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プリンス オブ スレイブ4話

4話
 光の国のプリンス・タロウ。
 ゾフィーからのウルトラサインを受け、駆けつけた月面で兄弟達の惨めな姿を見せつけられ、呆然と立ち尽くしている間に自らも敵に捕獲されてしまったのだった。
 時間が経てば経つほど体の自由はなくなり、次第に希望がなくなっていく焦燥感に襲われていた。
 

 つれて来られた実験室はさらに奥があった。
 装置こそ止まっているものの、ブロンズに加え装置につながれた哀れ極まりないマンとセブンが気になりはするが、選択の自由がないタロウは2人をを置き去りに奥へと進むしかなかった。

ヒッポリト「ここでは2人に精神の強さを測らせてもらっているんだ」
タロウ「な・・・・・何を・・・・しているんだ?」

 巨大な虫のような生き物の腹の中に飲み込まれているジャック。
 そして、タイマーや片目など、体の一部分だけが元に戻されそこに刃物が迫るゾフィーが奥の部屋には鎮座していた。
 
ヒッポリト「この虫は精神を蝕む凶悪な虫なんだ。今頃、徐々にジャックの精神は汚され、食べられていることだろう」
タロウ「ジ、ジャック兄さん!しっかりしてくれ!」
ヒッポリト「無駄無駄・・ブロンズに体は侵されているんだ、聞こえはしないよ」
タロウ「くっ・・・」
ヒッポリト「ゾフィーは物理的な刺激にどこまで精神が壊れずに耐えられるのか」
タロウ「なんてむごいことを・・・」
ヒッポリト「助けたいですか?」
タロウ「?!・・・あ、当たり前だろう!」
ヒッポリト「もうわかっていると思いますが」
タロウ「な、何をつければいいんだ・・・?」
ヒッポリト「さぁ、ここに膝をつきなさい!」

 渋々タロウが膝をつくと、ヒッポリトはロイヤルファミリーの証:ウルトラホーンをアンチストリウム鋼でコーティングしてしまったのだ。

タロウ「な、何を・・・はぁ・・・はぁ・・・・した・・・」
ヒッポリト「あなたの自慢のウルトラホーンをアンチストリウム鋼でコーティングしたんですよ。まだ終わってませんよ?動かないでください」
タロウ「・・・っ・・・・・」

 今度は立派な2枚の盾のような胸板に液体金属を塗りつける。
 塗りつけられた途端、まるで生き物の様に脈動し始め、タロウの胸板を怪しくもみほぐし始めたのだ。

タロウ「な、何なんだ・・・はぁ・・はぁ・・・・こ、これ・・は・・・」
ヒッポリト「いえねぇ、あなたをどこまでも貶めようかと思いまして・・・光の国のプリンスが淫乱に喘ぐなんて・・・なかなか見られないでしょう?」

 タロウの体に施された数々の拘束具はエネルギーの吸収、封印だけが効果ではなかった。
 光の戦士であるタロウの体に麻薬の様に作用し、刺激に興奮し、快楽を求めるようになり始めていたのだ。

ヒッポリト「どうしたんです?苦しそうですねぇ」
タロウ「そ、そんなこと・・・は・・・ない・・・(くそ、反撃が出来ない・・・)」

 莫大なエネルギーを保有しているウルトラホーンを封じられた今、ヒッポリトと戦う力は残されていなかった。
 さらに、拷問とも言える実験が止まっているとは言え、4人が人質にいる状況ではまるで手の出しようがないのだ・・・・。


ヒッポリト「・・・?!・・・ふふふ・・・さぁ、タロウ・・・最初の部屋に戻るぞ・・・・」
タロウ「・・・くっ・・・・・」

 何か通信でも受けたのか、突然、部屋に戻るといい始めたヒッポリト。
 その行動よりも、今のタロウにはこの実験室にいる4人のことが気がかりで仕方がなかった。
 ヒッポリトに鎖を引かれ、実験室を出た途端、タロウが身の自由を賭して結んだ約束がなかったかのように実験が開始されてしまったのだ。
 マンやセブンは股間部から強制的に種を搾取され、エネルギーと共に機密情報が抜き取られ始めた。
 ジャックは精神を犯され、ゾフィーは体のいたる部分に拷問とも言える攻撃を加えられ叫び声さえもあげることを許されず、精神を責め続けられていた。

 そんなこととは知らず、部屋に戻ったタロウの前にはあの悪魔のカプセルが2つ用意されていた。
 中が見えないカプセル・・だが、中にはおそらくウルトラ戦士がいるだろうことは誰の目にも明らかだった。

ヒッポリト「あなたを追ってきたところを捕らえたんです」

 言葉に合わせて1つだけカプセルの中が透けて見え始めた。
 
タロウ「・・・メ、メビウス・・・・メビウス!」
メビウス「・・・・・(何か、脱出の手がかりは・・・)」
ヒッポリト「あなたの声は届かず、中からは何も見えていませんよ」
タロウ「ど、どうするつもりだ・・・・」
ヒッポリト「そうですねぇ・・・あなたが私たちの奴隷になると言うのなら助けてあげなくもないですが?」
タロウ「?!ど、奴隷だと!」
ヒッポリト「えぇ、確かにそう言いましたが?」
タロウ「(光の国のプリンスであるわたしが・・言えるわけがない・・・それに私までもが人質になるわけには・・・・・・)」

 弟子の命を助けたい、だけど条件は飲めない・・・そう思い始めた矢先だった。
 ヒッポリトの触手が2つ光り、カプセルが作動し始めた。

メビウス「な、なんだこれ・・・ぐ、苦しい・・・・ち、力が抜けて・・・いく・・・」
タロウ「な、何を・・・」
ヒッポリト「あなたが迷っているようなのでブロンズ化を開始したんですよ」

 話をしている間にも、メビウスのカプセルの壁面には深緑色の液体が流れ出していた。
 タロウが迷っている間にメビウスの動きが緩慢になり、着実に接着液で固められてしまっていた。

メビウス「か・・らだが・・うご・・・かない・・・・」
タロウ「メ、メビウス・・・わ、わかった、奴隷になる・・・だから・・」
ヒッポリト「では、光の国と地球にその中継をしましょう」
タロウ「・・・?!・・・わ・・・・わかった・・・・・・」
メビウス「・・から・・・だ・・が・・・かた・・められ・・・て・・・」
ヒッポリト「急いだほうがいいようですよ?」
タロウ「わ、わかった・・・・・わ、わたしは・・・ヒッポリト星人の・・・奴隷として・・・一生を・・・捧げます・・・」

 モコモコモコモコモコモコ

メビウス「ぁぁぁぁぁぁっ・・・・・っ・・・・」
ヒッポリト「一足遅かったようですね・・・」
タロウ「メビ・・・ウス・・・・・」

 タロウが奴隷になると宣言した直後、メビウスのエネルギーは底をつき、完全に接着液に固められた体にはヒッポリトタールが降り注いでいた。
 そして、仕上げのガスがカプセルに充満しブロンズへと姿を変えられてしまったのだ。
 兄弟も弟子も救うことが出来ない・・・失意のどん底に沈むタロウ。
 落胆するタロウを待っていてくれるほど優しいご主人様ではなかったのだ。
 徐にタロウの後頭部を掴むといつの間にか用意されていた液溜まりに顔を移動させていく。

タロウ「・・・な、何を・・・する・・つもりだ・・・」
ヒッポリト「あなたはもう奴隷なんですよ?この星では奴隷はマスクをするキマリなんです・・・」
タロウ「マ・・・スク・・?」
ヒッポリト「えぇ、奴隷の証としてね・・一生、外せないマスクを・・ねっ!」

 最後の言葉にあわせ、力いっぱい液溜まりにタロウの顔を沈めていく。
 タロウの顔がすっぽりと沈むとそのまま腕に力を入れて固定してしまった。
 もがくタロウなどおかまいなしに一向にその手を離そうとしないヒッポリト。

タロウ「んぐ・・・んんっ・・・んぐぐっ・・・・」
ヒッポリト「・・・・これで、あなたは正式な奴隷ですよ・・・ふはははははは・・・・」
タロウ「はぁ・・はぁ・・はぁ・・・・・」

 ようやく解放されたタロウの顔。
 地面に四つんばいで息をしながら、おそるおそる自分の顔を触ってみる。
 ブロンズのマスクを装着され、起伏をそのままに奴隷の証としてブロンズにされた顔。 
 光の国のプリンス・ウルトラマンタロウの端正な顔は見るも無残なものへと変えられてしまった。
 そのマスクには見た目だけではなく、驚くべき作用があった。
 頭をすっぽりと包み込み、神経や脳をコントロールすることさえ可能であった。
 文字通り、奴隷になるのである・・。

ヒッポリト「さぁ、奴隷としての初仕事をしてもらいましょうかね」
タロウ「(仕事だと)は・・い・・・ヒッポリト・・・さ・・ま・・・・(な、何を言っているんだ、わたしは!)」
ヒッポリト「もう1つのカプセル・・・あの中の人を処刑しないといけません・・・」
タロウ「(だ、誰がいるんだ)はい・・・ヒッポリト・・さま・・・(くそ、抗えないのか・・・)」

 マスクをされてからと言うもの、言葉は完全に支配されてしまった。
 さらに、淫らに股間は振られ胸の刺激も甘んじて受けるようになり種をどんどん生成しては貞操帯に堰きとめられる責め苦に陥れられ始めたのである。

 処刑とは言うもののカプセルは透き通らず、ヒッポリトにボタンを手渡されるだけであった。
 
ヒッポリト「さぁ・・それを押しなさい・・・そして、中の人を処刑するのです」
タロウ「(わ、私が仲間を処刑?!)わかり・・・ました・・・ヒッポリト様」
 
 その頃、カプセルの中では変化が起きていた。
 メビウスの時とは逆に外からは見えないが、中からは見えるように細工がされていたのだ。

ウルトラの父「タ・・タロウ・・・・?!・・ど、どうしたのだ・・その姿は・・・・」
ヒッポリト「さぁ、きっと最期の時をじらされて死刑囚も困っていることでしょう」
タロウ「わかり・・・ました・・・・・」
ウルトラの父「?!・・操られているのか?・・・くそっ・・・なんて頑丈なカプセルなんだ」

 ウルトラ警備隊・大隊長であるウルトラの父の力をもってしても傷さえもつかないカプセル。
 そして、ついに目の前で最愛の息子・タロウが処刑のスイッチを押してしまう。

 ボタンを押すとカプセルの中ではタロウにも施されたエネルギー吸収光が放出され、ウルトラの父のエネルギーを奪い始める。

 ウルトラの父「ど、どういうことだ・・・エネルギーが・・・奪われて・・・いく」

 続けざまに光を発しながら接着液が降り注ぎ、屈強な体の時間を止めていく。
 体に付着すると流れ落ちることなくそのまま体に張り付き、自由を奪っていくのだ。

 ウルトラの父「・・?!・・・か・・らだが・・・うごかな・・・い・・・」

 ピコンピコンピコン・・・ピコン・・・ピコン・・・・・・ピコン・・・・・・・・

 次第に遅くなるタイマーの音。
 そして、乱滅する瞳。

 ウルトラの父「や・・めるんだ・・・タロウ・・・・タ・・ロウ・・・」
 ヒッポリト「さぁ・・・とどめにもう1度ボタンを押しなさい」
 タロウ「わかりました・・・(や、やめろ・・やめるんだ!くそっ!)」

 ヒッポリトの命令により体をコントロールされ、意識あるまま体が勝手にカプセルの中の同胞を処刑してしまう。
 届かない声を必死に振り絞り息子に呼びかけるが、それも虚しく、接着液に固められた体にヒッポリトタールが降り注ぐ。
 分厚い胸板も頑丈な四肢も自慢のウルトラホーンも場所を選ばず全てを深緑色に染めていく。
 そして、ついにウルトラの父のエネルギーも底をつきかけた時、ヒッポリトがカプセルを透き通らせた。

ヒッポリト「さぁ、最期の瞬間です・・・誰を処刑したのか顔がみたいでしょう?」
タロウ「・・・?!・・・・・(と、とうさん・・・・とぉぉぉぉさぁぁぁぁぁぁぁん)」
ウルトラの父「ウルトラの・・・星を・・・・頼んだ・・・・ぞ・・・・・」

 シュゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ・・・・・モクモクモクモクモクモクモクモク
 シャァァァァァァァァァァァァ・・・・・

 ヒッポリトの憎むべき相手・ウルトラ戦士・・その大隊長には特別な措置がとられていた。
 息子の手による処刑・・そして、ヒッポリトでさえも剥がすことが出来ないコーティング剤によるブロンズの永久化である。

 カプセルが消え、メビウスと共にウルトラの父のブロンズ像が出来上がった。
 その場に立ち尽くすタロウ。

タロウ「ぼくが・・・父さんを・・・処刑した・・・・・・」
ヒッポリト「そうですよ、あなたが父を亡き者にしたんです。さぁ、その調子で兄達も処刑しにいきますよ」
タロウ「(兄さんたちも?!)は・・・い・・・・ヒッポリト様・・・」


 光の国のプリンスを奴隷として隷属させ、捕らえたウルトラ戦士を全滅に追い込んだヒッポリト星人。
 その後、宇宙を侵略した際も、常に傍らにはタロウとおぼしき奴隷の姿があったという・・・・。

プリンス オブ スレイブ3話

3話
 ゾフィー以下ウルトラ6兄弟全員がヒッポリトの手中に堕ち、タロウ以外は皆ブロンズにされるという最悪の展開を迎えていた。
 しかし、ヒッポリトの見る悪夢にはまだ続きがあるようだった。

 ウィィィィィィィィィィィィィィィィィィン

 けたたましいチェーンソーの音が木霊する。
 そんな音に目を覚ますウルトラマンタロウ。

タロウ「・・・こ、ここは・・・・」
ヒッポリト「おはよう、タロウ。」
タロウ「・・・?!・・・や、やめろ!」

 挨拶の方向を向くと、そこにはブロンズと化したエースに回転するチェーンソーが向けられていた。
 ブロンズにされ砕かれた体は二度と元には戻らない・・・これは周知の事実だった。

ヒッポリト「ただではやめられませんねぇ・・・」
タロウ「ど、どういうことだ・・・」
ヒッポリト「あなたが条件を飲めば・・・エースは砕かずに置きましょう」
タロウ「じ、条件?」
ヒッポリト「(ジャラン)これをつけて私の側に仕えなさい」
タロウ「こ、これを・・・」

 タロウは投げ出された拘束具を見て戸惑い、躊躇していた。
 しかし、そんなタロウを追い詰めるために回転する刃がエースに容赦なく近づく。

タロウ「わ、わかった・・・つ、つける・・だから・・・・・」
ヒッポリト「いいでしょう・・・」

 タロウは渋々、エースを守るためにヒッポリトの条件を飲んだ。
 震える手で首輪を嵌めた。
 息のしづらさに違和感を覚えながらも歩幅が制限されてしまう足枷を嵌めていく。
 両足が予想よりも開かないことに恐怖を覚えながら、最後に光線技も出せなくなることを承知で手枷を嵌めヒッポリトの方に向き直った。

ヒッポリト「いい姿ですねぇ・・・光の国のプリンスが奴隷の様な姿になるとは・・傑作です」
タロウ「約束は守ってもらおう!」
ヒッポリト「えぇ、いいですよ。」

 ヒッポリトは頷くとデバイスを操作してネームプレート付の台座にエースを置き、部屋の中央に飾って見せた。

タロウ「(くそっ・・・絶対に助け出すから待っていてくれ、兄さん)」
ヒッポリト「さぁ、行きますよ・・・」
タロウ「んぐっ・・・」

 首輪につながった鎖を引かれ不自由な歩幅でついて歩く。
 両足も両手も満足な幅に広げられないことから反撃のチャンスがなかなか見つからない。
 例えば、隙があってもエースの他、4人の安否がわからないうちはおいそれと手出しは出来ないのが事実である。

タロウ「(他の兄さんたちは・・・大丈夫だろうか・・・)」

 そんなことをタロウが思い始めたころ、ヒッポリトの足が止まり実験施設の様な場所へと入っていく。
 タロウも引かれるまま、中に入っていくしかなかった。

タロウ「・・・・?!・・・な、何を・・・・こ、これはなんだ!」
ヒッポリト「何?って・・・ここは実験施設、あなたも表札、見たでしょう?」

 呆然とするタロウの目の前で繰り広げられていたのは想像していたよりも酷いものだった。
 マンとセブンの股間部にはメタリックのビキニの様なものが装着され、カラータイマーやビームランプには管が着けられていた。

ヒッポリト「彼らは股間部とタイマーの部分だけは元に戻し、エネルギーと戦士としての種、それに光の国の機密情報を抜き取っています」
タロウ「な、なんてことを・・・今すぐ止めろ!止めるんだ!」
ヒッポリト「何故、あなたの命令を聞かないといけないんです?」
タロウ「くっ・・・た、頼む・・・止めてくれ」
ヒッポリト「あなたがコレを装着するなら考えてもいいですよ」
タロウ「・・・?!・・・・わ、わかった・・・・・」

 今のタロウにはヒッポリトを倒すことが出来ない・・・その状況下で兄弟を守るためには言いなりになるほかなかった。
 差し出された貞操帯を足枷を一時的に外し穿いていく。
 さらにはプロテクターに液体金属を塗り込められ、漆黒に染め上げられていった。
 足枷を繋ぎなおすと貞操帯は隙間をなくし、ぴったりとタロウの股間を締め上げた。
 さらに、黒く染まったプロテクターにはストリウムエネルギーを吸い上げられ、代わりにタロウには使用出来ないエネルギーが注がれ始めてしまった。

タロウ「(ま、まずいぞ・・・時間が経てば経つほど勝ち目がなくなる・・しかし、まだジャック兄さんが・・・)」

 時間が経つごとに増えていく拘束具、恐怖、不安・・・逆に減っていく反撃のチャンス、希望。
 タロウの心は焦りで満たされ始めていた。

プリンス オブ スレイブ2話

2話

 ウルトラマンエースが地球を守っていた昔、1度だけウルトラ5兄弟が全滅したことがあった。
 その悪夢がここ、月面で再現されてしまっているのだ。
 そして、ヒッポリトは悪夢の続きを見始めようとしていた・・・。

 パトロールをしていたタロウの元にゾフィーのウルトラサインが飛ばされた。

 「エースがやられた。すぐに来てくれ!場所は・・・」

 家族同然で育ったエースの一大事、それにゾフィーが助けを求めるのは一大事であると判断し、可能な限りの速度で月面の指定座標へと向かった。



タロウ「に、兄さん・・・・」

 肩で息をしながらたどり着いた先でタロウが見たのは哀れにもブロンズにされ敗北を曝し続ける兄弟達の姿だった。

タロウ「・・・?!・・ま、待っててくれ・・・今、助けるから!」

 父から教えられたウルトラシャワーの構えをした瞬間、幻影の様に現れたカプセルに閉じ込められてしまった。

タロウ「?!・・し、しまった・・・(ドンドン)・・な、なんなんだ・・これ」
ヒッポリト「ははははははは・・愉快だ・・こうも簡単にお前達が捕まると哀れみ通り越して笑えて繰るよ」
タロウ「その声はヒッポリトか!卑怯だぞ!」
ヒッポリト「卑怯?卑怯だろうと何だろうと構わないよ。君達が破滅するのには変わりないのだから」
タロウ「ここを抜け出したらお前なんて」
ヒッポリト「抜け出したら?あまり出来ないことを口にするものじゃないぞ、タロウ」
タロウ「・・・くっ・・・私はまだ負けてはいない!」

 ヒッポリトは鼻で笑いながら触手を1本だけ輝かせカプセルを作動させた。
 4人とは違い、カプセルの内面全部から紫色の光が放たれタロウを怪しく照らしていく。

 プーポープーポー・・・プーポー・・・・・プーポー・・・・・・・・・・・

 突如、点滅を始めたカラータイマー、しかも加速度的に点滅が遅くなり今にも消えてしまいそうだった。

タロウ「こ、これは・・一体・・・・どういう・・・・・・・」

 事態の把握を終える前にエネルギーを全て吸い上げられタイマーも瞳も光を失い、カプセルの壁にもたれたまま動かなくなってしまった。
 5体のブロンズ像、タロウの閉じ込められたカプセルを陽炎の様に消すと自らも霞の様に消えてしまうヒッポリト星人。

プリンス オブ スレイブ1話

1話

ジャック「エースのウルトラサインは確かに月面と・・・」
ゾフィー「見当たらない・・・・一体どこに?」
セブン「・・・・?!・・なんだ、あれは?」
マン「降りてみよう・・・」

 ウルトラマンエースからの緊急のウルトラサインを受けたウルトラ5兄弟。

 「月面にて交戦中。救援を」

 内容はこれだけだった。
 相手もわからない、詳しい場所もわからない・・・。
 しかし、兄弟の救援信号を無視するわけにはいかない!と、月面へと急行したのだった。

セブン「なんだ、この筒状の物体は?」
ジャック「なんでしょうねぇ・・・(ゴンゴン)・・・返答はなし・・か・・・」
マン「月面を見てもこの物体以外は異常はない・・・」
ゾフィー「まさか・・・この中にエースが・・・」

 エースがそんなに簡単に敗れるとは思えない・・しかし、拭いきれない不安に4人が沈黙していると、その沈黙を割るように声が響いた。

??「ようこそ、皆さん!そして、さようなら!」

 スゥゥゥゥゥゥッ!カシャン!ガシン!

 辺りから響く声に警戒を強めた直後、予想もしない事態が4人を襲ったのだ。
 突如として現れる謎の筒・・・地面から、空中から、左右から、次々に現れては4人を閉じ込めていく。

マン「そ、その声は・・」
セブン「ヒッポリト星人!」
ジャック「まさか、エースは・・」
ヒッポリト「えぇ、そうですよ、皆さんが入っているのと同じ筒の中で物言わぬオブジェになっています」
ゾフィー「くそっ・・・・だせっ!ここからだせっ!」
ヒッポリト「まさか、捕まえておいて出すわけがない!さぁ、あなた達は生きたまま固めてさしあげましょう!」

 3つの触手から光が放たれると4人の閉じ込められたカプセルが激しく作動し始めた。

マン「こ、これは?!」
ジャック「ま、まずい・・このままでは」
ゾフィー「全滅してしまう・・しかし、どうしたらいいんだ・・」
セブン「な、何も出来なかっただなんて・・・」

 足元から高速スキャンの様に全方位から吹き付けられるヒッポリトタール。
 続いてコーティング剤が吹き付けられる。
 2層の光のように薄い線が徐々に足元から高さを上げていく。
 見た目はレーザーで体をスキャンされているようにさえ見えるその薄い深緑色の線は通過した部分を容赦なく固めていく。

マン「くっ・・・・・・」
セブン「っ・・ぐわぁぁぁぁ・・・・・・」
ジャック「っ・・・・・・・」
ゾフィー「む・・・ねん・・・・・」

 瞬く間に全身を通過しエネルギーを内包したままブロンズ像へと変えられた4人。
 固められた体表から徐々に内部へと侵食してくるブロンズ化を残されたエネルギーで必死に拒み、苦しみ続けるゾフィー達。
 
 フワァァァァァァ

 カプセルが消え、月面にはブロンズのウルトラ5兄弟が林立していた。
 戦いの末、エネルギーが枯渇したまま固められたエースと違い、残る4人は今も尚固められた体の内部で必死にブロンズ化に抗い続けていた。
 この光景はあの時の光景と同じ・・・場所が違うだけであった。

 ヒッポリトの両手からニセのウルトラサインが放たれ救援信号が出された。

ヒッポリト「さぁ・・・こい、こいつらはお前をおびき出すための餌に過ぎない・・・本番はこれからだ」

プリンス オブ スレイブ0話

read me first
どうも、こんにちは・こんばんは
この度はリクエストを頂戴しまして、久しぶりに書いてみました。
依頼主さんから許可をいただきましたのでこちらにも載せさせていただくことになりました。

隷属ってそそられますよねぇ・・・・。
皆さんは誰を隷属させたいですか?





プリンス オブ スレイブ

0話

???「く、くそっ・・・これじゃ、あの時と・・・・」
??「ふははははは・・・全く学習能力というものがないようだなぁ・・・」
???「・・・っ・・く・・・そ・・・・・・」

 光の国の戦士が地球を守り始めて何年が経っただろうか・・・。
 幾多の侵略者から命を賭して守り続け、ついにはそんなウルトラマン達をしっかりサポートし、時には助けることさえ出来るようになった地球人。
 そんな彼らのすぐ目の前・・・月面で悲劇は起きていた。

??「これでいい・・・あとは待っていればいいのだから・・・」


続く
プロフィール

いぬいbまさる

Author:いぬいbまさる
どうも!いぬいBまさるです。
詳しいストライクゾーンなどは「敗北の味は密の味」にて

ここでは小説を掲載していこうと考えています。
図書館みたいになるといいなぁ~♪

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