悪魔のストーンアート
タイトル:悪魔のストーンアート
ここは宇宙の果て・・辺境の惑星にあるのどかな村。
どこもかしこも縞々模様の宇宙人:ダダが住む平和な星。
今日もダダおじいちゃんにお話を聞かせてもらう時間が来ました。
小ダダ:ねぇ、ダダおじいちゃん。
ダダおじいちゃん:おっ、今日も来たねぇ
小ダダ:ウルトラマンを精神的に攻撃した宇宙人がいたって本当?
ダダおじいちゃん:そうだなぁ・・・デビロンって知ってるかい?
小ダダ:あっ!知ってる知ってる・・・なかなか奇抜な格好した緑色のでしょ?
ダダおじいちゃん:覚え方がアグレッシブになってきたのぉ・・・あいつはウルトラマン80に精神攻撃を使ったんじゃ
小ダダ:ウルトラ一族ってやっぱり精神も頑丈なの?
ダダおじいちゃん:かなり危ないところまで攻め込まれたが、80は気力で乗り切ったんだ
小ダダ:へぇ~・・・じゃあさ、じゃあさ、もっとデビロンが上手だったらどうなったの???
ダダおじいちゃん:そうだねぇ・・・今日はそれをお話しようか
小ダダ:わぁ~い
ダダおじいちゃん:あれはデビロンから80が人質を解放したところから始まった・・・
宇宙の悪魔の異名を取るテレパシー怪獣デビロン・・・この招かれざる客は綺麗なオブジェの姿で地球へと侵入してきたのだった。
美術館に飾られてもなんら不思議のないその”スノーアート”と称された結晶体は、見るものを楽しませるそんな素敵なものではなかった。
その昔、宇宙の星々を崩壊させ続けていたこの悪魔を封じ込めるのに使われた・・・そう言うならば棺のようなものだった。
確かに、この封印さえ解けなければ綺麗なオブジェとして見られていたかもしれない・・・。
しかし、この平和であり続けたいという願いは簡単に破られ、この封印は解き放たれ悪魔が地球へと解放されてしまったのだ。
人質をとりながら巨大化したその体で街を破壊し始めていたのだ。
デビロンを食い止めるべく現れた80も人質がいるとなると手が出せない・・・。
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しかし、街をこのまま破壊させ続けるわけにもいかない。
弱点である真空状態を作り出しデビロンから人質を奪い返すことに成功した80だったが、今度は次の寄生先として80が選ばれたのだった。
80:くっ・・・くそっ・・・で、出て行くんだデビロン
デビロン:出て行く?笑わせるな・・お前が私の宿主を奪ったのではないか・・その代償は払ってもらうぞ!80
80:ひ、卑怯だぞ・・・正々堂々戦え!
デビロン:もう手遅れだ・・お前の体は俺のものだ・・・ほら、右足・・・次は左足・・・お前の体は俺の意のままじゃないか
80:・・?!・・・そ、そんなことは・・・ない(ま、まさか・・・いや、まだ乗っ取られてはいないはず・・・)
体の中で争い合う80とデビロン。
しかし、格闘戦なら80が有利だったであろうが、精神での戦いでは”宇宙の悪魔”が1枚上手のようだった。
デビロンは80に体の動きを予言し、自分の言うとおりに動いていると言ってのけたのだ。
しかし、これは予言でも何でもない、80が体を動かす時に生じる電気刺激を読み取って、その体の部分をいち早く告げただけなのである。
名高い悪魔なだけに、場数の多さはお墨付きなのである。電気信号からその後の動きなどはある程度予想がつく・・・この予言は高確率な予想なのである。
慣れない精神戦で冷静さを欠いている80はそのデビロンの予言が本当に当たってしまったように思えていたのだ。
そう、これがデビロンが”悪魔”と呼ばれていた理由の1つである。
デビロン:左手・・・左足・・・頭を振ろうか・・・くくくく・・・・
80:や、やめろっ!・・こ、これは・・わ、わたしの意思だ!(な、何故・・・あいつは私の動きが読める・・・?)
デビロン:右手と左手で頭を抑えてやろう・・・ほら、わからないのだろう?何でわたしがお前の動きを読めるのか
80:くっ・・・・
デビロン:読んでいるのではない・・・もう、お前の体ではないんだから・・・自分の目で見てみるといい・・・
80:そ、そんなわけ・・
「自分の体はすでに乗っ取られている」
その言葉に動揺する80・・しかし、敵が言うとおりに体が動いているのは紛れもない事実だった・・・。
「自分の目で確かめる」
確かめて見たい・・・そう思った80はふと、側にあるガラス張りのビルに意識が向いた。
その意識の移動を見逃すデビロンではなかった。
デビロン:ほら、そこのビルまで移動させてやるよ・・・
80:う、うるさいっ!・・だ、だまれっ!
デビロン:ちゃんと歩いてビルまで行けるように体に指示をだしてやっているというのに、感謝してもらいたいくらいだ
80:(本当に体は・・・?!・・・いや、弱気になってはいけない・・・こいつの思うつぼだ・・・まずは)
デビロン:足から見ていくといい
80:・・・?!・・・・(わ、わたしが言う前に足を・・・ど、どういうことだ?)
デビロン:ほら、ちゃんと前を見ろ、自分が言うより先に足に意識を向けられたことに驚く暇はないぞ
80:・・・・?!・・・なっ・・・なんだ・・・これは・・・
ビルのガラスに反射して映った姿は、鍛え上げられた銀と赤のボディに精悍な顔立ちの80の姿ではなく、宇宙を破壊し尽くす宇宙の悪魔の姿だった。
光の国の戦士の姿など欠片も残っていない・・・そこにいるのは無機質な体からなる悪魔の姿であった。
80:・・・・・(いや、反射させた姿は幻かもしれない・・実際に)
デビロン:手や足を見てみたいんだろう?
80:・・・・・?!・・・・・い、いつの間に・・・
こんなこと、起こるわけがない・・・そう言い聞かせながら自分の手足を見た・・・いや、見ることを意識づけられた80の目に映ったのはやはりあの悪魔の体だった。
手足だけじゃない、自分の腹部や腕なども見てみるが、どこを見てみてもあの輝かしい体はどこにもなく、目を向ける場所が全て忌まわしい悪魔の体に変わっていた。
自分の体を見ることに集中する80をよそに、デビロンは次の段階へとコマを進めていた。
キラキラキラキラ
周りの様子など一切気にする余裕がない80の背後に80を模した石像が出現したのだ。
もちろん、その石像の出現に80が気が付くはずもなく、相変わらず、もとの体が残っている部分はないのかを探し続けていた。
しかし、何をやっても無駄なのである・・・視覚をデビロンに支配されてしまい、見るもの全ての情報を操作されてしまっているのだから。
ビルに映った体も、実際に自分で見た体も全て本来の80の体であるが、デビロンの体に変えられたものだと認識させられているのだ。
同じようにして、ビルに石像が反射してもそれを目でとられることができないのだ。
音も触覚も全てはデビロンの思うがまま・・・・知らぬ間に80はデビロンの罠に幾重にもかけられてしまっているのだった。
右に意識が集中すれば左を支配し、その左に意識がいけば右を支配し・・・そうやって五感の全ても意識も支配されていく・・・宇宙の悪魔の常套手段だった。
デビロン:いつの間に?何を言っている?この体は俺のもの・・・お前の体はそこにあるじゃないか
80:・・・・?!・・・・こ、これは・・・
デビロン:お前の体さ・・・・
デビロンに意識を完全に操作されつつある80は悪魔の言うとおりに背後にある石像に意識を向けた。
「お前の体」 悪魔がそう言ったその石像は自分がずっと探していたあの体なのである。
光の国の戦士として地球を守っていたあの逞しい体・・・しかし、その体は完全な石になりカラータイマーも石に変わっている状態だった。
80:わ、わたしの体・・?!・・じゃあ、今のこの体は・・・
デビロン:だから、何度言わせるのだ?これは俺の体だと言ってるじゃないか
80:いや、そんなはずは・・・お前がわたしを乗っ取ろうと
デビロン:これがお前の体なのだとしたら、どうしてそこにお前の体があるんだ?
80:・・・・・・・
デビロン:それに、今までここに至るまでだってわたしの言うとおりに体は動いていたじゃないか?違うのか?
80:・・・・・し、しかし・・・
デビロン:自分の目で確認したのをもう忘れたのか?
自分の体を乗っ取ろうとしたデビロンのことを忘れたわけではなかった。
しかし、そのことを考えようとすると巧妙に仕組まれた証拠を突きつけられて反論できない80。
「何故、自分はデビロンの体にいるのか?」を考える前に「あの体が自分の体だ」と考えるように仕向けられてしまう。
そして、ついに・・・・
80:・・・・・・(も、もしかしたら・・・あれが・・・・)
デビロン:(ついに堕ちたか・・・・)
80:・・・・・・(わたしの体なのかもしれない・・・・・)
デビロン:さようならだ、80
80:・・・?!・・・・ぐっ・・・ぐわぁぁぁぁぁぁ・・・・・
自分の体はあの石像かもしれない・・・そう考えてしまった瞬間、デビロンの力により80の魂は石像に封じ込められてしまった。
デビロンはこの時を待っていたのだ。
自分自身が「あの石像が自分の体」と認識することで魂を捕捉し封印することが出来る・・・その瞬間のために今まで80の精神を操作していたのだ。
今、80が封印されているこの石像は80を模したただの石像ではないのだ・・・デビロンの用意した棺ともいえる石像だった。
自分が施されていたように獲物の魂を封じ込める・・・彼の武器であり弱点でもあるこの方法に80もしとめられてしまった。
80:な、なんだ、これ・・・ど、どうなってる・・・?!・・・・
デビロン:どうなってるも何も、自分で思ったんだろう?あれが自分の体かもしれないって
80:そ、その姿・・・・ど、どういう・・・
デビロン:どういう?簡単さ・・・その石像はお前じゃない・・・この体がお前の体だったんだ・・・
80:し、しかし
デビロン:動きを先読みし、視覚を支配した・・・頭のいいお前ならこれでカラクリがわかったかな?
80:・・・・?!・・・くそっ・・・わたしの体をどうするつもりだ!!
デビロン:安心しろ、お前の封印はわたし以外には解けない。わたしはこの体で宇宙を破壊し尽くすことにする
80:・・・そ、そんな・・・・・
デビロン:まかせておけ、お前の故郷もちゃんと破壊してやるからな
80:・・・だせっ!・・ここから出せっ!・・・・くそっ・・・くそぉぉぉぉぉぉぉぉぉ
デビロン:では、お礼代わりにこの星を破壊することにしようか
80:やめろっ!やめるんだ!・・・・やめろぉぉぉぉぉぉ・・・・・・
石像に封印された80の目の前で街を破壊し始めるデビロン。
しかし、この事実を知らないものは80が街を破壊していると思うに違いない・・・いや、80の体が破壊していることには変わりないのだ。
封印された魂だけの存在になった80がどれだけ叫ぼうとも外には何も聞こえず、ついには地球も最期の日を迎えてしまった。
何も残されていない荒れ果てた星に1体だけ石像が残されたのだった。
ダダおじいちゃん:どうだい?
小ダダ:なるほどねぇ
ダダおじいちゃん:おじいちゃんも同じくらい口が上手いんだぞ!
小ダダ:作戦も練れるし、戦ったら強いし、口も上手い・・・おじいちゃんは無敵だね
ダダおじいちゃん:はははははは・・ありがとう
小ダダ:僕もおじいちゃんみたいになってウルトラマンをやっつけるね!
ダダおじいちゃん:それは楽しみだ!次のお話は次回にね
小ダダ:はぁ~い
これは平和なダダの村での空想のお話・・・そう、空想の
ここは宇宙の果て・・辺境の惑星にあるのどかな村。
どこもかしこも縞々模様の宇宙人:ダダが住む平和な星。
今日もダダおじいちゃんにお話を聞かせてもらう時間が来ました。
小ダダ:ねぇ、ダダおじいちゃん。
ダダおじいちゃん:おっ、今日も来たねぇ
小ダダ:ウルトラマンを精神的に攻撃した宇宙人がいたって本当?
ダダおじいちゃん:そうだなぁ・・・デビロンって知ってるかい?
小ダダ:あっ!知ってる知ってる・・・なかなか奇抜な格好した緑色のでしょ?
ダダおじいちゃん:覚え方がアグレッシブになってきたのぉ・・・あいつはウルトラマン80に精神攻撃を使ったんじゃ
小ダダ:ウルトラ一族ってやっぱり精神も頑丈なの?
ダダおじいちゃん:かなり危ないところまで攻め込まれたが、80は気力で乗り切ったんだ
小ダダ:へぇ~・・・じゃあさ、じゃあさ、もっとデビロンが上手だったらどうなったの???
ダダおじいちゃん:そうだねぇ・・・今日はそれをお話しようか
小ダダ:わぁ~い
ダダおじいちゃん:あれはデビロンから80が人質を解放したところから始まった・・・
宇宙の悪魔の異名を取るテレパシー怪獣デビロン・・・この招かれざる客は綺麗なオブジェの姿で地球へと侵入してきたのだった。
美術館に飾られてもなんら不思議のないその”スノーアート”と称された結晶体は、見るものを楽しませるそんな素敵なものではなかった。
その昔、宇宙の星々を崩壊させ続けていたこの悪魔を封じ込めるのに使われた・・・そう言うならば棺のようなものだった。
確かに、この封印さえ解けなければ綺麗なオブジェとして見られていたかもしれない・・・。
しかし、この平和であり続けたいという願いは簡単に破られ、この封印は解き放たれ悪魔が地球へと解放されてしまったのだ。
人質をとりながら巨大化したその体で街を破壊し始めていたのだ。
デビロンを食い止めるべく現れた80も人質がいるとなると手が出せない・・・。

しかし、街をこのまま破壊させ続けるわけにもいかない。
弱点である真空状態を作り出しデビロンから人質を奪い返すことに成功した80だったが、今度は次の寄生先として80が選ばれたのだった。
80:くっ・・・くそっ・・・で、出て行くんだデビロン
デビロン:出て行く?笑わせるな・・お前が私の宿主を奪ったのではないか・・その代償は払ってもらうぞ!80
80:ひ、卑怯だぞ・・・正々堂々戦え!
デビロン:もう手遅れだ・・お前の体は俺のものだ・・・ほら、右足・・・次は左足・・・お前の体は俺の意のままじゃないか
80:・・?!・・・そ、そんなことは・・・ない(ま、まさか・・・いや、まだ乗っ取られてはいないはず・・・)
体の中で争い合う80とデビロン。
しかし、格闘戦なら80が有利だったであろうが、精神での戦いでは”宇宙の悪魔”が1枚上手のようだった。
デビロンは80に体の動きを予言し、自分の言うとおりに動いていると言ってのけたのだ。
しかし、これは予言でも何でもない、80が体を動かす時に生じる電気刺激を読み取って、その体の部分をいち早く告げただけなのである。
名高い悪魔なだけに、場数の多さはお墨付きなのである。電気信号からその後の動きなどはある程度予想がつく・・・この予言は高確率な予想なのである。
慣れない精神戦で冷静さを欠いている80はそのデビロンの予言が本当に当たってしまったように思えていたのだ。
そう、これがデビロンが”悪魔”と呼ばれていた理由の1つである。
デビロン:左手・・・左足・・・頭を振ろうか・・・くくくく・・・・
80:や、やめろっ!・・こ、これは・・わ、わたしの意思だ!(な、何故・・・あいつは私の動きが読める・・・?)
デビロン:右手と左手で頭を抑えてやろう・・・ほら、わからないのだろう?何でわたしがお前の動きを読めるのか
80:くっ・・・・
デビロン:読んでいるのではない・・・もう、お前の体ではないんだから・・・自分の目で見てみるといい・・・
80:そ、そんなわけ・・
「自分の体はすでに乗っ取られている」
その言葉に動揺する80・・しかし、敵が言うとおりに体が動いているのは紛れもない事実だった・・・。
「自分の目で確かめる」
確かめて見たい・・・そう思った80はふと、側にあるガラス張りのビルに意識が向いた。
その意識の移動を見逃すデビロンではなかった。
デビロン:ほら、そこのビルまで移動させてやるよ・・・
80:う、うるさいっ!・・だ、だまれっ!
デビロン:ちゃんと歩いてビルまで行けるように体に指示をだしてやっているというのに、感謝してもらいたいくらいだ
80:(本当に体は・・・?!・・・いや、弱気になってはいけない・・・こいつの思うつぼだ・・・まずは)
デビロン:足から見ていくといい
80:・・・?!・・・・(わ、わたしが言う前に足を・・・ど、どういうことだ?)
デビロン:ほら、ちゃんと前を見ろ、自分が言うより先に足に意識を向けられたことに驚く暇はないぞ
80:・・・・?!・・・なっ・・・なんだ・・・これは・・・
ビルのガラスに反射して映った姿は、鍛え上げられた銀と赤のボディに精悍な顔立ちの80の姿ではなく、宇宙を破壊し尽くす宇宙の悪魔の姿だった。
光の国の戦士の姿など欠片も残っていない・・・そこにいるのは無機質な体からなる悪魔の姿であった。
80:・・・・・(いや、反射させた姿は幻かもしれない・・実際に)
デビロン:手や足を見てみたいんだろう?
80:・・・・・?!・・・・・い、いつの間に・・・
こんなこと、起こるわけがない・・・そう言い聞かせながら自分の手足を見た・・・いや、見ることを意識づけられた80の目に映ったのはやはりあの悪魔の体だった。
手足だけじゃない、自分の腹部や腕なども見てみるが、どこを見てみてもあの輝かしい体はどこにもなく、目を向ける場所が全て忌まわしい悪魔の体に変わっていた。
自分の体を見ることに集中する80をよそに、デビロンは次の段階へとコマを進めていた。
キラキラキラキラ
周りの様子など一切気にする余裕がない80の背後に80を模した石像が出現したのだ。
もちろん、その石像の出現に80が気が付くはずもなく、相変わらず、もとの体が残っている部分はないのかを探し続けていた。
しかし、何をやっても無駄なのである・・・視覚をデビロンに支配されてしまい、見るもの全ての情報を操作されてしまっているのだから。
ビルに映った体も、実際に自分で見た体も全て本来の80の体であるが、デビロンの体に変えられたものだと認識させられているのだ。
同じようにして、ビルに石像が反射してもそれを目でとられることができないのだ。
音も触覚も全てはデビロンの思うがまま・・・・知らぬ間に80はデビロンの罠に幾重にもかけられてしまっているのだった。
右に意識が集中すれば左を支配し、その左に意識がいけば右を支配し・・・そうやって五感の全ても意識も支配されていく・・・宇宙の悪魔の常套手段だった。
デビロン:いつの間に?何を言っている?この体は俺のもの・・・お前の体はそこにあるじゃないか
80:・・・・?!・・・・こ、これは・・・
デビロン:お前の体さ・・・・
デビロンに意識を完全に操作されつつある80は悪魔の言うとおりに背後にある石像に意識を向けた。
「お前の体」 悪魔がそう言ったその石像は自分がずっと探していたあの体なのである。
光の国の戦士として地球を守っていたあの逞しい体・・・しかし、その体は完全な石になりカラータイマーも石に変わっている状態だった。
80:わ、わたしの体・・?!・・じゃあ、今のこの体は・・・
デビロン:だから、何度言わせるのだ?これは俺の体だと言ってるじゃないか
80:いや、そんなはずは・・・お前がわたしを乗っ取ろうと
デビロン:これがお前の体なのだとしたら、どうしてそこにお前の体があるんだ?
80:・・・・・・・
デビロン:それに、今までここに至るまでだってわたしの言うとおりに体は動いていたじゃないか?違うのか?
80:・・・・・し、しかし・・・
デビロン:自分の目で確認したのをもう忘れたのか?
自分の体を乗っ取ろうとしたデビロンのことを忘れたわけではなかった。
しかし、そのことを考えようとすると巧妙に仕組まれた証拠を突きつけられて反論できない80。
「何故、自分はデビロンの体にいるのか?」を考える前に「あの体が自分の体だ」と考えるように仕向けられてしまう。
そして、ついに・・・・
80:・・・・・・(も、もしかしたら・・・あれが・・・・)
デビロン:(ついに堕ちたか・・・・)
80:・・・・・・(わたしの体なのかもしれない・・・・・)
デビロン:さようならだ、80
80:・・・?!・・・・ぐっ・・・ぐわぁぁぁぁぁぁ・・・・・
自分の体はあの石像かもしれない・・・そう考えてしまった瞬間、デビロンの力により80の魂は石像に封じ込められてしまった。
デビロンはこの時を待っていたのだ。
自分自身が「あの石像が自分の体」と認識することで魂を捕捉し封印することが出来る・・・その瞬間のために今まで80の精神を操作していたのだ。
今、80が封印されているこの石像は80を模したただの石像ではないのだ・・・デビロンの用意した棺ともいえる石像だった。
自分が施されていたように獲物の魂を封じ込める・・・彼の武器であり弱点でもあるこの方法に80もしとめられてしまった。
80:な、なんだ、これ・・・ど、どうなってる・・・?!・・・・
デビロン:どうなってるも何も、自分で思ったんだろう?あれが自分の体かもしれないって
80:そ、その姿・・・・ど、どういう・・・
デビロン:どういう?簡単さ・・・その石像はお前じゃない・・・この体がお前の体だったんだ・・・
80:し、しかし
デビロン:動きを先読みし、視覚を支配した・・・頭のいいお前ならこれでカラクリがわかったかな?
80:・・・・?!・・・くそっ・・・わたしの体をどうするつもりだ!!
デビロン:安心しろ、お前の封印はわたし以外には解けない。わたしはこの体で宇宙を破壊し尽くすことにする
80:・・・そ、そんな・・・・・
デビロン:まかせておけ、お前の故郷もちゃんと破壊してやるからな
80:・・・だせっ!・・ここから出せっ!・・・・くそっ・・・くそぉぉぉぉぉぉぉぉぉ
デビロン:では、お礼代わりにこの星を破壊することにしようか
80:やめろっ!やめるんだ!・・・・やめろぉぉぉぉぉぉ・・・・・・
石像に封印された80の目の前で街を破壊し始めるデビロン。
しかし、この事実を知らないものは80が街を破壊していると思うに違いない・・・いや、80の体が破壊していることには変わりないのだ。
封印された魂だけの存在になった80がどれだけ叫ぼうとも外には何も聞こえず、ついには地球も最期の日を迎えてしまった。
何も残されていない荒れ果てた星に1体だけ石像が残されたのだった。
ダダおじいちゃん:どうだい?
小ダダ:なるほどねぇ
ダダおじいちゃん:おじいちゃんも同じくらい口が上手いんだぞ!
小ダダ:作戦も練れるし、戦ったら強いし、口も上手い・・・おじいちゃんは無敵だね
ダダおじいちゃん:はははははは・・ありがとう
小ダダ:僕もおじいちゃんみたいになってウルトラマンをやっつけるね!
ダダおじいちゃん:それは楽しみだ!次のお話は次回にね
小ダダ:はぁ~い
これは平和なダダの村での空想のお話・・・そう、空想の