室を光が満たしていた。
光が薄らいでいき実験室の中がようやく視認できるようになったが、そこにいるはずのバルタンの姿はなかった。
代わりに白い肉の塊のような物体が床に転がり、蠢きながら形を変え、人型に変形し始めていた。
無言で実験室を動き回り、バルタンの資料を見つけると実験データを確認していく。
(エヌピー融合実験)
実験のタイトルを見つけ自分の名前が「エヌピー」であると知る。
エヌピー「ウルトラマン・・・・ウルトラマン・・・・?!・・・・」
きょろきょろと忙しく頭らしき場所を動かしていた白いのっぺらぼうだったが、突然、ウルトラマンの名前を2回つぶやいた後、次元の隙間に滑り込み消えてしまった。
プリンス オブ ブロンズ
タイトル:プリンス オブ ブロンズ
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いつもありがとうございます。
今回も、ありがたいことにリクエストをいただきまして書かせていただきました。
わたくしの周りで最近、タロウがおあつうございますww
ちょっといつもと違うところに力点をおいてみました♪
光の国の戦士に守れている青い星・地球。
初めてウルトラマンが地球に降り立ってからセブンやジャック、エースにより幾多の敵から守られ続けてきた。
エースが地球を去り、今は光の国のプリンス・ウルトラマンタロウが怪獣や宇宙人から地球を守ってくれていた。
超獣を超える怪獣たちが押し寄せるが、厳しい訓練に加え兄弟達から託された使命を胸に秘めたタロウに敗北の文字はなかった。
そんなある日、街にかつて誰も見たことがないほど巨大な宇宙人が突然現れたのである。
ヒッポリト星人「ふはははははは・・・私はヒッポリト星人!この星にいるウルトラ戦士を抹殺するために来た!ウルトラマンタロウに告ぐ、地球に隠れているのはわかっている!出てくるのだ!さもなくば・・・・」
ウルトラマンタロウへの警告の直後、見せしめのためなのか自慢の長い鼻から強烈な風が街を襲い、人や車を吹き飛ばしていく。
ウルトラマンタロウのことを調べつくしているらしく、東京を攻めるのが一番効果的であることを知っていて攻め込んできたようだった。
自分の力を見せ付けるとあれだけの巨体を誇っていた宇宙人が陽炎の様に消えてしまったのだ。
現場に駆けつけ、宇宙人を倒したかった・・・基地でぎりぎりと悔しさに拳を握り締める東光太郎。
巨大宇宙人襲撃事件から3日後の昼過ぎ・・・。
再び、東京の街中に現れた巨大な宇宙人・ヒッポリト。
ヒッポリト星人「さぁ・・・出て来い!ウルトラマンタロウ!早くしないと、お前の守るものがなくなってしまうぞ!」
その言葉に続けて瞳から怪光線が放たれ街を破壊していく。
出動するZATの面々。
地上と空中から攻撃を加えるが超巨大な宇宙人に命中したはずの光線もミサイルも全てがすり抜けて背後にいってしまうのだ。
こちらの攻撃は当たらない、しかしヒッポリトの攻撃は確実に街を破壊し、ZATを追い詰めていく。
東光太郎「やはり・・あれは本物ではないんだ・・・」
3日前に出現した時に感じた違和感からすぐに変身はせず、すぐにでも駆けつけたい気持ちをこらえ、敵を分析していたのだった。
その直感は的中し、街中にいるとんでもない大きさの宇宙人に挑めばZATと同じでいかにタロウといえども攻撃が当てられないのに当てられてしまうのでは確実に負けてしまう。
全神経を集中し、本体のいる場所を探す。
索敵すること数分・・・ついに見つけた敵の場所。
意を決して光輝くバッチを宙に掲げ変身する。
東光太郎「タロオォォォォォォォォォォォォォ!」
虹色の光からウルトラマンタロウが颯爽と現れ、街を越えて北関東の山中に向かうタロウ。
タロウ「・・・?!・・・(やはり、本体は別な場所にいたんだ!)」
索敵して見つけ出したポイントにはカプセルに入っているヒッポリト星人がいた。
カプセルから虹色の光が東京に向けて放たれていた。
タロウ「(なるほど・・あの中で起こした現象が街でも起きるようになっているわけか)」
ZATがいくら強力な攻撃をしようとも幻影には効果のないことだったのだ。
距離をとり、降り立ったタロウの手から深紅の破壊光線を放ち、カプセルを破壊した。
爆炎と共にカプセルは消えうせた。
それと同時に街に出現した無敵の宇宙人も霞の様に消えてしまった。
ヒッポリト星人「・・・ぺっぺぺっ・・・ばれてしまったか」
タロウ「デュッ!(もう逃がしはしない!覚悟しろ!)」
ヒッポリト星人「これでもくらぇぇぇぇぇぇぇ」
じたばたと腕を振り回しタロウに襲い掛かるヒッポリト星人。
動きこそ幼稚なものであるが、見た目とは裏腹に鍛えられた体から繰り出される腕の1撃、1撃は強力なものだった。
タロウ「ダァァァァッ!(こんなものなのかっ!ならば、こちらからいくぞ!)」
ヒッポリト星人「このっ!このっ!・・・?!・・なにっ・・」
タロウ「デヤァァァァッ!」
ヒッポリト星人「ぐわぁぁぁぁぁぁっ」
華麗に宙を舞い、ひねった体から自慢のスワローキックを放つタロウ。
見事なまでに胸元にヒットした蹴撃により後方に吹き飛ぶヒッポリト星人。
幻影を使った街の破壊活動こそ頭脳的なものであったが、タロウと戦い始めてからの攻撃は実に幼稚なものだった。
(こいつは生粋の頭脳派。肉弾戦ではわたしが有利だ)
そんなことを考えてしまった。
吹き飛ばされたヒッポリト星人が起き上がると、怒りのあまり地団駄を踏み、足元にあった巨大な岩を持ち上げタロウに向けて投げつけてきた。
その行動もタロウの予想通りの子供のような攻撃だった・・。
ヒッポリト星人「このぉぉっ!くらぇぇぇっ!」
タロウ「デュッ!・・・デヤッ!」
投げつけられた岩を軽々とキャッチし、そのままカウンターでヒッポリト星人の顔目掛けて投げつけた。
ここでもまともな防御が出来ずに顔面に岩がぶつかり、フラフラとよろめいてしまう。
そこに追撃とばかりにタロウは光線技でたたみかける!
タロウ「デヤァァァッ!」
ヒッポリト星人「おわっ・わわわわわ・・・・」
タロウの右手から光の手裏剣が放たれる。
慌しく光線から逃げるヒッポリトは1歩、1歩後退しながら攻撃をかわしていく。
ヒッポリト星人「わわわわ・・・・」
タロウ「・・?!・・・ヘヤッ!(・・・き、消えた?!・・)」
ヒッポリト星人はよろめきながら後退していたのだが、そのまま姿が一瞬で消えてしまい、その場からいなくなってしまった。
今まで戦っていたのは幻影ではなく、本体だった・・・。
タロウ「(一体・・どこに・・・・)」
ヒッポリト星人が消えた場所まで駆けより、辺りを探し回る。
その場できょろきょろと探し回る。
周りにはいない・・。あてを探ろうと再び神経を集中させたときだった。
スゥゥゥゥゥゥゥゥ・・
・・・スゥゥゥゥゥゥゥゥ
ガシャン!
タロウ「デヤッ!デュッ!デヤァァッ!」
ヒッポリト星人「ふはははははは・・・かかったな、ウルトラマンタロウ!」
タロウ「デュッ!ヘヤッ!(な、なんだ・・ここから出せっ!)」
神経を集中させ、消えた敵を探そうと、一瞬動きを止めた時だった。
両脇から靄の様に現れた半分ずつのカプセルが音もなく忍び寄りタロウを閉じ込めてしまった。
その瞬間、罠にかかった獲物の前にヒッポリト星人は現れ、先ほどまでの幼稚な動きとは違う、全てが上手くいったと言わんばかりの振る舞いでタロウを見下ろしている。
そう・・全ては演技・・・嵌められたのである。
割れ目がなくなったカプセルの壁を力一杯殴るが傷1つ付かず壊れる気配がない。
このカプセルには中に閉じ込めた獲物の力を封じる効果があるようだった。
ピカッ!ピカピカ!
タロウ「・・・デヤッ?!・・・」
ヒッポリト星人「残念だったな、タロウ・・・自分で自分の最期は見られないだろう?俺は貴様の最期をゆっくりと見せてもらうぞ」
ヒッポリト星人の頭部にある触角が光るとカプセルの上部から透明な液体が降り注ぎ始めた。
タロウの体に付着すると薄く広がり、逃げ場のない獲物の体を瞬く間に包み込んでしまう。
獲物を前に勝者の余裕を見せるヒッポリト星人の眼前で透明な液体に体を怪しくテカらせ、体を悶えさせ苦しむタロウ。
その艶かしく動くテカテカの体を思う存分楽しむヒッポリト星人。
タロウ「ファァァァンッ!デヤァァァァァァァ!」
その透明な液体には毒が含まれているらしく、タロウの全身から体内に侵入し体力とエネルギーを奪っていく。
しかし、この液体の効力はそれだけではなかった・・。
タロウ「ファァァァッ・・・デュッ・・デヤァァァッ・・(か、体が動かなくなってきたぞ・・・)」
プーポープーポープーポー
その窮地を知らせる様に鳴り響くカラータイマー。
苦しみにカプセルの中を動き回るタロウの体が徐々に動きを鈍らせ、思ったような動きが出来なくなってきていた。
その液体は体に広がると毒を体内に注ぎながら体を固めていく恐るべき接着液だったのだ。
皮膚に付着するなり体内に侵入し抵抗する力を根こそぎ奪い、体を硬直させていく。動きの鈍った獲物はさらに逃げることが出来なくなり液体の餌食になる・・・。
カプセルに入れられたが最期、ヒッポリトの罠からは逃げられない・・・。
厳しい訓練を乗り越えたタロウをもってしても、力を封印されたカプセルの中、逃げ場のない状態で接着液を浴びせられ続け、動きを鈍らせ予定通りに体が硬直し始めていた。
ピカッ!ピカピカ!
再びヒッポリト星人の触角が光ると悪夢のカプセルはさらなる追撃を始めた。
透明な液体に代わり深緑色の液体が降り注ぎ始めたのだ。
その様子は獲物を我先に奪い合うかのように液体が間髪いれずに降り注いでいた。
タロウ「・・・ムゥゥゥ・・・デュッ?!・・・デヤァァァァァ・・・」
ヒッポリト星人「へっへっへっ・・苦しめっ!苦しめっ!・・・」
タロウ「デアアアアアァァァァァ・・・・」
ヒッポリト星人「だんだん死んでいくのだ!」
透明な接着液が体中に回り、体がすっかり硬直してしまったタロウは本来の動きの1割ほども動くことが出来なくなっていた。
プーポー・・プーポー・・・プーポー・・・プーポー・・・・
確実に遅くなっていくタロウの命の音。
その音を合図にでもしたように襲い掛かるヒッポリトタール。
降り注ぐ謎の液体はタロウの体をブロンズに変え、硬直した体を金属へと変え始めた。
体に付着すると透明な液体の効果も手伝って容易く体内に入り込み、表面からタロウを固めていく。
タロウ「・・・デヤァッ・・・・デュッ・・・ヘヤァァァッ・・・・」
ほとんど動かない自らの体。
両足はすでに動かすことさえ出来ず、指を曲げることさえ出来なくなった。
カプセルの壁を殴っていた腕がゆっくりと降りていく・・・。硬直した筋肉では上げていられないのだ。
タロウ「デヤァァ・・デュッ・・・デュワッ!(兄さん達に知らせないと・・地球が危ない)」
全身を侵食するヒッポリトタール。
体に残る僅かなエネルギーで抵抗しているものの、カプセルの力で封印され、接着液の毒で削られた体力はじりじりと生身の体を物質へとあけ渡し始めていた。
深紅の逞しい体も徐々に全体が深緑色になりつつあり、端正な顔も汚されつくしていた。
気力を振り絞り、一縷の希望を託して宇宙を目掛けてウルトラサインを出した。
ビビビビビッ!
ピカピカピカ!ピカピカピカ!
プーポー・・・プーポー・・・・・プーポー・・・・・・プーポー・・・・・・・
限界ぎりぎりまで削られたエネルギー・・・封じられた力、動かない体、用意周到な敵の罠に嵌った今のタロウに出来るのは死期を早めてでも仲間に地球の危機を知らせることだった。
さらにタイマーは緩やかに点滅し、命が尽きようとしていることを地球人に、そしてヒッポリト星人に知らせてしまっていた。
ヒッポリト星人「馬鹿なっ!ウルトラサインが出たな?」
タロウ「・・フワァァン・・ダァァ・・ッ・・・・(兄さんたち・・・わたしはここまでのようです)」
ヒッポリト星人「冥土の土産にいいことを教えてやろう・・・お前の兄達は皆、一足先にあの世に行っている・・・ブロンズにして葬っておいたわ!」
タロウ「・・デャァッ?!・・」
ピカッ!ピカピカピカ!
とどめをさすためにヒッポリト星人の触角が再び光を放つ。
体が薄汚れたようにブロンズに変質しつつあるタロウの足元から深緑の煙が巻き起こりカプセルに充満していく。
液体の降り注ぐ中、獲物を奪い取るかのように足元から問答無用でタロウを包み込む謎の煙。
煙に包まれた両足はブロンズ化が加速し瞬く間に鉱物になってしまった。
煙は捕らえた獲物を逃がさない!とばかりにものすごい速度でカプセルに充満しタロウを包んでいく。
プーポー・・・・・プーポー・・・・・・・・・プーポー・・・・・・・・・・・
・・・・・・・プー・・・ポー・・・・・・・・・・・プゥゥゥゥゥゥ・・・・・・
タロウ「・・?!・・・デャァァァ・・ァァァ・・・ァッ・・・・ッ・・・・」
ヒッポリト星人「ふははははははっ・・・あっけなかったな、光の国の王子よ・・・・」
ブフアァァァァァァァ
ピカッ!ピカッ!
モクモクモクモクモク
タイマーの音が聞こえなくなってしまった・・・・。
タロウのか細いうめき声もついに聞こえなくなってしまった・・・・。
カプセルに充満するガスは内部の状況を隠してしまっているものの、タロウの体に残るストリウムエネルギーは最期の抵抗とばかりにスパークした光が2度、3度見え、そのタロウが生きている証が全てなくなってしまったのだ。
サァァァァァァァッ
獲物の「生」を全て吸い尽くしたカプセルは満足したとばかりに靄の様に消えていった。
ガスが晴れ、次第に中の様子が見えてきた。
ようやくヒッポリト星人の本体の場所を突き止めたZATの面々が見つけたのは宇宙人だけではなかった。
そこには全身をブロンズに変えられた哀れなウルトラマンタロウがいたのだ。
その姿は呆然と立ち尽くし顔は絶望にうな垂れていた・・・。
まるで無抵抗のままやられた様に・・・・・。
ヒッポリト星人「ふはははははは・・貴様も立派なコレクションの仲間入りだぁ。光の国を滅亡させた後、貴様ら兄弟達はオブジェとして我が城に飾ってやろうじゃないか・・・」
その言葉を言い終わるとタロウを残し姿を消す暗殺者。
残されたのは地球を守りきれず、絶望に染められたまま「物」にされた光の国のプリンスだけだった。
「頑張ってくれ!」と言っているように頼りない夕日の光がタロウを照らしていた。
夕日の頑張りも虚しく地球人は絶望に染められていった・・・・。
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いつもありがとうございます。
今回も、ありがたいことにリクエストをいただきまして書かせていただきました。
わたくしの周りで最近、タロウがおあつうございますww
ちょっといつもと違うところに力点をおいてみました♪
光の国の戦士に守れている青い星・地球。
初めてウルトラマンが地球に降り立ってからセブンやジャック、エースにより幾多の敵から守られ続けてきた。
エースが地球を去り、今は光の国のプリンス・ウルトラマンタロウが怪獣や宇宙人から地球を守ってくれていた。
超獣を超える怪獣たちが押し寄せるが、厳しい訓練に加え兄弟達から託された使命を胸に秘めたタロウに敗北の文字はなかった。
そんなある日、街にかつて誰も見たことがないほど巨大な宇宙人が突然現れたのである。
ヒッポリト星人「ふはははははは・・・私はヒッポリト星人!この星にいるウルトラ戦士を抹殺するために来た!ウルトラマンタロウに告ぐ、地球に隠れているのはわかっている!出てくるのだ!さもなくば・・・・」
ウルトラマンタロウへの警告の直後、見せしめのためなのか自慢の長い鼻から強烈な風が街を襲い、人や車を吹き飛ばしていく。
ウルトラマンタロウのことを調べつくしているらしく、東京を攻めるのが一番効果的であることを知っていて攻め込んできたようだった。
自分の力を見せ付けるとあれだけの巨体を誇っていた宇宙人が陽炎の様に消えてしまったのだ。
現場に駆けつけ、宇宙人を倒したかった・・・基地でぎりぎりと悔しさに拳を握り締める東光太郎。
巨大宇宙人襲撃事件から3日後の昼過ぎ・・・。
再び、東京の街中に現れた巨大な宇宙人・ヒッポリト。
ヒッポリト星人「さぁ・・・出て来い!ウルトラマンタロウ!早くしないと、お前の守るものがなくなってしまうぞ!」
その言葉に続けて瞳から怪光線が放たれ街を破壊していく。
出動するZATの面々。
地上と空中から攻撃を加えるが超巨大な宇宙人に命中したはずの光線もミサイルも全てがすり抜けて背後にいってしまうのだ。
こちらの攻撃は当たらない、しかしヒッポリトの攻撃は確実に街を破壊し、ZATを追い詰めていく。
東光太郎「やはり・・あれは本物ではないんだ・・・」
3日前に出現した時に感じた違和感からすぐに変身はせず、すぐにでも駆けつけたい気持ちをこらえ、敵を分析していたのだった。
その直感は的中し、街中にいるとんでもない大きさの宇宙人に挑めばZATと同じでいかにタロウといえども攻撃が当てられないのに当てられてしまうのでは確実に負けてしまう。
全神経を集中し、本体のいる場所を探す。
索敵すること数分・・・ついに見つけた敵の場所。
意を決して光輝くバッチを宙に掲げ変身する。
東光太郎「タロオォォォォォォォォォォォォォ!」
虹色の光からウルトラマンタロウが颯爽と現れ、街を越えて北関東の山中に向かうタロウ。
タロウ「・・・?!・・・(やはり、本体は別な場所にいたんだ!)」
索敵して見つけ出したポイントにはカプセルに入っているヒッポリト星人がいた。
カプセルから虹色の光が東京に向けて放たれていた。
タロウ「(なるほど・・あの中で起こした現象が街でも起きるようになっているわけか)」
ZATがいくら強力な攻撃をしようとも幻影には効果のないことだったのだ。
距離をとり、降り立ったタロウの手から深紅の破壊光線を放ち、カプセルを破壊した。
爆炎と共にカプセルは消えうせた。
それと同時に街に出現した無敵の宇宙人も霞の様に消えてしまった。
ヒッポリト星人「・・・ぺっぺぺっ・・・ばれてしまったか」
タロウ「デュッ!(もう逃がしはしない!覚悟しろ!)」
ヒッポリト星人「これでもくらぇぇぇぇぇぇぇ」
じたばたと腕を振り回しタロウに襲い掛かるヒッポリト星人。
動きこそ幼稚なものであるが、見た目とは裏腹に鍛えられた体から繰り出される腕の1撃、1撃は強力なものだった。
タロウ「ダァァァァッ!(こんなものなのかっ!ならば、こちらからいくぞ!)」
ヒッポリト星人「このっ!このっ!・・・?!・・なにっ・・」
タロウ「デヤァァァァッ!」
ヒッポリト星人「ぐわぁぁぁぁぁぁっ」
華麗に宙を舞い、ひねった体から自慢のスワローキックを放つタロウ。
見事なまでに胸元にヒットした蹴撃により後方に吹き飛ぶヒッポリト星人。
幻影を使った街の破壊活動こそ頭脳的なものであったが、タロウと戦い始めてからの攻撃は実に幼稚なものだった。
(こいつは生粋の頭脳派。肉弾戦ではわたしが有利だ)
そんなことを考えてしまった。
吹き飛ばされたヒッポリト星人が起き上がると、怒りのあまり地団駄を踏み、足元にあった巨大な岩を持ち上げタロウに向けて投げつけてきた。
その行動もタロウの予想通りの子供のような攻撃だった・・。
ヒッポリト星人「このぉぉっ!くらぇぇぇっ!」
タロウ「デュッ!・・・デヤッ!」
投げつけられた岩を軽々とキャッチし、そのままカウンターでヒッポリト星人の顔目掛けて投げつけた。
ここでもまともな防御が出来ずに顔面に岩がぶつかり、フラフラとよろめいてしまう。
そこに追撃とばかりにタロウは光線技でたたみかける!
タロウ「デヤァァァッ!」
ヒッポリト星人「おわっ・わわわわわ・・・・」
タロウの右手から光の手裏剣が放たれる。
慌しく光線から逃げるヒッポリトは1歩、1歩後退しながら攻撃をかわしていく。
ヒッポリト星人「わわわわ・・・・」
タロウ「・・?!・・・ヘヤッ!(・・・き、消えた?!・・)」
ヒッポリト星人はよろめきながら後退していたのだが、そのまま姿が一瞬で消えてしまい、その場からいなくなってしまった。
今まで戦っていたのは幻影ではなく、本体だった・・・。
タロウ「(一体・・どこに・・・・)」
ヒッポリト星人が消えた場所まで駆けより、辺りを探し回る。
その場できょろきょろと探し回る。
周りにはいない・・。あてを探ろうと再び神経を集中させたときだった。
スゥゥゥゥゥゥゥゥ・・
・・・スゥゥゥゥゥゥゥゥ
ガシャン!
タロウ「デヤッ!デュッ!デヤァァッ!」
ヒッポリト星人「ふはははははは・・・かかったな、ウルトラマンタロウ!」
タロウ「デュッ!ヘヤッ!(な、なんだ・・ここから出せっ!)」
神経を集中させ、消えた敵を探そうと、一瞬動きを止めた時だった。
両脇から靄の様に現れた半分ずつのカプセルが音もなく忍び寄りタロウを閉じ込めてしまった。
その瞬間、罠にかかった獲物の前にヒッポリト星人は現れ、先ほどまでの幼稚な動きとは違う、全てが上手くいったと言わんばかりの振る舞いでタロウを見下ろしている。
そう・・全ては演技・・・嵌められたのである。
割れ目がなくなったカプセルの壁を力一杯殴るが傷1つ付かず壊れる気配がない。
このカプセルには中に閉じ込めた獲物の力を封じる効果があるようだった。
ピカッ!ピカピカ!
タロウ「・・・デヤッ?!・・・」
ヒッポリト星人「残念だったな、タロウ・・・自分で自分の最期は見られないだろう?俺は貴様の最期をゆっくりと見せてもらうぞ」
ヒッポリト星人の頭部にある触角が光るとカプセルの上部から透明な液体が降り注ぎ始めた。
タロウの体に付着すると薄く広がり、逃げ場のない獲物の体を瞬く間に包み込んでしまう。
獲物を前に勝者の余裕を見せるヒッポリト星人の眼前で透明な液体に体を怪しくテカらせ、体を悶えさせ苦しむタロウ。
その艶かしく動くテカテカの体を思う存分楽しむヒッポリト星人。
タロウ「ファァァァンッ!デヤァァァァァァァ!」
その透明な液体には毒が含まれているらしく、タロウの全身から体内に侵入し体力とエネルギーを奪っていく。
しかし、この液体の効力はそれだけではなかった・・。
タロウ「ファァァァッ・・・デュッ・・デヤァァァッ・・(か、体が動かなくなってきたぞ・・・)」
プーポープーポープーポー
その窮地を知らせる様に鳴り響くカラータイマー。
苦しみにカプセルの中を動き回るタロウの体が徐々に動きを鈍らせ、思ったような動きが出来なくなってきていた。
その液体は体に広がると毒を体内に注ぎながら体を固めていく恐るべき接着液だったのだ。
皮膚に付着するなり体内に侵入し抵抗する力を根こそぎ奪い、体を硬直させていく。動きの鈍った獲物はさらに逃げることが出来なくなり液体の餌食になる・・・。
カプセルに入れられたが最期、ヒッポリトの罠からは逃げられない・・・。
厳しい訓練を乗り越えたタロウをもってしても、力を封印されたカプセルの中、逃げ場のない状態で接着液を浴びせられ続け、動きを鈍らせ予定通りに体が硬直し始めていた。
ピカッ!ピカピカ!
再びヒッポリト星人の触角が光ると悪夢のカプセルはさらなる追撃を始めた。
透明な液体に代わり深緑色の液体が降り注ぎ始めたのだ。
その様子は獲物を我先に奪い合うかのように液体が間髪いれずに降り注いでいた。
タロウ「・・・ムゥゥゥ・・・デュッ?!・・・デヤァァァァァ・・・」
ヒッポリト星人「へっへっへっ・・苦しめっ!苦しめっ!・・・」
タロウ「デアアアアアァァァァァ・・・・」
ヒッポリト星人「だんだん死んでいくのだ!」
透明な接着液が体中に回り、体がすっかり硬直してしまったタロウは本来の動きの1割ほども動くことが出来なくなっていた。
プーポー・・プーポー・・・プーポー・・・プーポー・・・・
確実に遅くなっていくタロウの命の音。
その音を合図にでもしたように襲い掛かるヒッポリトタール。
降り注ぐ謎の液体はタロウの体をブロンズに変え、硬直した体を金属へと変え始めた。
体に付着すると透明な液体の効果も手伝って容易く体内に入り込み、表面からタロウを固めていく。
タロウ「・・・デヤァッ・・・・デュッ・・・ヘヤァァァッ・・・・」
ほとんど動かない自らの体。
両足はすでに動かすことさえ出来ず、指を曲げることさえ出来なくなった。
カプセルの壁を殴っていた腕がゆっくりと降りていく・・・。硬直した筋肉では上げていられないのだ。
タロウ「デヤァァ・・デュッ・・・デュワッ!(兄さん達に知らせないと・・地球が危ない)」
全身を侵食するヒッポリトタール。
体に残る僅かなエネルギーで抵抗しているものの、カプセルの力で封印され、接着液の毒で削られた体力はじりじりと生身の体を物質へとあけ渡し始めていた。
深紅の逞しい体も徐々に全体が深緑色になりつつあり、端正な顔も汚されつくしていた。
気力を振り絞り、一縷の希望を託して宇宙を目掛けてウルトラサインを出した。
ビビビビビッ!
ピカピカピカ!ピカピカピカ!
プーポー・・・プーポー・・・・・プーポー・・・・・・プーポー・・・・・・・
限界ぎりぎりまで削られたエネルギー・・・封じられた力、動かない体、用意周到な敵の罠に嵌った今のタロウに出来るのは死期を早めてでも仲間に地球の危機を知らせることだった。
さらにタイマーは緩やかに点滅し、命が尽きようとしていることを地球人に、そしてヒッポリト星人に知らせてしまっていた。
ヒッポリト星人「馬鹿なっ!ウルトラサインが出たな?」
タロウ「・・フワァァン・・ダァァ・・ッ・・・・(兄さんたち・・・わたしはここまでのようです)」
ヒッポリト星人「冥土の土産にいいことを教えてやろう・・・お前の兄達は皆、一足先にあの世に行っている・・・ブロンズにして葬っておいたわ!」
タロウ「・・デャァッ?!・・」
ピカッ!ピカピカピカ!
とどめをさすためにヒッポリト星人の触角が再び光を放つ。
体が薄汚れたようにブロンズに変質しつつあるタロウの足元から深緑の煙が巻き起こりカプセルに充満していく。
液体の降り注ぐ中、獲物を奪い取るかのように足元から問答無用でタロウを包み込む謎の煙。
煙に包まれた両足はブロンズ化が加速し瞬く間に鉱物になってしまった。
煙は捕らえた獲物を逃がさない!とばかりにものすごい速度でカプセルに充満しタロウを包んでいく。
プーポー・・・・・プーポー・・・・・・・・・プーポー・・・・・・・・・・・
・・・・・・・プー・・・ポー・・・・・・・・・・・プゥゥゥゥゥゥ・・・・・・
タロウ「・・?!・・・デャァァァ・・ァァァ・・・ァッ・・・・ッ・・・・」
ヒッポリト星人「ふははははははっ・・・あっけなかったな、光の国の王子よ・・・・」
ブフアァァァァァァァ
ピカッ!ピカッ!
モクモクモクモクモク
タイマーの音が聞こえなくなってしまった・・・・。
タロウのか細いうめき声もついに聞こえなくなってしまった・・・・。
カプセルに充満するガスは内部の状況を隠してしまっているものの、タロウの体に残るストリウムエネルギーは最期の抵抗とばかりにスパークした光が2度、3度見え、そのタロウが生きている証が全てなくなってしまったのだ。
サァァァァァァァッ
獲物の「生」を全て吸い尽くしたカプセルは満足したとばかりに靄の様に消えていった。
ガスが晴れ、次第に中の様子が見えてきた。
ようやくヒッポリト星人の本体の場所を突き止めたZATの面々が見つけたのは宇宙人だけではなかった。
そこには全身をブロンズに変えられた哀れなウルトラマンタロウがいたのだ。
その姿は呆然と立ち尽くし顔は絶望にうな垂れていた・・・。
まるで無抵抗のままやられた様に・・・・・。
ヒッポリト星人「ふはははははは・・貴様も立派なコレクションの仲間入りだぁ。光の国を滅亡させた後、貴様ら兄弟達はオブジェとして我が城に飾ってやろうじゃないか・・・」
その言葉を言い終わるとタロウを残し姿を消す暗殺者。
残されたのは地球を守りきれず、絶望に染められたまま「物」にされた光の国のプリンスだけだった。
「頑張ってくれ!」と言っているように頼りない夕日の光がタロウを照らしていた。
夕日の頑張りも虚しく地球人は絶望に染められていった・・・・。
プリンス オブ スレイブ4話
4話
光の国のプリンス・タロウ。
ゾフィーからのウルトラサインを受け、駆けつけた月面で兄弟達の惨めな姿を見せつけられ、呆然と立ち尽くしている間に自らも敵に捕獲されてしまったのだった。
時間が経てば経つほど体の自由はなくなり、次第に希望がなくなっていく焦燥感に襲われていた。
つれて来られた実験室はさらに奥があった。
装置こそ止まっているものの、ブロンズに加え装置につながれた哀れ極まりないマンとセブンが気になりはするが、選択の自由がないタロウは2人をを置き去りに奥へと進むしかなかった。
ヒッポリト「ここでは2人に精神の強さを測らせてもらっているんだ」
タロウ「な・・・・・何を・・・・しているんだ?」
巨大な虫のような生き物の腹の中に飲み込まれているジャック。
そして、タイマーや片目など、体の一部分だけが元に戻されそこに刃物が迫るゾフィーが奥の部屋には鎮座していた。
ヒッポリト「この虫は精神を蝕む凶悪な虫なんだ。今頃、徐々にジャックの精神は汚され、食べられていることだろう」
タロウ「ジ、ジャック兄さん!しっかりしてくれ!」
ヒッポリト「無駄無駄・・ブロンズに体は侵されているんだ、聞こえはしないよ」
タロウ「くっ・・・」
ヒッポリト「ゾフィーは物理的な刺激にどこまで精神が壊れずに耐えられるのか」
タロウ「なんてむごいことを・・・」
ヒッポリト「助けたいですか?」
タロウ「?!・・・あ、当たり前だろう!」
ヒッポリト「もうわかっていると思いますが」
タロウ「な、何をつければいいんだ・・・?」
ヒッポリト「さぁ、ここに膝をつきなさい!」
渋々タロウが膝をつくと、ヒッポリトはロイヤルファミリーの証:ウルトラホーンをアンチストリウム鋼でコーティングしてしまったのだ。
タロウ「な、何を・・・はぁ・・・はぁ・・・・した・・・」
ヒッポリト「あなたの自慢のウルトラホーンをアンチストリウム鋼でコーティングしたんですよ。まだ終わってませんよ?動かないでください」
タロウ「・・・っ・・・・・」
今度は立派な2枚の盾のような胸板に液体金属を塗りつける。
塗りつけられた途端、まるで生き物の様に脈動し始め、タロウの胸板を怪しくもみほぐし始めたのだ。
タロウ「な、何なんだ・・・はぁ・・はぁ・・・・こ、これ・・は・・・」
ヒッポリト「いえねぇ、あなたをどこまでも貶めようかと思いまして・・・光の国のプリンスが淫乱に喘ぐなんて・・・なかなか見られないでしょう?」
タロウの体に施された数々の拘束具はエネルギーの吸収、封印だけが効果ではなかった。
光の戦士であるタロウの体に麻薬の様に作用し、刺激に興奮し、快楽を求めるようになり始めていたのだ。
ヒッポリト「どうしたんです?苦しそうですねぇ」
タロウ「そ、そんなこと・・・は・・・ない・・・(くそ、反撃が出来ない・・・)」
莫大なエネルギーを保有しているウルトラホーンを封じられた今、ヒッポリトと戦う力は残されていなかった。
さらに、拷問とも言える実験が止まっているとは言え、4人が人質にいる状況ではまるで手の出しようがないのだ・・・・。
ヒッポリト「・・・?!・・・ふふふ・・・さぁ、タロウ・・・最初の部屋に戻るぞ・・・・」
タロウ「・・・くっ・・・・・」
何か通信でも受けたのか、突然、部屋に戻るといい始めたヒッポリト。
その行動よりも、今のタロウにはこの実験室にいる4人のことが気がかりで仕方がなかった。
ヒッポリトに鎖を引かれ、実験室を出た途端、タロウが身の自由を賭して結んだ約束がなかったかのように実験が開始されてしまったのだ。
マンやセブンは股間部から強制的に種を搾取され、エネルギーと共に機密情報が抜き取られ始めた。
ジャックは精神を犯され、ゾフィーは体のいたる部分に拷問とも言える攻撃を加えられ叫び声さえもあげることを許されず、精神を責め続けられていた。
そんなこととは知らず、部屋に戻ったタロウの前にはあの悪魔のカプセルが2つ用意されていた。
中が見えないカプセル・・だが、中にはおそらくウルトラ戦士がいるだろうことは誰の目にも明らかだった。
ヒッポリト「あなたを追ってきたところを捕らえたんです」
言葉に合わせて1つだけカプセルの中が透けて見え始めた。
タロウ「・・・メ、メビウス・・・・メビウス!」
メビウス「・・・・・(何か、脱出の手がかりは・・・)」
ヒッポリト「あなたの声は届かず、中からは何も見えていませんよ」
タロウ「ど、どうするつもりだ・・・・」
ヒッポリト「そうですねぇ・・・あなたが私たちの奴隷になると言うのなら助けてあげなくもないですが?」
タロウ「?!ど、奴隷だと!」
ヒッポリト「えぇ、確かにそう言いましたが?」
タロウ「(光の国のプリンスであるわたしが・・言えるわけがない・・・それに私までもが人質になるわけには・・・・・・)」
弟子の命を助けたい、だけど条件は飲めない・・・そう思い始めた矢先だった。
ヒッポリトの触手が2つ光り、カプセルが作動し始めた。
メビウス「な、なんだこれ・・・ぐ、苦しい・・・・ち、力が抜けて・・・いく・・・」
タロウ「な、何を・・・」
ヒッポリト「あなたが迷っているようなのでブロンズ化を開始したんですよ」
話をしている間にも、メビウスのカプセルの壁面には深緑色の液体が流れ出していた。
タロウが迷っている間にメビウスの動きが緩慢になり、着実に接着液で固められてしまっていた。
メビウス「か・・らだが・・うご・・・かない・・・・」
タロウ「メ、メビウス・・・わ、わかった、奴隷になる・・・だから・・」
ヒッポリト「では、光の国と地球にその中継をしましょう」
タロウ「・・・?!・・・わ・・・・わかった・・・・・・」
メビウス「・・から・・・だ・・が・・・かた・・められ・・・て・・・」
ヒッポリト「急いだほうがいいようですよ?」
タロウ「わ、わかった・・・・・わ、わたしは・・・ヒッポリト星人の・・・奴隷として・・・一生を・・・捧げます・・・」
モコモコモコモコモコモコ
メビウス「ぁぁぁぁぁぁっ・・・・・っ・・・・」
ヒッポリト「一足遅かったようですね・・・」
タロウ「メビ・・・ウス・・・・・」
タロウが奴隷になると宣言した直後、メビウスのエネルギーは底をつき、完全に接着液に固められた体にはヒッポリトタールが降り注いでいた。
そして、仕上げのガスがカプセルに充満しブロンズへと姿を変えられてしまったのだ。
兄弟も弟子も救うことが出来ない・・・失意のどん底に沈むタロウ。
落胆するタロウを待っていてくれるほど優しいご主人様ではなかったのだ。
徐にタロウの後頭部を掴むといつの間にか用意されていた液溜まりに顔を移動させていく。
タロウ「・・・な、何を・・・する・・つもりだ・・・」
ヒッポリト「あなたはもう奴隷なんですよ?この星では奴隷はマスクをするキマリなんです・・・」
タロウ「マ・・・スク・・?」
ヒッポリト「えぇ、奴隷の証としてね・・一生、外せないマスクを・・ねっ!」
最後の言葉にあわせ、力いっぱい液溜まりにタロウの顔を沈めていく。
タロウの顔がすっぽりと沈むとそのまま腕に力を入れて固定してしまった。
もがくタロウなどおかまいなしに一向にその手を離そうとしないヒッポリト。
タロウ「んぐ・・・んんっ・・・んぐぐっ・・・・」
ヒッポリト「・・・・これで、あなたは正式な奴隷ですよ・・・ふはははははは・・・・」
タロウ「はぁ・・はぁ・・はぁ・・・・・」
ようやく解放されたタロウの顔。
地面に四つんばいで息をしながら、おそるおそる自分の顔を触ってみる。
ブロンズのマスクを装着され、起伏をそのままに奴隷の証としてブロンズにされた顔。
光の国のプリンス・ウルトラマンタロウの端正な顔は見るも無残なものへと変えられてしまった。
そのマスクには見た目だけではなく、驚くべき作用があった。
頭をすっぽりと包み込み、神経や脳をコントロールすることさえ可能であった。
文字通り、奴隷になるのである・・。
ヒッポリト「さぁ、奴隷としての初仕事をしてもらいましょうかね」
タロウ「(仕事だと)は・・い・・・ヒッポリト・・・さ・・ま・・・・(な、何を言っているんだ、わたしは!)」
ヒッポリト「もう1つのカプセル・・・あの中の人を処刑しないといけません・・・」
タロウ「(だ、誰がいるんだ)はい・・・ヒッポリト・・さま・・・(くそ、抗えないのか・・・)」
マスクをされてからと言うもの、言葉は完全に支配されてしまった。
さらに、淫らに股間は振られ胸の刺激も甘んじて受けるようになり種をどんどん生成しては貞操帯に堰きとめられる責め苦に陥れられ始めたのである。
処刑とは言うもののカプセルは透き通らず、ヒッポリトにボタンを手渡されるだけであった。
ヒッポリト「さぁ・・それを押しなさい・・・そして、中の人を処刑するのです」
タロウ「(わ、私が仲間を処刑?!)わかり・・・ました・・・ヒッポリト様」
その頃、カプセルの中では変化が起きていた。
メビウスの時とは逆に外からは見えないが、中からは見えるように細工がされていたのだ。
ウルトラの父「タ・・タロウ・・・・?!・・ど、どうしたのだ・・その姿は・・・・」
ヒッポリト「さぁ、きっと最期の時をじらされて死刑囚も困っていることでしょう」
タロウ「わかり・・・ました・・・・・」
ウルトラの父「?!・・操られているのか?・・・くそっ・・・なんて頑丈なカプセルなんだ」
ウルトラ警備隊・大隊長であるウルトラの父の力をもってしても傷さえもつかないカプセル。
そして、ついに目の前で最愛の息子・タロウが処刑のスイッチを押してしまう。
ボタンを押すとカプセルの中ではタロウにも施されたエネルギー吸収光が放出され、ウルトラの父のエネルギーを奪い始める。
ウルトラの父「ど、どういうことだ・・・エネルギーが・・・奪われて・・・いく」
続けざまに光を発しながら接着液が降り注ぎ、屈強な体の時間を止めていく。
体に付着すると流れ落ちることなくそのまま体に張り付き、自由を奪っていくのだ。
ウルトラの父「・・?!・・・か・・らだが・・・うごかな・・・い・・・」
ピコンピコンピコン・・・ピコン・・・ピコン・・・・・・ピコン・・・・・・・・
次第に遅くなるタイマーの音。
そして、乱滅する瞳。
ウルトラの父「や・・めるんだ・・・タロウ・・・・タ・・ロウ・・・」
ヒッポリト「さぁ・・・とどめにもう1度ボタンを押しなさい」
タロウ「わかりました・・・(や、やめろ・・やめるんだ!くそっ!)」
ヒッポリトの命令により体をコントロールされ、意識あるまま体が勝手にカプセルの中の同胞を処刑してしまう。
届かない声を必死に振り絞り息子に呼びかけるが、それも虚しく、接着液に固められた体にヒッポリトタールが降り注ぐ。
分厚い胸板も頑丈な四肢も自慢のウルトラホーンも場所を選ばず全てを深緑色に染めていく。
そして、ついにウルトラの父のエネルギーも底をつきかけた時、ヒッポリトがカプセルを透き通らせた。
ヒッポリト「さぁ、最期の瞬間です・・・誰を処刑したのか顔がみたいでしょう?」
タロウ「・・・?!・・・・・(と、とうさん・・・・とぉぉぉぉさぁぁぁぁぁぁぁん)」
ウルトラの父「ウルトラの・・・星を・・・・頼んだ・・・・ぞ・・・・・」
シュゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ・・・・・モクモクモクモクモクモクモクモク
シャァァァァァァァァァァァァ・・・・・
ヒッポリトの憎むべき相手・ウルトラ戦士・・その大隊長には特別な措置がとられていた。
息子の手による処刑・・そして、ヒッポリトでさえも剥がすことが出来ないコーティング剤によるブロンズの永久化である。
カプセルが消え、メビウスと共にウルトラの父のブロンズ像が出来上がった。
その場に立ち尽くすタロウ。
タロウ「ぼくが・・・父さんを・・・処刑した・・・・・・」
ヒッポリト「そうですよ、あなたが父を亡き者にしたんです。さぁ、その調子で兄達も処刑しにいきますよ」
タロウ「(兄さんたちも?!)は・・・い・・・・ヒッポリト様・・・」
光の国のプリンスを奴隷として隷属させ、捕らえたウルトラ戦士を全滅に追い込んだヒッポリト星人。
その後、宇宙を侵略した際も、常に傍らにはタロウとおぼしき奴隷の姿があったという・・・・。
光の国のプリンス・タロウ。
ゾフィーからのウルトラサインを受け、駆けつけた月面で兄弟達の惨めな姿を見せつけられ、呆然と立ち尽くしている間に自らも敵に捕獲されてしまったのだった。
時間が経てば経つほど体の自由はなくなり、次第に希望がなくなっていく焦燥感に襲われていた。
つれて来られた実験室はさらに奥があった。
装置こそ止まっているものの、ブロンズに加え装置につながれた哀れ極まりないマンとセブンが気になりはするが、選択の自由がないタロウは2人をを置き去りに奥へと進むしかなかった。
ヒッポリト「ここでは2人に精神の強さを測らせてもらっているんだ」
タロウ「な・・・・・何を・・・・しているんだ?」
巨大な虫のような生き物の腹の中に飲み込まれているジャック。
そして、タイマーや片目など、体の一部分だけが元に戻されそこに刃物が迫るゾフィーが奥の部屋には鎮座していた。
ヒッポリト「この虫は精神を蝕む凶悪な虫なんだ。今頃、徐々にジャックの精神は汚され、食べられていることだろう」
タロウ「ジ、ジャック兄さん!しっかりしてくれ!」
ヒッポリト「無駄無駄・・ブロンズに体は侵されているんだ、聞こえはしないよ」
タロウ「くっ・・・」
ヒッポリト「ゾフィーは物理的な刺激にどこまで精神が壊れずに耐えられるのか」
タロウ「なんてむごいことを・・・」
ヒッポリト「助けたいですか?」
タロウ「?!・・・あ、当たり前だろう!」
ヒッポリト「もうわかっていると思いますが」
タロウ「な、何をつければいいんだ・・・?」
ヒッポリト「さぁ、ここに膝をつきなさい!」
渋々タロウが膝をつくと、ヒッポリトはロイヤルファミリーの証:ウルトラホーンをアンチストリウム鋼でコーティングしてしまったのだ。
タロウ「な、何を・・・はぁ・・・はぁ・・・・した・・・」
ヒッポリト「あなたの自慢のウルトラホーンをアンチストリウム鋼でコーティングしたんですよ。まだ終わってませんよ?動かないでください」
タロウ「・・・っ・・・・・」
今度は立派な2枚の盾のような胸板に液体金属を塗りつける。
塗りつけられた途端、まるで生き物の様に脈動し始め、タロウの胸板を怪しくもみほぐし始めたのだ。
タロウ「な、何なんだ・・・はぁ・・はぁ・・・・こ、これ・・は・・・」
ヒッポリト「いえねぇ、あなたをどこまでも貶めようかと思いまして・・・光の国のプリンスが淫乱に喘ぐなんて・・・なかなか見られないでしょう?」
タロウの体に施された数々の拘束具はエネルギーの吸収、封印だけが効果ではなかった。
光の戦士であるタロウの体に麻薬の様に作用し、刺激に興奮し、快楽を求めるようになり始めていたのだ。
ヒッポリト「どうしたんです?苦しそうですねぇ」
タロウ「そ、そんなこと・・・は・・・ない・・・(くそ、反撃が出来ない・・・)」
莫大なエネルギーを保有しているウルトラホーンを封じられた今、ヒッポリトと戦う力は残されていなかった。
さらに、拷問とも言える実験が止まっているとは言え、4人が人質にいる状況ではまるで手の出しようがないのだ・・・・。
ヒッポリト「・・・?!・・・ふふふ・・・さぁ、タロウ・・・最初の部屋に戻るぞ・・・・」
タロウ「・・・くっ・・・・・」
何か通信でも受けたのか、突然、部屋に戻るといい始めたヒッポリト。
その行動よりも、今のタロウにはこの実験室にいる4人のことが気がかりで仕方がなかった。
ヒッポリトに鎖を引かれ、実験室を出た途端、タロウが身の自由を賭して結んだ約束がなかったかのように実験が開始されてしまったのだ。
マンやセブンは股間部から強制的に種を搾取され、エネルギーと共に機密情報が抜き取られ始めた。
ジャックは精神を犯され、ゾフィーは体のいたる部分に拷問とも言える攻撃を加えられ叫び声さえもあげることを許されず、精神を責め続けられていた。
そんなこととは知らず、部屋に戻ったタロウの前にはあの悪魔のカプセルが2つ用意されていた。
中が見えないカプセル・・だが、中にはおそらくウルトラ戦士がいるだろうことは誰の目にも明らかだった。
ヒッポリト「あなたを追ってきたところを捕らえたんです」
言葉に合わせて1つだけカプセルの中が透けて見え始めた。
タロウ「・・・メ、メビウス・・・・メビウス!」
メビウス「・・・・・(何か、脱出の手がかりは・・・)」
ヒッポリト「あなたの声は届かず、中からは何も見えていませんよ」
タロウ「ど、どうするつもりだ・・・・」
ヒッポリト「そうですねぇ・・・あなたが私たちの奴隷になると言うのなら助けてあげなくもないですが?」
タロウ「?!ど、奴隷だと!」
ヒッポリト「えぇ、確かにそう言いましたが?」
タロウ「(光の国のプリンスであるわたしが・・言えるわけがない・・・それに私までもが人質になるわけには・・・・・・)」
弟子の命を助けたい、だけど条件は飲めない・・・そう思い始めた矢先だった。
ヒッポリトの触手が2つ光り、カプセルが作動し始めた。
メビウス「な、なんだこれ・・・ぐ、苦しい・・・・ち、力が抜けて・・・いく・・・」
タロウ「な、何を・・・」
ヒッポリト「あなたが迷っているようなのでブロンズ化を開始したんですよ」
話をしている間にも、メビウスのカプセルの壁面には深緑色の液体が流れ出していた。
タロウが迷っている間にメビウスの動きが緩慢になり、着実に接着液で固められてしまっていた。
メビウス「か・・らだが・・うご・・・かない・・・・」
タロウ「メ、メビウス・・・わ、わかった、奴隷になる・・・だから・・」
ヒッポリト「では、光の国と地球にその中継をしましょう」
タロウ「・・・?!・・・わ・・・・わかった・・・・・・」
メビウス「・・から・・・だ・・が・・・かた・・められ・・・て・・・」
ヒッポリト「急いだほうがいいようですよ?」
タロウ「わ、わかった・・・・・わ、わたしは・・・ヒッポリト星人の・・・奴隷として・・・一生を・・・捧げます・・・」
モコモコモコモコモコモコ
メビウス「ぁぁぁぁぁぁっ・・・・・っ・・・・」
ヒッポリト「一足遅かったようですね・・・」
タロウ「メビ・・・ウス・・・・・」
タロウが奴隷になると宣言した直後、メビウスのエネルギーは底をつき、完全に接着液に固められた体にはヒッポリトタールが降り注いでいた。
そして、仕上げのガスがカプセルに充満しブロンズへと姿を変えられてしまったのだ。
兄弟も弟子も救うことが出来ない・・・失意のどん底に沈むタロウ。
落胆するタロウを待っていてくれるほど優しいご主人様ではなかったのだ。
徐にタロウの後頭部を掴むといつの間にか用意されていた液溜まりに顔を移動させていく。
タロウ「・・・な、何を・・・する・・つもりだ・・・」
ヒッポリト「あなたはもう奴隷なんですよ?この星では奴隷はマスクをするキマリなんです・・・」
タロウ「マ・・・スク・・?」
ヒッポリト「えぇ、奴隷の証としてね・・一生、外せないマスクを・・ねっ!」
最後の言葉にあわせ、力いっぱい液溜まりにタロウの顔を沈めていく。
タロウの顔がすっぽりと沈むとそのまま腕に力を入れて固定してしまった。
もがくタロウなどおかまいなしに一向にその手を離そうとしないヒッポリト。
タロウ「んぐ・・・んんっ・・・んぐぐっ・・・・」
ヒッポリト「・・・・これで、あなたは正式な奴隷ですよ・・・ふはははははは・・・・」
タロウ「はぁ・・はぁ・・はぁ・・・・・」
ようやく解放されたタロウの顔。
地面に四つんばいで息をしながら、おそるおそる自分の顔を触ってみる。
ブロンズのマスクを装着され、起伏をそのままに奴隷の証としてブロンズにされた顔。
光の国のプリンス・ウルトラマンタロウの端正な顔は見るも無残なものへと変えられてしまった。
そのマスクには見た目だけではなく、驚くべき作用があった。
頭をすっぽりと包み込み、神経や脳をコントロールすることさえ可能であった。
文字通り、奴隷になるのである・・。
ヒッポリト「さぁ、奴隷としての初仕事をしてもらいましょうかね」
タロウ「(仕事だと)は・・い・・・ヒッポリト・・・さ・・ま・・・・(な、何を言っているんだ、わたしは!)」
ヒッポリト「もう1つのカプセル・・・あの中の人を処刑しないといけません・・・」
タロウ「(だ、誰がいるんだ)はい・・・ヒッポリト・・さま・・・(くそ、抗えないのか・・・)」
マスクをされてからと言うもの、言葉は完全に支配されてしまった。
さらに、淫らに股間は振られ胸の刺激も甘んじて受けるようになり種をどんどん生成しては貞操帯に堰きとめられる責め苦に陥れられ始めたのである。
処刑とは言うもののカプセルは透き通らず、ヒッポリトにボタンを手渡されるだけであった。
ヒッポリト「さぁ・・それを押しなさい・・・そして、中の人を処刑するのです」
タロウ「(わ、私が仲間を処刑?!)わかり・・・ました・・・ヒッポリト様」
その頃、カプセルの中では変化が起きていた。
メビウスの時とは逆に外からは見えないが、中からは見えるように細工がされていたのだ。
ウルトラの父「タ・・タロウ・・・・?!・・ど、どうしたのだ・・その姿は・・・・」
ヒッポリト「さぁ、きっと最期の時をじらされて死刑囚も困っていることでしょう」
タロウ「わかり・・・ました・・・・・」
ウルトラの父「?!・・操られているのか?・・・くそっ・・・なんて頑丈なカプセルなんだ」
ウルトラ警備隊・大隊長であるウルトラの父の力をもってしても傷さえもつかないカプセル。
そして、ついに目の前で最愛の息子・タロウが処刑のスイッチを押してしまう。
ボタンを押すとカプセルの中ではタロウにも施されたエネルギー吸収光が放出され、ウルトラの父のエネルギーを奪い始める。
ウルトラの父「ど、どういうことだ・・・エネルギーが・・・奪われて・・・いく」
続けざまに光を発しながら接着液が降り注ぎ、屈強な体の時間を止めていく。
体に付着すると流れ落ちることなくそのまま体に張り付き、自由を奪っていくのだ。
ウルトラの父「・・?!・・・か・・らだが・・・うごかな・・・い・・・」
ピコンピコンピコン・・・ピコン・・・ピコン・・・・・・ピコン・・・・・・・・
次第に遅くなるタイマーの音。
そして、乱滅する瞳。
ウルトラの父「や・・めるんだ・・・タロウ・・・・タ・・ロウ・・・」
ヒッポリト「さぁ・・・とどめにもう1度ボタンを押しなさい」
タロウ「わかりました・・・(や、やめろ・・やめるんだ!くそっ!)」
ヒッポリトの命令により体をコントロールされ、意識あるまま体が勝手にカプセルの中の同胞を処刑してしまう。
届かない声を必死に振り絞り息子に呼びかけるが、それも虚しく、接着液に固められた体にヒッポリトタールが降り注ぐ。
分厚い胸板も頑丈な四肢も自慢のウルトラホーンも場所を選ばず全てを深緑色に染めていく。
そして、ついにウルトラの父のエネルギーも底をつきかけた時、ヒッポリトがカプセルを透き通らせた。
ヒッポリト「さぁ、最期の瞬間です・・・誰を処刑したのか顔がみたいでしょう?」
タロウ「・・・?!・・・・・(と、とうさん・・・・とぉぉぉぉさぁぁぁぁぁぁぁん)」
ウルトラの父「ウルトラの・・・星を・・・・頼んだ・・・・ぞ・・・・・」
シュゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ・・・・・モクモクモクモクモクモクモクモク
シャァァァァァァァァァァァァ・・・・・
ヒッポリトの憎むべき相手・ウルトラ戦士・・その大隊長には特別な措置がとられていた。
息子の手による処刑・・そして、ヒッポリトでさえも剥がすことが出来ないコーティング剤によるブロンズの永久化である。
カプセルが消え、メビウスと共にウルトラの父のブロンズ像が出来上がった。
その場に立ち尽くすタロウ。
タロウ「ぼくが・・・父さんを・・・処刑した・・・・・・」
ヒッポリト「そうですよ、あなたが父を亡き者にしたんです。さぁ、その調子で兄達も処刑しにいきますよ」
タロウ「(兄さんたちも?!)は・・・い・・・・ヒッポリト様・・・」
光の国のプリンスを奴隷として隷属させ、捕らえたウルトラ戦士を全滅に追い込んだヒッポリト星人。
その後、宇宙を侵略した際も、常に傍らにはタロウとおぼしき奴隷の姿があったという・・・・。