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届かない光

 ここは宇宙の果て・・辺境の惑星にあるのどかな村。
 どこもかしこも縞々模様の宇宙人:ダダが住む平和な星。
 今日もダダおじいちゃんにお話を聞かせてもらう時間が来ました。


小ダダ:ねぇ、ダダおじいちゃん。
ダダおじいちゃん:なんだい?
小ダダ:ウルトラセブンって一度死んじゃったって本当?
ダダおじいちゃん:そうだなぁ・・・ガッツ星人っていう宇宙人がいるだろう?
小ダダ:うん、知ってるよ。あの嘴があるおっかない宇宙人でしょ?
ダダおじいちゃん:あぁ、そう・・・あの宇宙人に敗れて十字架に閉じ込められたことがあるんだ
小ダダ:じゃあ、死んだわけじゃないの?どうやって助かったの?
ダダおじいちゃん:それはね、セブンが守っていた地球の住民に助けられたんだよ
小ダダ:ふ~ん。じゃあさぁ、もしも地球人がセブンを助けられなかったらどうなってたの?
ダダおじいちゃん:そうだねぇ・・・今日はそれをお話しようか
小ダダ:わぁ~い
ダダおじいちゃん:あれはガッツ星人の作戦でセブンが変身を余儀なくされたことから始まった・・・・・


ガッツ星人



セブン:デヤァァァァァァ!
ガッツ星人:やっとセブンになったな・・・待ってたぞ

 地球防衛隊のダン隊員として普段活動していることを知り、変身を強要するガッツ星人。
 なんとか変身せずにいたダンであったが、ついに変身せずにはいられない場面へと追い込まれ、ガッツ星人を前に姿を現すこととなった。
 巨大な頭、嘴、角ばった瞳・・・特徴的な風貌の敵はニヤリと邪悪な笑みを浮かべ、セブンを見つめた。

セブン:喰らえっ!テヤァァァァ

 セブンは自慢のアイスラッガーを即座に投げ、ガッツ星人を両断した・・・はずだった!

ブゥゥゥゥゥゥン

 セブンの投げ飛ばした必殺の刃はガッツ星人を真っ二つにすることは出来ず、分離して2体に分かれた宇宙人の間を通り、持ち主の下へと戻っていった。

ガッツ星人:お前のことは全て調査済みだ・・・あきらめろ
セブン:(分離した?!)お前みたいな卑怯者には決して負けはしない!いくぞっ!

 目の前の敵が2体に分離したことに多少動揺したものの、手を止めることなくセブンは次の戦法へと移っていった。
 額で緑に輝くランプからエメリウム光線を間髪入れずに放ったのである・・・全てガッツ星人の計画通りだとは知らずに・・・・。

フワァァァァァァ・・・・・

セブン:(き、消えた・・?!)ど、どこだ・・どこにいった!

ブゥゥゥゥゥゥン

ガッツ星人:どこを見ている?わたしはここだ
セブン:(・・?!・・後ろだと!)くっ・・・卑怯だぞ!正々堂々戦え!

 攻撃が空回りし、焦るセブンとは対照的に、巧妙な手口で獲物を追い詰める宇宙人・・・完全にガッツ星人のペースにはまっていくセブン。
 ガッツ星人の敷いたレールを素直に歩き、腕をL字に組んでワイドショットを放つ・・エネルギーを消費して・・・・。

ビリビリビリビリビリ・・・・

セブン:・・?!・・・また消えた・・・(こ、このままではまずい・・・・)

 敵のペースに乗せられエネルギーを消費し続けるセブン。しかし、ダメージどころか、手傷さえも与えることが出来ないでいる最悪の状態の真っ只中にいた。
 そんな焦りに包まれるセブンを宇宙船の中から監視し続けるガッツ星人は笑みを抑えることが出来なかった。

ガッツ星人:もうすぐセブンのエネルギーは尽きるぞ・・・
ガッツ星人:もう我らの手の中も同然・・・・
ガッツ星人:仕上げに入るぞ・・・逃げられないように周囲とここを隔離しろ

 どこにいるのかわからない敵を必死になって探すセブン・・・その姿はすでに戦士ではなく罠に堕ちた獲物であった。
 そんな焦りからか周囲に展開された隔離バリアにも気が付かずにエネルギー消費を抑えることも忘れ、全力で周囲を探索していた。

ガッツ星人:わたしを探すことも出来ないのかね?君は
セブン:くっ・・・逃がすか!
ガッツ星人:無駄なことを・・・

 ようやく目の前に現れたガッツ星人に向かって再びエメリウム光線を放つセブン。
 エネルギーを込めた光線はガッツ星人を通り抜けそのまま背後の山肌で爆発した。

ベチャ・・・ベチャ・・・

セブン:・・・?!・・・な、なんだこれは・・・
ガッツ星人:ゲームオーバーだ、セブン

 エメリウム光線を放った姿勢のまま、硬直していたセブンの背中と右足に透明な粘着液が放たれた。
 地面に落ちた分は液体の様に流れていくのに、自分の体に触れたものは薄く延びて体から剥がれ落ちないのだ。

セブン:な、何をした・・・
ガッツ星人:すでに最終段階に入ったのだ・・お前の処刑がな・・・
セブン:処刑?!・・・なっ・・くそっ・・・・

ベチャ・・・ベチャ・・・・ベチャベチャ・・・・

 セブンの周囲を分身が取り囲み、両腕から透明な液体を浴びせかけ続ける。
 左足、右肩、腹部、胸板・・・四方八方から飛んでくる液体をよけることも防ぐことも出来ずに瞬く間に首から下を隙間なく包み込まれてしまった。

ホロホロホロホロホロホロホロ・・・・・・

 セブンのエネルギー切れが近いことを告げる音が鳴り始めた・・・ガッツ星人の計画通りに。

セブン:し、しまった・・・エネルギーが・・・?!・・・ぐわぁぁぁぁぁぁ・・・
ガッツ星人:もうおしまいだな・・・ふはははははははは
ガッツ星人:ふはははははははは

 セブンを挟んで両脇に現れたガッツ星人の両腕から放たれる紫色の電撃がセブンの体を絡めとり始めた。
 体を這う有刺鉄線の様にセブンを苦しめながら、幾重にも幾重にもセブンを包み込む悪魔の光線。
 ガッツ星人の念力により、両腕を下ろした状態で光線に体を縛り付けられるセブン・・・苦しみもがくだけのセブンはすでに上半身が光線により雁字搦めにされてしまった。

セブン:ぐっ・・・くっくそ・・・・な、なんとか・・・
ガッツ星人:では・さようならだ・・セブン
セブン:・・?!・・・ぐわぁぁぁぁぁぁぁぁ・・・

 2体のガッツ星人は両腕に力を込め、光線の威力を上げてセブンを縛り上げた。
 全身を紫に染め、苦しみ叫ぶセブン・・・・しかし、光線がセブンを包み込んだ途端、彼の体に異変が起きたのだ・・・。

セブン:ぐっ・・・ぐわぁぁぁぁ・・・・(か、体が勝手に・・・・・)

 セブンの両腕がゆっくりと肩と同じ高さまで上がり、そこで動きを止めた。
 異変が起きたのは腕だけではなかった。
 両足も綺麗にそろえた状態になり動かすことが出来なのだ・・・そう、十字架にかけられた姿に体を念力で固定されてしまったのだ。

ガッツ星人:さぁ・・お前の棺だ・・・喜んで受け取るがいい・・・
セブン:ひ、棺だと?!・・・?!・・・・や、やめろっ!やめるんだ・・・・

 セブンの目の前に突然クリスタル製の十字架が現れたのだ。
 しかし、その棺と呼ばれた十字架はただの窪みしかなく、拘束する場所もなければ蓋になるものもなかった・・・。
 そんな疑問を解決する暇などもちろんなく、くるりと体を回転させられセブンはその姿勢のまま棺におさめられてしまった。
 セブンを調べ尽くしただけはあり、その窪みはセブンがおさまると隙間が少しもなかったのだ・・・そう、これはセブン専用の棺だったのだ。

セブン:だせっ!ここからわたしを出せ!
ガッツ星人:さぁ・・この後の楽しみのための下準備だ・・・・
セブン:な、何をする・・・何を・・むぐんんぐ・・・んぐ・・・・

 十字架におさまるセブンに近寄りセブンの首から上・・・あの粘液に包まれていない部分を丁寧に丁寧に撫で回し始めたのだ・・もちろん、あの粘液を手に纏わせて。
 長い間、地球を守ってきたセブンの勇敢な顔が汚されていく・・・拭うことも払うことも出来ないまま・・・・。

セブン:・・・一体・・何を・・・・
ガッツ星人:すぐにわかる・・・すぐにな・・・・

 セブンの問いかけを一蹴し、十字架の蓋を出現させるガッツ星人。
 セブンは身動き一つ出来ない棺に封印され、念力で空中へと晒されることとなった・・・。
 そんなセブンに追い討ちをかけるようにエネルギーが尽きかけ、生命維持に必要な量を残し、全てのエネルギーが底をついてしまった。
 瞳からは光が消え、額のランプも輝きを失っていた。

ガッツ星人:・・・・あとは、待つだけだな・・・
ガッツ星人:あぁ・・・予定通りだ・・・・ふはははははは


 
 ガッツ星人に敗北し、空中に晒し者にされた勇者を助けるべく、地球防衛隊は決死の作戦に打って出た。
 なんとかマグネリウムエネルギーをセブンに届ける・・・これを遂行するために命がけの作戦に出たのだ。
 ガッツ星人の宇宙船からの妨害を潜り抜け、やっと光線が届いた・・・・そう思った瞬間・・・・


ブゥゥゥゥゥゥン・・・・・・フッ

 セブンに届いたかに見えたエネルギーだったが、全身に塗られた液体に光線を吸収され復活させることは出来なかった。

ガッツ星人:聞け地球人ども・・・セブンを助けることはもはや不可能・・・貴様らを守る者はもういない・・・・
セブン:・・・・・・・
ガッツ星人:こやつはこれから先、未来永劫に我らの船を飾る物となったのだ・・・ひれ伏せ、地球人・・・ふはははは
セブン:・・・・み・・んな・・すま・・・な・・・・・・い・・・・・

 謝罪の言葉を最期にセブンはガッツ星人の宇宙船の先端に取り付けられ、侵略のたびに晒し者となって宇宙中に醜態を晒し続けたのだった。







ダダおじいちゃん:どうだい?
小ダダ:なるほどねぇ
ダダおじいちゃん:おじいちゃんが現役の頃なら、もっと凄いことが出来たんだぞ
小ダダ:え?どんな?どんなぁ?
ダダおじいちゃん:それはまた次の時にしよう
小ダダ:はぁ~い


 これは平和なダダの村での空想のお話・・・そう、空想の

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No title

はじめまして、阿修羅Zと申します。

セブンが磔にされるシーンとか、新マンがナックル星人に宇宙に連れ去られるシーンとか、
多くの地球人の目の前に惨めな姿が晒されているという「晒し者感」のインパクトが大きかったです。

いぬいさんに触発されて、自分もブログ始めました。

No title

>saketorasanさん

始めまして!
セブンの磔シーン 夕暮れに映えるワンシーンですよね♪

十字架にかけられたウルトラセブン

一話目の最後に、夕暮れの空に映し出された、十字架のセブンを見た時、胸を締め付けられた。来週まで、この不安な気持ちを引きずるのかと思い、何か落ち着かなかったあの頃…。
プロフィール

いぬいbまさる

Author:いぬいbまさる
どうも!いぬいBまさるです。
詳しいストライクゾーンなどは「敗北の味は密の味」にて

ここでは小説を掲載していこうと考えています。
図書館みたいになるといいなぁ~♪

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