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absorption 6話

6話

 宇宙にその名が轟くウルトラ6兄弟。
 平和を守る最強の戦士達だった・・・・。
 今や、宇宙を脅かす怪物としてその名が知られ始めたエヌピーの体内で石版に成り果て敵の体内で敗北した時間をとどめ続けていた。
 宇宙中の強者を取り込み誰にも止められない体を、力を手に入れたエヌピー。
 その怪物が向かったのは6兄弟の故郷・・・光の国だった。

 惑星上に張り巡らされた不可視のバリア網は次元潜行で難なくすり抜け惑星に降り立った。
 今や光の国の機密情報は全て頭の中にあるのである・・・6人の全てを掌握した今、ここはエヌピーにとってホームグラウンドと言っても過言ではなかった。

ウゥゥゥゥゥゥゥゥ・・・・ウゥゥゥゥゥゥゥゥ・・・・

 突然現れた敵に鳴り響くサイレン。
 逃げ惑う民。
 呆然と立ち尽くすエヌピーにもようやく動きが見られた。

エヌピー「ヴヴヴヴ・・・ンヴヴヴヴッ!」

 体から幾つかの肉の塊を放出するエヌピー。
 地面に付着するとムクムクと巨大化する肉片。
 あるものはバキシムに、あるものはベムスターに・・・取り込んでいった怪獣たちに姿を変える化け物の体の一部。
 それはまるでこの怪物の眷属のように振舞っていた。
 目に生気の感じられない名だたる怪獣達は光の国を荒らしまわる。
 しかし、エヌピーの体から放たれたのは何も怪獣たちだけではなかった。
 地面にうずくまる姿が6つ・・・・ウルトラ6兄弟も眷属として存在していた。
 レーダーもバリアもかいくぐり現れた1体の怪物から予想もしない数の敵が街を破壊し光の国を蹂躙していく。
 その中にはもちろん、完全な操り人形にされた兄弟たちの姿も含まれていた。


???「そこまでだ!」

ビィィィィィィィ!
ドカァァァァァン!

 我が物顔で破壊活動の限りをするエヌピーの軍勢に空中からウルトラの父がファザーショットで足を止めさせる。

ウルトラの父「どうやって侵入したかはこの際いいだろう・・・もう勝手は許さん!」
エヌピー「ヴヴヴヴヴヴ・・・・・」
ウルトラの父「言葉が喋れないのか?」

 ウルトラ警備隊大隊長に続いてレオやメビウス、ヒカリ・・・次々と駆けつけた戦士が各個撃破のために持ち場に着く。

ウルトラの父「お前の相手はわたしだ!」
エヌピー「ヴヴヴヴ・・・ヴヴヴヴヴヴ・・・・」
ウルトラの父「これでもくらえっ!」

 ウルトラアレイを怪物目掛けてフルパワーで使用する!
 まばゆい閃光と共に衝撃が白い怪物を襲うが、やはり効果はないようだった。

ウルトラの父「な、何っ?!・・・効かないだと?」

 今までに数え切れないほどの敵を倒してきたウルトラの父の武器。
 そんな伝説にもなり得る武器でさえ、今のエヌピーにはまるで効果がなかった。
 そのことに動揺するウルトラの父に周囲からとんでもない声が聞こえてきた。

ヒカリ「くっ・・ぐわぁぁぁぁぁぁぁっ・・・」
メビウス「大・・隊長・・すいません・・・・・」
レオ「ア・・アストラァァァァァァ・・・・」
アストラ「兄さぁぁぁぁん・・・・・・」

 次々に聞こえてくる断末魔の悲鳴。
 悲鳴を聞き、辺りを見回してみると、怪獣たちと応戦していた戦士達が皆、白く変色した流動体の怪獣達に飲み込まれ、その体内で蠢いて苦しんでいるのだ。

ウルトラの父「こ、これは一体?!・・・」

 警備隊の隊員はタワーを守りに付かせ、名のある戦士を率いて親玉を叩く作戦だったのだが、今やここに立っているのは父一人だけであった。
 さらに、悪夢は続いた・・・・。

ドスン!
ドスン!ドスン!ドスン!

ウルトラの父「お、お前たち・・一体どうして・・・・」

 そこに現れたのは6兄弟だった。
 行方不明になったはずが、今、目の前に勢ぞろいしているのである。
 しかし、その瞳はどこか邪悪な光が宿り、生気は感じられなかった。
 父の問いにも無言のまま、タワーを守護していた警備兵を地面に投げ捨てるタロウ達。

エヌピー「ヴヴヴヴヴヴ・・・ヴッ!」

 エヌピーの合図でメビウス達を取り込んだ怪獣や6兄弟は白く変色し蠢きながら元のサイズの肉片に戻りエヌピーへと還っていく。
 再融合した怪物は光の国の戦士をさらに取り込み力を蓄えた姿で父の前に再臨した。

ウルトラの父「・・・なるほど、そういうことか・・・・・」
エヌピー「ヴヴッ・・・」
ウルトラの父「息子達を返してもらうぞ!」
エヌピー「ヴヴヴヴヴヴヴ・・ヴヴッ!ヴヴッ!」

 両手から放たれるアイスラッガー、それに両手のブレスレットの変形した光のブーメランが4方向から父を襲う。

ウルトラの父「それでやられるわたしではないわぁぁぁ!」

 ウルトラアレイからの広範囲へのエネルギー照射で刃を一斉に叩き落す。
 しかし、それこそがエヌピーの狙いだったのかもしれない。

ビビビビビビビビビビビッ!

ウルトラの父「・・ぐっ・・?!・・しまった・・・」

 4本の刃を叩き落した瞬間、手元に星型の光線が着弾し、ウルトラアレイを落としてしまったのだ。
 そのまま光線はアレイを弾き飛ばし戦闘フィールドからフェードアウトさせてしまった。
 武器を奪っただけで終わるほど優しいエヌピーではなかった。
 体を回転させ3本のリングを発生させ父を襲う。
 さらに、地面に落ちた光のブーメランもワイヤーの様なリングに変わりキャッチリングと共に獲物を締め付けるため、宙を舞う。
 ウルトラマンとジャックの技が同時に襲い掛かる!

エヌピー「ヴヴッ!」
ウルトラの父「・・?!・・か、体が動かない・・・ぐわぁぁぁぁぁ・・・」

 ウルトラ念力で動きを止められリングに体を縛り上げられる。
 ウルトラマン、セブン、ジャックの合わせ技とも言えるこの攻撃がエヌピー1人の手によって行われてしまったのである。
 足首と手首の高さ、胸元に肉片で出来たキャッチリングが・・。
 そして、ブレスレットで出来たワイヤーのように細いリングは体に食い込み等間隔で体中を締め上げる。

ウルトラの父「ぐっ・・・ぎゃぁぁぁぁぁ・・・・」
エヌピー「ヴヴヴヴヴ・・・」
ウルトラの父「(こいつの体の一部が・・?!・・・まずいっ)」
エヌピー「ヴヴッ!ヴヴヴヴ!」
ウルトラの父「うおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉっ!」

 怒号と共に体にエネルギーを漲らせリングを弾き飛ばす。
 体に食い込むリング跡からは血がにじみ、痛々しい体になってしまう。

ウルトラの父「はぁ・・はぁ・・はぁ・・・・」

 地面で四つんばいになり息を乱す。
 しかし、いそいで解除したものの体にはキャッチリングの拘束箇所にしっかりと悪魔の体がこびりついていた。
 
エヌピー「ヴヴヴヴヴ・・・ヴヴッ!」
ウルトラの父「な、何っ?!・・ぐわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ・・・」

 体にこびりついた肉片でウルトラダイナマイトを発動し獲物を爆発の中に閉じ込める。
 タロウを捕獲するときにも使用した連鎖爆発を起こすエヌピー。
 プリンスが敗北したあの悪夢を再現していくのかと思われたが、爆発の止んだ煙の中、倒れることなく立ったままのウルトラの父がいた。

ウルトラの父「こ、ここでやられるわけにはいかない・・・息子達のためにも!」
エヌピー「ヴッ!ヴヴッ!」
ウルトラの父「ま、まだ・・?!・・・ぐっ・・・くはっ・・・・」

 全身に火傷を負い、フラフラの父に追い討ちをかける!
 無数の光のギロチンが両足に放たれる。
 今にも倒れそうなのをなんとかこらえている父にエースの必殺技を避けられるほど力は残されていなかった。
 無残に切り刻まれる英雄の両足。
 血まみれになりながら膝を突き、屈ししまう。

ウルトラの父「くそっ・・・はぁ・・はぁ・・・あ、脚が・・」

 両足は気合でどうにかなるような傷ではなかった。
 フルフル震える体に再び襲い掛かる息子達の技!

ウルトラの父「あがっ・・・か、肩が・・・・く・・・そっ・・・・」

 両膝をついたウルトラの父の両肩に突き刺さる2本の槍・・・。
 ジャックのブレスレットとタロウのブレスレットが変形した槍が両肩にそれぞれ突き刺さっているのだ。
 両足も両腕も再起不能にされ完全に動きを封じられた獲物。

エヌピー「ヴヴヴヴヴ・・・・ヴヴヴヴヴヴ・・・・」
ウルトラの父「はぁ・ぁはぁ・・・?!・・・ぁぁっ・・・」

 四肢を潰された父が見たのは驚愕の光景だった。
 千手観音の様に腕が生えたエヌピー・・・その腕の1本1本に最愛の息子達の必殺の光線が発射状態になっているのだ。
 脚が負傷している今、逃げることも出来ない。
 腕が負傷している今、反撃も防御も出来ない。

エヌピー「ヴヴヴヴヴ・・・ヴヴッ!」
ウルトラの父「くっ・・ここまでなのか・・・」

 覚悟を決めた父に6兄弟、たった今吸収されたメビウスやヒカリたちの技もまでもが敵の放つ光線として襲い掛かってきた。

ズドォォォォォォォン
キュィィィィィィィン・・・・・

 周囲の建物をも吹き飛ばす大爆発を起こし、戦闘していた市街地をさら地にするほどの衝撃だった。
 その爆心地には仰向けで倒れるウルトラの父・・・・。
 腕が背中に収納された怪物はゆっくり、ゆっくりと父に近寄る。
 その手は優しく首に回され、父を抱き起こす。
 傷ついた背中から覆いかぶさるようにする。

ウルトラの父「がはっ・・・っ・・んぐっ・・・・・」
エヌピー「ト・・・トウサン・・・・」
ウルトラの父「・・?!・・・」
エヌピー「トウサン・・・・ゴメンナサイ・・・・」
ウルトラの父「・・・・・・・・・」

 謎の言葉を発し、両手を首元から回し抱きしめると父を優しく、優しく肉片で包み込んでいく・・・。
 体を包み込み終わると顔に肉片が上り始める。
 逞しい体も立派なウルトラホーンも全てが怪物の体に飲み込まれ警備隊大隊長は息子達の元へと向かうのだった。

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プロフィール

いぬいbまさる

Author:いぬいbまさる
どうも!いぬいBまさるです。
詳しいストライクゾーンなどは「敗北の味は密の味」にて

ここでは小説を掲載していこうと考えています。
図書館みたいになるといいなぁ~♪

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