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驕り 3話:処刑

第3話:処刑
 
 光の国のウルトラ戦士・・。
 栄光のウルトラ兄弟の次男:ウルトラマンはもういない。
 ここに”ある”のはウルトラマンではなく、ダダの標本コレクション0番なのである。
 生物ではなく物として永久に所有されることが決められたウルトラマン。
 もう、この決定を覆すことは誰にも出来ず、誰にも彼を助けることは出来ない状態になってしまった。
 戦争を覚悟の上でこの星にウルトラ一族が攻め込んでくれば話は違うのだが、光の国の一族がそれをしないことはウルトラマンが一番よくわかっていた・・・。

ダダ:さぁ・・・ついたぞ・・・お前を処刑する部屋だ・・・
ウルトラマン:・・・・うっ・・・はぁ・・はぁ・・・・はぁ・・・
ダダ:こんな日が来るなんてお前は思っていなかったんだろう?
ウルトラマン:・・・・くっ・・・・か、体が・・・痺れ・・・・
ダダ:俺は知っていたぞ、お前がこうなることを・・・・
ウルトラマン:・・・・・ちくしょぉ・・・・・・・

 拘束具が外れ、解凍されたにも関わらず体が動かない。
 冷凍する際に皮膚から染み込む痺れ薬も散布されていたのだった。
 非力なダダにされるがままに部屋の中央に立てられた十字架に架けられる哀れなウルトラマン。

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 両手首、両足首、腹部に拘束リングが施されてしまった。
 痺れて動けない今のウルトラマンにとってはこのリングは十字架に自分を飾るための装飾品でしかなかった。
 ダダの狙い通りに十字架に架かり、頭が脱力して垂れ下がるウルトラマン。

キュィィィィィィィィィン

ウルトラマン:んぐっ・・・・ぐぅぅぅぅ・・・・・

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 ダダの持つ光の玉が妖しく輝き始め、十字架の上の罪人からエネルギーを剥奪し始めた。
 カラータイマーからぐんぐんエネルギーが抜き取られていくウルトラマン。
 体の痺れが抜けていない罪人は叫び声1つ上げることも出来ず、成されるがままにエネルギーを謙譲していった。

ダダ:ころあいですかね?・・・遠慮なく召し上がれ・・・

ビィィィィィィィィィィィィ

ウルトラマン:・・・?!・・・ぐっ・・・ぐぁぁぁぁ・・・・んんっ・・・・
ダダ:そうか、そうか・・そんなに美味しいか・・ふははははは・・・

 エネルギーも残りわずか・・・吸い尽くされて命尽きるかと思われた瞬間、ダダの放つ紫色の光線がカラータイマーに命中した。
 その光は乾いた砂に水が染み込む様にグングン吸い込まれていき、ダダの手から放たれた全てを体におさめていった。
 そして、光のエネルギーが邪魔だと言わんばかりに押し出されたエネルギーはダダの光の玉に吸い尽くされてしまった。

ウルトラマン:はぁ・・はぁ・・・何を・・・した・・・
ダダ:いえねぇ・・あなたを不死にしたまでですよ
ウルトラマン:ふ、不死・・・・?
ダダ:はい、あなたは使用できない、でも生命維持だけを行う様に強制的に働きかけるエネルギーです
ウルトラマン:・・・なる・・ほど・・・・自殺もできない・・・わけだ・・・・
ダダ:当たりまえじゃないですか・・あなたは僕達の”物”なんですよ?
ウルトラマン:・・・・・くっ・・・

フワァァァァァァァ・・・・キュィィィィィィィン

ウルトラマン:・・?!・・・こ、これ以上・・な、何を・・・・
ダダ:次はあなたの体の力をいただきます
ウルトラマン:・・・んんっ・・・んぐっ・・・・ぐわぁぁ・・・・

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 エネルギーを奪い尽くした悪魔の玉は、動きを止め、力が残っていない獲物からさらに体に秘められた力を奪い取り始めた。
 体のそこかしこから光の粒になって力が漏れ出し、玉に集まっていく。
 しかし、今度は奪うだけでは済まなかった・・・。

ズブズブ・・・ズブブッ・・・ズブズブ

 体の力が失われた部分から十字架に沈み込み始めたのだ。
 両手、両足などの末端部分から徐々に体が沈みこみ、エネルギーの奪われたウルトラマンにはどうすることも出来なかった。
 あの逞しかった両腕も、あまたの敵を地面に沈めた両足も・・・そして、鍛え上げられた盾の様な胸にかかる肩の部分も漏れなく十字架の餌食になっていった。

ウルトラマン:・・・わたしは・・・お、終わりだ・・・・・
ダダ:いえいえ、あなたはまだ記憶を差し出していないじゃないですか?
ウルトラマン:こ、この上・・・・何を・・・・・

 体の力を奪い尽くされ、もはや十字架の表面で確認できるのは顔、両の拳、カラータイマー、両膝の周囲だけだった。
 まるで十字架にウルトラマンを模して彩色した彫刻を装飾したのかと誤解するほどに、この罪人は十字架に沈んでしまったのだ。
 そんな何も残されていないウルトラマンにダダがゆらりゆらりと近寄り、十字架の餌食になるのを免れた数少ない部分の1つである顔を両手で包み込んだ。

ダダ:さぁ、約束のものをいただきます
ウルトラマン:・・・気が・・遠くなる・・・・・・・・・・・
ダダ:ほぉぉぉ・・・・・・・・光の国はこうなっているんですね・・・

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 ダダの両手が当てられた顔や頭からウルトラマンの持つ知識、記憶、経験が全て複製されていった。
 力ではなく、頭脳で光の国の戦士を捕らえただけあって、この難解な作業も瞬く間に終了させてみせた。

驕り 2話:裁き

第2話:裁き

 こんなやつには負けない・・・私はウルトラ兄弟なのだから

 この油断が取り返しの付かない事態を招いてしまったのだ。
 簡単に倒せる相手だと軽く見ていた相手:ダダに捕獲され一切の自由を奪われてしまったウルトラマン。
 今の彼に残された自由など何もない・・・後悔することだけであった。
 そんな彼をさらなる残酷な運命が手招きをしていた・・・・。


ウルトラマン:・・・・・・・(ん・・・こ、ここは・・・?)
ダダ:お目覚めかね?可愛そうなウルトラマン
ウルトラマン:・・・・・・・(そ、そうだ・・・わたしは・・・)
ダダ:君はまだ冷凍状態のままだ・・・意識だけを戻してあげたのだよ
ウルトラマン:・・・・・・・(くっ・・・これではウルトラサインも出せない・・)
ダダ:さぁ、これから大事な裁判の時間だ
ウルトラマン:・・・・・・・(裁判・・・・だと・・・・)
ダダ:さぞ驚いていることだろうな・・・君は裁かれるのだよ、ダダの法律でな
ウルトラマン:・・・・・・・(裁かれる・・・わたしが?・・・何故・・・)

 氷のオブジェに話しかけるダダの顔は前よりも邪悪さの増した笑みをたたえていた。
 時を止められた敗者の気持ちを見透かした様に・・・。
 笑いの止まらないダダと混乱するウルトラマン。
 そんな二人を乗せた移動する床が重々しい扉の前で止まった。


ザワザワザワ  ザワザワザワ

ウルトラマン:・・・・・・・(べ、弁護は誰が・・・・)
ダダ:さぁ・・・お裁きの時間だ、ウルトラマン・・・・

ギギィィィィィ・・・・

ダダ裁判長:静粛に!静粛にしないか!
ダダ:連行しました・・・こやつが罪人:ウルトラマンです
ウルトラマン:・・・・・・・(罪人だって?!・・・)
ダダ裁判長:では、裁判を始める。準備はいいかな?
ダダ:はい、準備、整っております
ウルトラマン:・・・・・・・(準備だって?弁護人がいないじゃないか!)
ダダ裁判長:この法廷では無言は肯定の証とする。これは絶対のルールである。よいな
ダダ:はい、もちろんでございます
ウルトラマン:・・・・・・・(そ、そんな・・・・私は冷凍状態なんだぞ・・・)
ダダ裁判長:よろしい、両者共に認めたことを確認した。では、ダダ656号よ、始めなさい
ダダ:はい。まずは、この罪人の罪状は3つです。
ウルトラマン:・・・・・・・(ど、どうにかしないと・・・)
ダダ:まずは、言わずと知れた人間標本作製の妨害です
ダダ裁判長:うむ、この説明は省略してよい
ダダ:ありがとうございます。もう1つは我々一族を過小評価したことです
ダダ裁判長:君が映像で報告したものだな
ウルトラマン:・・・・・・・(映像・・・?!・・・・ま、まさか・・・)
ダダ:はい、皆様、ご覧いただいていた通り・・こやつは我らを過小評価し、油断した結果がこれです
ダダ裁判長:まずは、ここまでのことに間違いはないかな?ウルトラマン
ウルトラマン:・・・・・・・(そ、そうだ・・テレパシーで・・・・ち、違います!異議あり!)
ダダ:(無駄なことを・・・ふっ)
ダダ裁判長:うむ、無言・・・肯定するのだな・・続きを始めろ、ダダ656号
ダダ:はい、残る罪は不法入国です
ウルトラマン:・・・・・・・(通じていない・・?!・・くそ・・これも計画のうちか・・・)
ダダ:これをご覧ください・・・

 ダダのペースで進む裁判・・・展開は悪化するばかりであった。
 そんな最悪な状況の中、ビデオ映像が流れ始めた・・・



ダダ:ウルトラマン、忠告する。これ以上移動すると不評入国になる
ウルトラマン:・・・・・・・・・
ダダ:ほぅ・・理解した上で進むのだな?
ウルトラマン:・・・・・・・・・
ダダ:手続きは必要ないと?そう言うんだな
ウルトラマン:・・・・・・・・・
ダダ:ダダ656号、ウルトラマンの意図的な不法入国を確認しました。拘束を続行します


ウルトラマン:・・・・・・・・(・・?!・・・・はめられた・・・・)
ダダ:これが証拠です
ダダ裁判長:なるほど・・・光の国の戦士ともなると大胆なことをするものだな
ウルトラマン:・・・・・・・・(くそっ・・・ただじゃおかないぞ、ダダ・・)
ダダ:私からのご報告は以上です
ダダ裁判長:罪人よ、最期に何かいいたいことはあるかね?
ウルトラマン:・・・・・・・・(白々しい・・・・なんてやつらだ・・・)
ダダ裁判長:無言・・・なるほど・・・判決を潔く受け入れると?
ウルトラマン:・・・・・・・・(ゾフィー達が助けに来たら覚えていろ!)
ダダ裁判長:よろしい・・・では判決を言い渡す・・・

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 光の国や地球での裁判の風景とは異質なダダの星の裁判。
 氷像と化した光の国の戦士を裁くことを目的に、一方的な展開で進行していくこの儀式も終わりを迎えようとしていた・・・・正義の戦士としての終わりを告げることで。


ダダ裁判長:ウルトラマンへ有罪を言い渡す
ウルトラマン:・・・・・・・・(やはりな・・・・)
ダダ裁判長:標本作製妨害について、自身を標本とすることで償いなさい
ウルトラマン:・・・・・・・・(自身・・・?!・・・私が標本に?)
ダダ裁判長:不法入国に関しては金銭の支払いを求めるが、即座の支払いを命じる
ウルトラマン:・・・・・・・・(払えるわけがない・・・くそっ・・・)
ダダ裁判長:いい度胸だ・・背いた罰として君の力と記憶で支払ってもらおう
ウルトラマン:・・・・・・・・(最初からこれが狙いか・・・・・)
ダダ裁判長:最後に我らを冒涜した罪は君を永久に物として所有することで償ってもらう
ウルトラマン:・・・・・・・・(な、何っ?・・・・永久に・・・?)
ダダ:ありがとうございます
ダダ裁判長:それでは閉廷・・・即刻、この罪人を処刑するといい
ダダ:かしこまりました
ウルトラマン:・・・・・・・・(ま、待てっ・・・おいっ・・・・)

 3つの罪に問われ、全てで有罪を受けたウルトラマン。
 何から何まで計画通りに進んでいく最悪の事態は最早誰にも止めることはできなかった・・誰にも。

ダダ:いいことを教えてやろう・・
ウルトラマン:・・・・・・・・
ダダ:この裁判、ダダの星だけのものだと思っているだろう?
ウルトラマン:・・・・・・・・(どういう意味だ・・・・?)
ダダ:この裁判は宇宙の法律に則った正式な裁判だ・・・
ウルトラマン:・・・・・・・・(な、何っ!それじゃあ)
ダダ:お前は宇宙全てにおいて罪人となったのだよ
ウルトラマン:・・・・・・・・(これではゾフィーにも手が出せない・・・)
ダダ:それだけじゃない・・お前が永久に保有される決定もオフィシャルなんだよ
ウルトラマン:・・・・・・・・(・・なん・・・だって・・・・・・)
ダダ:お前がいくら待とうとも誰もお前を助けられないのさ・・ふはははは・・・

 処刑室へと移動する床でダダが囁いた衝撃の事実にウルトラマンの希望の光は一気に消え失せた。
 もう誰にも助けられない・・・誰にも。
 光の国の戦士として憧れられる存在だった自分が罪人として裁かれ、そして物としてダダに永久に所有されるのだ・・・永久に・・・。

驕り 1話:油断

第1話:油断

 地球の衛星:月で妖しい活動をしている宇宙人がいる

 その報告を受け、ウルトラの父から派遣され、ウルトラマンは懐かしい地球へと向かった。

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 大急ぎで向かった彼の目に飛び込んできたのは、性懲りもなく標本作製活動を企む三面怪人:ダダであった。

ダダ:ようし、これで準備万端・・・あとは
ウルトラマン:あとはなんなんだ?
ダダ:・・?!・・ウ、ウルトラマン・・・
ウルトラマン:人間を標本になどさせはしないぞ!
ダダ:それはどうかな?
ウルトラマン:・・・?!・・・・くっ・・・

 振り返ると同時にどこからともなく縮小光線をライフルから放射する。
 間一髪、光線をよけ、体を縮小させられることはなかったウルトラマン。
 この時、彼の脳裏には攻撃に対する危険性よりも「ダダのくせに」という相手を見くびった感情が芽生えていた。
 知らず知らずのうちに彼の心に影を落すこの「油断」が彼の運命を歪めることになった。

ダダ:よくかわしたな、ウルトラマン
ウルトラマン:覚悟するのはお前だ!くらえっ!
ダダ:・・・?!・・・ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁ・・・・
ウルトラマン:ふっ・・・これに懲りたら地球を狙うのはやめるんだ
ダダ:・・・・・・・・・・

カチッ
ヌルルルルル・・・・カシャン・カシャン

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 ウルトラマン自慢のチョップがダダにクリーンヒットすると、たまらずダダは地面にうずくまり、顔を両手で覆い、動かなくなった。
 ゼットンやゴモラ、レッドキングとは違いダダにはこのチョップさえも大打撃だったはずだ・・・
 そう確信しているウルトラマンは勝者の余裕を体からにじませながらダダに改心を求めるために歩み寄ってきた・・・。

ウルトラマン:・・・?!・・・な、なんだこれは!
ダダ:・・・ふっふっふっふっ・・・・
ウルトラマン:う、動かない・・・・
ダダ:かかったな、ウルトラマン・・・
ウルトラマン:何っ!ダダ、貴様の仕業かっ!
ダダ:あのままスペシウム光線打っておけばよかったなぁ?ウルトラマン
ウルトラマン:くっ・・こんな拘束・・・
ダダ:あいにく、俺は油断しないタチでね

ヒュゥゥゥ・・・カチッ・カチッ・・・
ヒュゥゥゥゥゥゥ・・・カチッ

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 地面から突如として現れた粘液に包まれ、それを払う暇もなく硬化することを許し完全に地面につなぎとめられてしまったウルトラマン。
 それでもまだ、ダダよりも優位に立っていると感じる彼は焦る気持ちもなく両足の拘束を破壊できると考えていた。
 しかし、ダダから視線を外した瞬間、第2、第3の拘束具が襲い掛かったのである。
 ダダの手から投げられた腕輪はウルトラマンの両腕に見事に嵌り、ピッタリと密着し外れないようになってしまった。
 腕輪の後で放られた首輪も寸分の狂いもなく獲物の首に絡みついた。

ウルトラマン:・・・?!・・・なっ・・・何をする
ダダ:お前の油断は底なしだな・・・もう、お前は逃げられない・・・どこへもな
ウルトラマン:お前を倒せば終わること
ダダ:言っただろう?俺は油断をしない とな

カチッ・・・ジリジリジリジリジリ

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ウィィィィン・・・カシャン・カシャン・カシャン

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ウルトラマン:・・・・?!・・・(技を封じられた・・・)
ダダ:どうだい?油断した相手に捕まる気分は?

 ダダの押したトドメのボタンにより両腕と首の拘束具は磁石で一直線に並び、首の高さで位置を固定されたのだ。
 両腕と首、この3つが並んだ瞬間、拘束具が形を変え、板状に変形したのだ。両腕はしっかりと首の高さで固定され動かすことが出来ない・・・
 そう、彼の光線技は全て封じられてしまったのだ。
 ウルトラマンは何一つ抵抗すること出来ずに両足、両腕・・さらには光線技までも封じられ、敵を前にして身動き一つ出来ない状態にされてしまったのだ。

ウルトラマン:私をどうするつもりだ・・・
ダダ:こうするのさ!
ウルトラマン:・・・・?!・・・・

カチッ
ウィィィィィン

ウルトラマン:こ、これは一体どういうことだ・・・
ダダ:誰が人間標本を作るって言った?
ウルトラマン:・・・?
ダダ:ウルトラ戦士を標本とすることに決めたのさ
ウルトラマン:・・・?!・・・な、何っ・・・・
ダダ:しかし、お前らのデータがない・・そこで、俺が囮になったわけだ

 驚愕の事実を語られるも今のウルトラマンにはどうすることも出来ない。
 両足を地面につなぎとめられ、両腕は首と共に拘束されているのだから。
 おまけにその状態だけでも逃げることも戦うことも出来ないのに、地面からせり上がったカプセルに拘束状態のまま、閉じ込められてしまったのだ。

ダダ:お前を拉致するついでに光の国の戦士の耐冷気能力を試験する
ウルトラマン:くそっ外れない・・・(まずい・・・このままでは・・・)
ダダ:さぁ・・お前達は何度で凍りつくんだ?
ウルトラマン:く、くそっ・・・卑怯だぞ・・・ダダ!
ダダ:何とでも言え・・戦いを甘く見たお前が悪いんだから・・・

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 ダダの不気味な顔が邪悪に染まった瞬間、カプセルはその笑みを合図にしたように強烈な冷気を満たし始めた。
 瞬く間にカプセル内は白い冷気で満たされ、中が見えないほどにガスが充満していった。

ウルトラマン:・・・く・・そっ・・・・・・・・・
ダダ:ん?生命反応が低下した・・・これがやつらの限界か・・・なるほど・・・

 ダダは冷気によるウルトラマンの反応の詳細を記録し、母星へと送信していた。
 十分な結果を得た後、冷気が排出されるとそこには地球の守護神:ウルトラマンではなく、ダダの標本第一号がカプセルの中で体を白く染められ氷のオブジェとして直立していた。
 瞳には光はなく、カラータイマーも青いまま凍結していた。
 彼の敗北の時は止まり、これから始まる地獄とも思える時間への準備が刻一刻と行われていた。

 標本が逃げられないことを確認したためかカプセルは地面に戻っていった。
 両足を地面につなぎとめていた忌まわしい硬化した液体は再び液化し、ウルトラマンの脛の部分を包み込み自身を重りとするために硬化した。
 両腕と首をつなぐ板状の拘束具は形を変え、拘束具から鎖が伸びてダダの手に握られた。
 両足に重し、首には鎖付きの巨大な首輪を嵌められたウルトラマンの氷像を抱えダダは母船へと戻っていった。

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驕り 0話:後悔 と read me first

read me first
どうも、皆様、こんばんは
ブログを始めて2回目のコラボレーション作品をアップします
この度、お付き合いいただいた方は 「bulge of the fist」カナンガさんです♪

前回ご協力いただいた隼さんといい、今回お付き合いいただいているカナンガさんといい
本当に書き手として幸せです♪

一気にではなくちょいちょいのアップになりますが
どうぞ皆様、お楽しみください

では どぞぉ~





タイトル「驕り」

第0話:後悔

ダダ:残念だったなぁ、ウルトラマン・・・お前はもう助からない・・・
ウルトラマン:・・・・くっ・・・・
ダダ:助けの来ない、この星でお前は処刑されるのだ・・・ふははははは・・・
ウルトラマン:何故・・何故こんなことに・・・・
ダダ:何故?おかしなことを言うな、ウルトラマン
ウルトラマン:どういう意味だ・・・
ダダ:お前が我らダダ一族を甘く見ていたこと、その油断が原因ではないか
ウルトラマン:私は油断など・・・・・

 そう、ダダの言うとおりだった・・・私は油断していたのだ。
 長らく地球を守護し、光の国ではウルトラ兄弟として憧れの存在と言われるまでになった。
 ゼットンに敗北こそしたが、常に勝ち続け、星を守り続けてきたのだ。
 その経験と安定した結果から私は油断してしまった。
 
 いや・・・相手を・・このダダを見くびっていたのかもしれない。

 あの時、油断さえしなければ・・・・




 時はさかのぼる・・・落ちた砂時計は舞い上がり、時計の針も逆に回る

本能のままに



 ここは宇宙の果て・・辺境の惑星にあるのどかな村。
 どこもかしこも縞々模様の宇宙人:ダダが住む平和な星。
 今日もダダおじいちゃんにお話を聞かせてもらう時間が来ました。


小ダダ:ねぇ、ダダおじいちゃん。
ダダおじいちゃん:なんだい?
小ダダ:ウルトラマンジャックってベムスターに勝てなかったって本当?
ダダおじいちゃん:あぁ・・そうだよ・・・今はジャックと呼ぶのかい?帰ってきたウルトラマンは確かにベムスターに負けたんだよ
小ダダ:死んじゃったの?どうなったの?ねぇ、おじいちゃん
ダダおじいちゃん:死んじゃったわけではないんだよ・・・セブンが助けてくれたからリベンジすることが出来たんだ
小ダダ:そうなんだぁ・・・どうやってそんなにいきなり強くなったの?
ダダおじいちゃん:それはね、セブンの与えたアイテムでリベンジすることが出来たんだよ
小ダダ:ふ~ん。じゃあさぁ、もしもそのアイテムも効かなかったらどうなってたの?
ダダおじいちゃん:そうだねぇ・・・今日はそれをお話しようか
小ダダ:わぁ~い
ダダおじいちゃん:あれは宇宙ステーションを食べ終えて地球にベムスターが降り立ったところから始まった・・・・


 地球に降り立つ不気味な影・・・無限の食欲を持った宇宙大怪獣ベムスターが次の餌場に選んだのは青い星:地球であった。
 鳥のような姿ではるものの、1番の特徴である第二の口が腹部についており、目は餌を探して爛爛と輝いていた。

シュアァァァァァァァァ!

ベムスター:キェェェェェェアッ
ジャック:こいつが宇宙ステーションを・・・・・

バンバン バンバン

 目の前にある天然ガスタンクを食そうとした瞬間、間に入り邪魔したジャックに対して怒りを顕にして両方の爪をぶつけ合い、勢いをつけるベムスター。
 身構えるジャックに対して全力のタックルで臨む大怪獣。

ジャック:お、おさえきれない・・・・ぐわっ・・・・・
ベムスター:キィィィィィィィッ

ズドォォォォォォン

 予想以上の力に容易く撥ね退けられる光の国の戦士。
 猛牛の様に突進してきた大怪獣は人形の様に跳ね除けられた獲物を見て気分をよくしたのか、倒れているジャックに覆いかぶさり自慢の爪を思う存分披露し始めた。
 両腕にある1本の爪は容赦なくジャックに振り下ろされ、体を痛めつけていく。

ジャック:くっ・・くそっ・・・・・テヤァァァァァァッ!
ベムスター:キェェェェェアッ  キィィィィィィィッ
ジャック:くっ・・くそっ・・・なんて力なんだ・・・・
ベムスター:アァァァァァアッ  キィィィィィィッ
ジャック:・・・?!・・・し、しまった・・・

 目の前にいる強敵をいかにして倒すか・・いや、自分にこいつは倒せるのか・・・
 考えに集中していたため、再び突進してくるベムスターに対して対応するのが遅れてしまった。

ガッ・・・・フワァッ・・・・・
ズダァァァァァァン

 頭部につく立派な角でジャックの腹部を突き上げ、空高く舞い上げてしまった。
 決して小柄なわけではないジャックをいとも簡単に弾き飛ばすことができるベムスターの力は、地球の守護者の想像を大きく超えているものだった。

ジャック:・・・う、うぐっ・・・・?!・・・・ぐわぁぁぁぁ・・・
ベムスター:キィィィィィ キェェェェェェアッ

 地面に倒れ伏すジャックの顔面に強烈な蹴撃を加えるベムスター。
 四つんばいの状態で顔を蹴り上げられ、宙返りをするかのように一回転して地面に倒れるジャック。

ベムスター


ジャック:・・・こ、このままでは・・・やられてしまう・・・・こうなれば!!

 勝者の余裕なのか、それともジャックを品定めしていたのか・・・襲ってこないベムスターに対し、切り札とも言えるスペシウム光線を放つ!

ジャック:・・・・くっ・・・やったか・・・・・?!・・・な、なにっ?!
ベムスター:・・・キェェェェェアッ キィィィィィィィッ

 体の中心に命中したはずのスペシウム光線
 敵を粉砕するはずのスペシウム光線
 ジャックの切り札である必殺のスペシウム光線

 これで戦闘が終わる・・そう思っていたジャックの目の前で予想もしなかった事態が起こったのだった。
 ベムスターの体に真っ直ぐに飛んでいたスペシウム光線は直撃の瞬間に捻じ曲がり、第二の口に全て飲み込まれてしまったのだ。
 エネルギーを削って放つ必殺技さえもこの敵の前には単なる栄養でしかないのである。

ジャック:・・・だめだ・・・?!・・そ、そうだ・・・

 ジャックは空を見上げ、何かを見つけ、飛び立ってしまった・・・・。
 そう、地球の守護者は降り立った宇宙大怪獣に敗北してしまったのである。

 
地球人:ま、負けた・・・ウルトラマンが・・・負けた・・・
地球人:そんな・・・ど、どうしよう・・・・
地球人:に、逃げないと・・・・逃げろぉぉぉぉぉぉ


 地球人の視線の遥か先、ベムスターを残し飛び立ったジャックが向かったのは母なる太陽であった。
 突如として現れた大怪獣に対抗する力をもらうために太陽に飛んだのである。


ジャック:太陽よ このわたしをもっと強くしてくれ。お前がお前の子である地球を愛しているのなら、この私にベムスターと互角に戦える力を与えてくれ
謎の声:ウルトラマン これ以上、太陽に近づいてはならない
ジャック:誰だっ!わたしを呼んでいるのは?
謎の声:引き返すのだ、ウルトラマン!太陽の引力圏に捕らわれたら最期だ。引き返すのだ!

 危険を告知する謎の声の忠告を無視し、太陽に近づくジャック。
 しかし、力を与えてもらうどころか、謎の声の忠告どおりにジャックは太陽の引力に捕らわれてしまい炎の中に引き込まれ始めた。
 
ジャック:か、体が・・・くそっ・・・も、戻れない・・・
謎の声:だから、言ったのだ
ジャック:あ、あなたは・・・?!

 太陽にぐんぐん引き寄せられ、飲み込まれるかと思った瞬間、ジャックを抱え、太陽の引力圏から離脱したのはウルトラ兄弟三男:ウルトラセブンであった。

ジャック:あなたはウルトラセブン・・・
セブン:これを授けよう!
ジャック:・・・?!・・・こ、これは!!!
セブン:それさえあれば、ベムスターとも互角に戦えよう!さぁ、地球に戻るのだ!
ジャック:はい!ありがとうございます

 ウルトラブレスレットを手に、セブンの元から離れベムスターに再戦するために地球へと急いだ!

ベムスター:キィィィィィィッ キェェェェェェェェ
ジャック:テヤァァァァァ!

 ジャックのいなかった間に町は破壊され、天然ガスのタンクは全て食されたあとだった。

バサッ バサッ
ブワァァァァァァァァァァァァァァァ

 見た目通りに羽と思われる部分を羽ばたかせ強烈な風を起こすベムスター。
 力を入れていないと吹き飛ばされてしまう様な風に、ジャックはじっとしているのがやっとであった。

ジャック:くっ・・このブレスレットで強くなっても格闘戦ではダメかっ・・よし!早速、使わせてもらいます!
ベムスター:キェェェェェ アァァァァァァァン
ジャック:くらえっ!

 左腕に輝くブレスレットに右手をかざし、光のブーメランとしてベムスターに投げつけた!
 速度を上げ、大怪獣に襲い掛かる光の刃・・・今度こそ、今度こそ勝利できる!
 そう信じたジャックの、そうなると思っているセブンの予想は大きく裏切られ、絶望が顔を見せ始めた。
 
 光の刃も軌道を捻じ曲げられ第二の口に飲み込まれていったのである。

ジャック:・・・そ、そんな・・・・ブレスレットが・・・・
ベムスター:キィィィィィ・・・?・・・?!・・・・キェェェェェェェェェエッ
ジャック:・・・?!・・・・

カランコロン

 第二の口から赤茶色の塊が吐き出されたのである・・・そう、ブレスレットの変わり果てた姿であった。
 第二の口に飲み込まれ、エネルギーや力を全て吸収され尽くし、消化液に晒されて溶けかかった状態で吐き出されてしまったのだ・・・。
 しかし、ジャックの見た悲劇はそれだけではなかった。
 セブンが与えたアイテムの恩恵をもれなく享受したベムスターの体は力に満ち溢れ、以前よりも強大な存在として再臨したのである。

ジャック:・・・?!・・・・ぐわぁぁぁぁぁ
ベムスター:クワッ キェェェェェェェエッ

 最高の食事にありつけたベムスターは改めてジャックを見つめ、食事を邪魔する敵から食事へと認識を改めたのである。
 そして、宇宙ステーションよりもはるかに大きいジャックはさすがの大怪獣も第二の口で飲み込むことは出来ないらしく、腹部の口を大きく開き灰色の消化液を大量に吐き

出した。
 ブレスレットを一瞬にしてガラクタに変えた強力な消化液をジャックの全身に余すところなく吹きかけたのだ。

ジャック:・・・?!・・・こ、これは消化液!!・・ぐっ・・・と、溶けてしまう・・・・・
ベムスター:キィィィィ キィィィィ 

 地面を転がるジャックを見下ろし、喜びながら消化液を追加で吐きかけるベムスター。
 転がり悶えるも消化液は拭えるわけもなく、煙をあげて体を蝕み始めた。
 赤と銀の輝く体は白く変色し、ベムスターが対峙しているのはすでに戦士ではないのかもしれない・・・・。
 
ジャック:・・こ、このままでは・・・・・?!・・・な、何を・・・・・ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁ

 苦しむジャックを仰向けにし、マウントポジションをとったベムスターはカラータイマーからエネルギーを搾り取り始めた。
 腹部にまたがっているだけで四肢を封じることもしない・・・いや、必要ないのかもしれない・・・・。
 もがくジャックの拳も足も、ベムスターにとっては攻撃として認識されないほどのものであった。

ピコン・・・・ピコン・・・・・・・・・・・ピコン・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ピコン

 次第に音が弱くなり、点滅の間隔も長くなるジャックの命の灯火。
 息の根を止めないように!そう考えたのか、ベムスターはカラータイマーが消える寸前でマウントポジションを解除し、ジャックを蹴り転がした。
 抵抗することもなく、悶えることさえも出来なくなり、人形の様に地面を転がる光の国の戦士。
 
ジャック:・・・あっ・・・あぅ・・・・・・・・・
ベムスター:キェェェェェェアッ キィィィィィィィ

 ジャックの頭部側に回り込み、消化液に汚れたジャックの顔を抱え込み、腹部へと誘導していった・・・・・。

ズブズブ ズブズブズブ・・・・・・ギュル・・・・・

 音を立てて存在がなくなっていく地球の守護者・・・・。

バタバタ・・・・バタ・・・・・
ズブズブ ズブズブズブ シュルシュル

ベムスター:キェェェェェェ キィィィィィ アァァァァァン

 歓喜の声と共に飛び立つベムスター・・・・そこに残されたのはジャックに浴びせかけた消化液の液溜まりだけであった。
 次の獲物を求めて光の国の方向へと飛び去って行った。  
 



ダダおじいちゃん:どうだい?
小ダダ:なるほどねぇ
ダダおじいちゃん:おじいちゃんが現役ならベムスターも手なずけることが出来るんだ
小ダダ:え?本当?
ダダおじいちゃん:あぁ、本当さ。おじいちゃんはベムスターよりも強いからねぇ
小ダダ:すごぉ~い!!!
ダダおじいちゃん:また、今度、お話してあげようねぇ
小ダダ:うん、わかったぁ


 これは平和なダダの村での空想のお話・・・そう、空想の
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いぬいbまさる

Author:いぬいbまさる
どうも!いぬいBまさるです。
詳しいストライクゾーンなどは「敗北の味は密の味」にて

ここでは小説を掲載していこうと考えています。
図書館みたいになるといいなぁ~♪

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