absorption 3話
3話
バルタンの生み出した融合生物「エヌピー」
実験室を飛び出し、次元を滑るように移動し最初の目的「ウルトラマン」の元に現れた。
「オマエモ・・・イッショニ・・・・」謎の言葉を放ち、その言葉通りにウルトラマンを自らの体で包み込み、体内へと飲み込んでしまったのだ。
そして、真っ白だった体にカラータイマーが現れ、体に幾分か筋肉がついたようにも見えた。
しばらくは月面に立ち尽くし、動きのなかったエヌピーだったが、不意に動き出したかと思うと次元に滑り込むように入り込みどこへともなく消えてしまった・・・体内に飲み込んだウルトラマンと共に・・・。
その頃、火星周辺をパトロールしていたウルトラマンジャック。
彼もまたウルトラマン同様に宇宙の平和の維持のために尽力していたのだ。
火星に降り立ち一休みをしていたところだった。
不意に感じた違和感に注意を向けていたところ・・・・・
ヌゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ・・・・
ジャック「・・?!・・な、なんだ!」
エヌピー「ヴヴヴヴ・・ジャック・・・・オマエモ・・・・・」
ジャック「何?どういうことだ?」
以前よりも知能が増したのか、ジャックに話しかけ勢いをつけて走っていく。
その移動の仕方も徐々に無駄のない動きになりつつあった。
ジャック「何者かわからないが、挑んでくるのなら問答無用!これをくらえ!!」
エヌピー「ヴヴヴヴヴヴヴ・・・・・・」
ジャックの言葉にも耳を貸さず突進し続ける白の化け物。
ジャック「ストップ光線!」
両手の間から放たれた光がエヌピーに命中する!
その瞬間、わき目も振らずに進んでいたエヌピーの体が停止したのだ。
ジャック「よし、今がチャンス!・・・?!・・・・」
ストップ光線で狙い通りにエヌピーの動きを止め、攻撃に移ろうと思った瞬間、思わぬ反撃を受けてしまったのだ。
ジャック「(体が・・・動かない・・・・?!・・・これは・・ストップ光線なのか)」
本来、動きの止まった敵が反撃できるはずがなかった。
光線が命中したことで油断したのかもしれない。
エヌピーがカウンターで放ったストップ光線をまともに受けてしまったのだ。
ジャック「・・・・・?!・・・はぁ・・はぁ・・はぁ・・・・・」
エヌピー「・・・・・・・・・・・・・・・・ヴヴヴヴヴヴ・・・・」
カウンターとは言え、未熟なストップ光線だったため、一瞬早くジャックの方が硬直から解放されていた。
肩で息をしながらも、距離をとるジャック。
カウンターで放った光線の効果を悟ったエヌピーはうなり声を上げながらストップ光線を全身のいたるところから光弾として放ち始めた。
ジャックは光線をよけるのが必死で反撃の余地などなかった。
そんな戦いも長くは続かず、光線がついにジャックの体にも着弾し始めてしまった。
ジャック「しまっ・・・・(まずい・・・一方的に動きを止められてしまった)」
着弾してからは一定間隔でストップ光線が放たれジャックは動きを止められ続けた。
未熟なストップ光線でも十分な脅威となった瞬間だった。
ジャック「(このままでは・・・エネルギーがもたない・・・・)」
そんな死の予感が頭をよぎったジャックの目の前でエヌピーは予想外な動きをし始めた。
両腕をクロスさせて体を回転させ始めたのだ。
そう・・・ウルトラマンが得意とする技にそっくりな動きをしているのだ。
ジャック「(何故、あいつがキャッチリングを?!)」
未だ動かない体で目の前の現象に困惑してしまう。
回転する白い化け物の体の回りには光とは違う輪が3つ生じふわふわと浮かんでいる。
そして、輪が空中に投げ出されるとジャックの体に狙いを定めたかのようにゆっくりと下降してくる。
ジャック「・・・・・くはぁっ・・はぁ・・・はぁ・・・」
エヌピー「ヴヴヴヴヴヴ・・・・・ヴヴヴヴヴヴ・・・ヴッ!」
ジャック「・・?!・・ぐわぁぁぁぁぁぁぁっ・・・・くる・・し・・いっ・・・・」
リングが3本共ジャックの周囲を浮遊したところでストップ光線の効果が切れた。
しかし、時はすでに遅く、ジャックの体はリングの効果範囲に封じられていた。
エヌピーの掛け声に合わせて光速で絞まるリング。
ジャックは両手を体に沿わせ、両膝、腹部、両肘の部分で拘束されてしまった。
その締め上げる力は相当なもので、骨が軋む音が今にも聞こえそうなほどだった。
ジャック「んぐわぁぁぁぁぁぁっ・・・ぐっ・・・」
エヌピー「ヴヴヴヴヴヴ・・・ジャック・・・・オマエモ・・・イッショ・・・」
ジャック「お前・・・も・・だとっ・・・・・がぁぁぁっ・・・・どういう・・・ことだ・・・」
エヌピー「ヴヴヴヴヴ・・・・」
ジャックの体を締め上げるリングはエヌピーの肉片で出来ていた。
その忌まわしきリングは締め上げると同時に体に付着し、広がり始めていた。
徐々に徐々にジャックの体を侵食し、3箇所の拘束箇所から表面を包み込んでいく。
空中に浮かびモゴモゴともがくことしか出来ないジャックの体は瞬く間に肉片に覆い尽くされウルトラマンの時と同じ悪夢が再現されようとしていた・・・。
エヌピーの前には顔だけが残されたジャックが悶絶を続けているのだ。
ジャック「か、体が・・・ぐっ・・・ぐわぁぁぁぁっ・・・・」
表面は肉片に覆われているものの、その皮下では締め付けが尚も続いておりジャックには地獄の時間だった。
そして、その悲鳴をBGMにしてゆらりゆらりと歩み寄るエヌピー。
あまりのダメージに瞳が明滅するジャック・・・そして、ついに最期の時が訪れた。
苦しむ光の国の戦士の頬を優しく包み、口付けをするエヌピー。
その接触した口を介して肉片が獲物の顔を多い尽くしていく。
ジャック「んごっ・・んんっ・・・んっ・・・・・・・・っ・・・・・・・・・・・・」
消耗しきった体では抵抗する力も残っておらず、容易く手中に収められてしまう光の戦士。
そして、完全な肉の塊になり蠢いたかと思うと、再び人の形をとったエヌピー。
その胸にはタイマーが2つ輝いていた。
体つきは確実に筋肉が増していき、両手首には金色に輝くブレスレットが装着されていた。
その頃・・・・
聞きなれた声「・・ック・・・ジャック・・・・ジャック!しっかりしろ!」
ジャック「・・・んっ・・・んんっ・・・・」
聞きなれた声「ジャック?!・・・よかった・・目が覚めたか・・・」
ジャック「こ、ここは・・・?!・・・・兄さん、その姿は・・一体・・・」
兄弟の必殺技に苦しめられつい先ほど、謎の敵に飲み込まれてしまったばかりだった。
聞きなれた声に呼び覚まされ、意識を失っていたジャックは目を覚ました。
ジャックが目にしたのは驚愕の光景だった。
ジャック「こ、これは・・・一体・・・・・」
マン「ここはあの化け物の体内だ・・・」
ジャック「・・では、わたしたちはやはり取り込まれてしまったのですね」
マン「あぁ・・・名前はエヌピーと言うらしい」
ジャック「どこでそれを?」
マン「そこを見るんだ・・・」
ジャック「こ、これは・・・バルタン星人?!・・・」
マン「あぁ・・1人目の被害者、そしてエヌピーの生みの親だそうだ」
ジャック「そ、そんな・・・くそっ、とれない!」
敵の名前、自分が置かれた状況・・・ウルトラマンから話を聞きながら少しずつ冷静になっていくジャック。
手足が肉の壁に飲み込まれており引き抜こうにも一体化でもしたかのように抜ける気配がない。肉の壁が柔らかいため、引っ張ると多少は動くものの、そのまま引き戻されてしまう。
ジャックにはまだ四肢にも残された部分があるのだが、隣にいるウルトラマンは腕や脚の付け根までが肉の壁に埋没し動かすことが出来るのは首から上だけであった。
脈動する不気味な空間には奥にある巨大な塊と石版の様にされたバルタン星人、そして捕まったウルトラマンとジャックだけが存在していた。
奥で脈動する肉の塊は壁とは違い一際激しく動いており、そこにはどこかで見たような記憶のかなたにある・・そんなものが見え隠れしていた。
マン「バルタンはブルトン、アメーザ、イフの3つを融合し、生物兵器を作るつもりだったようだ」
ジャック「・・・?!・・・じゃあ、まさかのあの塊・・・」
マン「あぁ、どうやら怪獣たちはあそこで一塊になっているようだ」
ジャック「な、何故、わたしたちはここに・・・?」
マン「それは、バルタン・・こいつの執念が原因だろう・・・おまえも聞いただろう?」
ジャック「・・・?!・・・オマエモ・・イッショ・・・あれはそういう意味なのか!」
マン「あぁ・・・そして、バルタンは全ての真相を話し、この姿になったんだ」
ジャック「くそっ・・・なんとかここを脱出しないと・・」
二人が脱出のために頭を悩ませている頃、エヌピーは確実増えつつある頭脳で次の獲物を狩に行く前に必要な「物」を取りにいっていた。
ウルトラ戦士でさえも簡単に取り込める彼に狙われた獲物は逃げることは出来なかった。
あるものは栄養分として・・・あるものは丈夫な体を狙われ・・・・そして・・・・。
マン「・・・?!・・・な、なんだ・・」
ジャック「心臓部が蠢いている・・・」
マン「あ、あれは・・・」
ジャック「サータン?!・・・」
エヌピーは能力を奪うために特殊な怪獣たちもターゲットにしているようだった。
ジャックと戦ったこともあるサータンには体を透明にする能力がある。
地球で戦った時にはジャックも苦戦を強いられた能力の1つであり、それが今、エヌピーの物になってしまうことが二人には恐怖だった。
ジャック「この上・・姿まで見えなくなるのか・・・・」
マン「な、なんとかしてセブンたちに知らせないと・・」
蠢く心臓の機能を担う肉の塊にサータンが加わり、より禍々しく・より強力な脈動を始めた。
この空間で変化が訪れたのは心臓だけではなかった。
ジャック「なっ・・・兄さん、そ、それは・・・?!」
マン「・・・最初はジャック・・お前の様に四肢の一部だけ・・・そして」
ジャック「・・?!・・・くそっ、飲み込まれていっているのか・・」
マン「付け根まで取り込まれると、今度は薄い膜が侵食してくるんだ」
ジャック「・・・?・・・」
マン「そして、膜が体の全てを覆い尽くすと・・・」
ジャック「ま、まさか・・・」
マン「あぁ・・・バルタンのように石化してしまう仕組みのようだ」
ジャック「ま、まだ時間はあります!諦めないで打開策を見出しましょう!」
マン「そ、そうだな・・・」
不安と恐怖に瞳の光に陰りが見えるウルトラマンを必死に励ますジャック。
しかし、そんなジャックも四肢の付け根が飲み込まれつつあり、確実に石化への末路を辿っていることに焦りを感じていた。
バルタンが石になる瞬間を見ていたウルトラマンの心は恐怖に染められ、心は暗く沈み始めていた。精神状態に反応してなのか、肉の壁から出ているウルトラマンの四肢の末端から徐々に半透明な膜が体を覆い始めていた。ゆっくり舐めるようにじっくりと・・・。
バルタンの生み出した融合生物「エヌピー」
実験室を飛び出し、次元を滑るように移動し最初の目的「ウルトラマン」の元に現れた。
「オマエモ・・・イッショニ・・・・」謎の言葉を放ち、その言葉通りにウルトラマンを自らの体で包み込み、体内へと飲み込んでしまったのだ。
そして、真っ白だった体にカラータイマーが現れ、体に幾分か筋肉がついたようにも見えた。
しばらくは月面に立ち尽くし、動きのなかったエヌピーだったが、不意に動き出したかと思うと次元に滑り込むように入り込みどこへともなく消えてしまった・・・体内に飲み込んだウルトラマンと共に・・・。
その頃、火星周辺をパトロールしていたウルトラマンジャック。
彼もまたウルトラマン同様に宇宙の平和の維持のために尽力していたのだ。
火星に降り立ち一休みをしていたところだった。
不意に感じた違和感に注意を向けていたところ・・・・・
ヌゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ・・・・
ジャック「・・?!・・な、なんだ!」
エヌピー「ヴヴヴヴ・・ジャック・・・・オマエモ・・・・・」
ジャック「何?どういうことだ?」
以前よりも知能が増したのか、ジャックに話しかけ勢いをつけて走っていく。
その移動の仕方も徐々に無駄のない動きになりつつあった。
ジャック「何者かわからないが、挑んでくるのなら問答無用!これをくらえ!!」
エヌピー「ヴヴヴヴヴヴヴ・・・・・・」
ジャックの言葉にも耳を貸さず突進し続ける白の化け物。
ジャック「ストップ光線!」
両手の間から放たれた光がエヌピーに命中する!
その瞬間、わき目も振らずに進んでいたエヌピーの体が停止したのだ。
ジャック「よし、今がチャンス!・・・?!・・・・」
ストップ光線で狙い通りにエヌピーの動きを止め、攻撃に移ろうと思った瞬間、思わぬ反撃を受けてしまったのだ。
ジャック「(体が・・・動かない・・・・?!・・・これは・・ストップ光線なのか)」
本来、動きの止まった敵が反撃できるはずがなかった。
光線が命中したことで油断したのかもしれない。
エヌピーがカウンターで放ったストップ光線をまともに受けてしまったのだ。
ジャック「・・・・・?!・・・はぁ・・はぁ・・はぁ・・・・・」
エヌピー「・・・・・・・・・・・・・・・・ヴヴヴヴヴヴ・・・・」
カウンターとは言え、未熟なストップ光線だったため、一瞬早くジャックの方が硬直から解放されていた。
肩で息をしながらも、距離をとるジャック。
カウンターで放った光線の効果を悟ったエヌピーはうなり声を上げながらストップ光線を全身のいたるところから光弾として放ち始めた。
ジャックは光線をよけるのが必死で反撃の余地などなかった。
そんな戦いも長くは続かず、光線がついにジャックの体にも着弾し始めてしまった。
ジャック「しまっ・・・・(まずい・・・一方的に動きを止められてしまった)」
着弾してからは一定間隔でストップ光線が放たれジャックは動きを止められ続けた。
未熟なストップ光線でも十分な脅威となった瞬間だった。
ジャック「(このままでは・・・エネルギーがもたない・・・・)」
そんな死の予感が頭をよぎったジャックの目の前でエヌピーは予想外な動きをし始めた。
両腕をクロスさせて体を回転させ始めたのだ。
そう・・・ウルトラマンが得意とする技にそっくりな動きをしているのだ。
ジャック「(何故、あいつがキャッチリングを?!)」
未だ動かない体で目の前の現象に困惑してしまう。
回転する白い化け物の体の回りには光とは違う輪が3つ生じふわふわと浮かんでいる。
そして、輪が空中に投げ出されるとジャックの体に狙いを定めたかのようにゆっくりと下降してくる。
ジャック「・・・・・くはぁっ・・はぁ・・・はぁ・・・」
エヌピー「ヴヴヴヴヴヴ・・・・・ヴヴヴヴヴヴ・・・ヴッ!」
ジャック「・・?!・・ぐわぁぁぁぁぁぁぁっ・・・・くる・・し・・いっ・・・・」
リングが3本共ジャックの周囲を浮遊したところでストップ光線の効果が切れた。
しかし、時はすでに遅く、ジャックの体はリングの効果範囲に封じられていた。
エヌピーの掛け声に合わせて光速で絞まるリング。
ジャックは両手を体に沿わせ、両膝、腹部、両肘の部分で拘束されてしまった。
その締め上げる力は相当なもので、骨が軋む音が今にも聞こえそうなほどだった。
ジャック「んぐわぁぁぁぁぁぁっ・・・ぐっ・・・」
エヌピー「ヴヴヴヴヴヴ・・・ジャック・・・・オマエモ・・・イッショ・・・」
ジャック「お前・・・も・・だとっ・・・・・がぁぁぁっ・・・・どういう・・・ことだ・・・」
エヌピー「ヴヴヴヴヴ・・・・」
ジャックの体を締め上げるリングはエヌピーの肉片で出来ていた。
その忌まわしきリングは締め上げると同時に体に付着し、広がり始めていた。
徐々に徐々にジャックの体を侵食し、3箇所の拘束箇所から表面を包み込んでいく。
空中に浮かびモゴモゴともがくことしか出来ないジャックの体は瞬く間に肉片に覆い尽くされウルトラマンの時と同じ悪夢が再現されようとしていた・・・。
エヌピーの前には顔だけが残されたジャックが悶絶を続けているのだ。
ジャック「か、体が・・・ぐっ・・・ぐわぁぁぁぁっ・・・・」
表面は肉片に覆われているものの、その皮下では締め付けが尚も続いておりジャックには地獄の時間だった。
そして、その悲鳴をBGMにしてゆらりゆらりと歩み寄るエヌピー。
あまりのダメージに瞳が明滅するジャック・・・そして、ついに最期の時が訪れた。
苦しむ光の国の戦士の頬を優しく包み、口付けをするエヌピー。
その接触した口を介して肉片が獲物の顔を多い尽くしていく。
ジャック「んごっ・・んんっ・・・んっ・・・・・・・・っ・・・・・・・・・・・・」
消耗しきった体では抵抗する力も残っておらず、容易く手中に収められてしまう光の戦士。
そして、完全な肉の塊になり蠢いたかと思うと、再び人の形をとったエヌピー。
その胸にはタイマーが2つ輝いていた。
体つきは確実に筋肉が増していき、両手首には金色に輝くブレスレットが装着されていた。
その頃・・・・
聞きなれた声「・・ック・・・ジャック・・・・ジャック!しっかりしろ!」
ジャック「・・・んっ・・・んんっ・・・・」
聞きなれた声「ジャック?!・・・よかった・・目が覚めたか・・・」
ジャック「こ、ここは・・・?!・・・・兄さん、その姿は・・一体・・・」
兄弟の必殺技に苦しめられつい先ほど、謎の敵に飲み込まれてしまったばかりだった。
聞きなれた声に呼び覚まされ、意識を失っていたジャックは目を覚ました。
ジャックが目にしたのは驚愕の光景だった。
ジャック「こ、これは・・・一体・・・・・」
マン「ここはあの化け物の体内だ・・・」
ジャック「・・では、わたしたちはやはり取り込まれてしまったのですね」
マン「あぁ・・・名前はエヌピーと言うらしい」
ジャック「どこでそれを?」
マン「そこを見るんだ・・・」
ジャック「こ、これは・・・バルタン星人?!・・・」
マン「あぁ・・1人目の被害者、そしてエヌピーの生みの親だそうだ」
ジャック「そ、そんな・・・くそっ、とれない!」
敵の名前、自分が置かれた状況・・・ウルトラマンから話を聞きながら少しずつ冷静になっていくジャック。
手足が肉の壁に飲み込まれており引き抜こうにも一体化でもしたかのように抜ける気配がない。肉の壁が柔らかいため、引っ張ると多少は動くものの、そのまま引き戻されてしまう。
ジャックにはまだ四肢にも残された部分があるのだが、隣にいるウルトラマンは腕や脚の付け根までが肉の壁に埋没し動かすことが出来るのは首から上だけであった。
脈動する不気味な空間には奥にある巨大な塊と石版の様にされたバルタン星人、そして捕まったウルトラマンとジャックだけが存在していた。
奥で脈動する肉の塊は壁とは違い一際激しく動いており、そこにはどこかで見たような記憶のかなたにある・・そんなものが見え隠れしていた。
マン「バルタンはブルトン、アメーザ、イフの3つを融合し、生物兵器を作るつもりだったようだ」
ジャック「・・・?!・・・じゃあ、まさかのあの塊・・・」
マン「あぁ、どうやら怪獣たちはあそこで一塊になっているようだ」
ジャック「な、何故、わたしたちはここに・・・?」
マン「それは、バルタン・・こいつの執念が原因だろう・・・おまえも聞いただろう?」
ジャック「・・・?!・・・オマエモ・・イッショ・・・あれはそういう意味なのか!」
マン「あぁ・・・そして、バルタンは全ての真相を話し、この姿になったんだ」
ジャック「くそっ・・・なんとかここを脱出しないと・・」
二人が脱出のために頭を悩ませている頃、エヌピーは確実増えつつある頭脳で次の獲物を狩に行く前に必要な「物」を取りにいっていた。
ウルトラ戦士でさえも簡単に取り込める彼に狙われた獲物は逃げることは出来なかった。
あるものは栄養分として・・・あるものは丈夫な体を狙われ・・・・そして・・・・。
マン「・・・?!・・・な、なんだ・・」
ジャック「心臓部が蠢いている・・・」
マン「あ、あれは・・・」
ジャック「サータン?!・・・」
エヌピーは能力を奪うために特殊な怪獣たちもターゲットにしているようだった。
ジャックと戦ったこともあるサータンには体を透明にする能力がある。
地球で戦った時にはジャックも苦戦を強いられた能力の1つであり、それが今、エヌピーの物になってしまうことが二人には恐怖だった。
ジャック「この上・・姿まで見えなくなるのか・・・・」
マン「な、なんとかしてセブンたちに知らせないと・・」
蠢く心臓の機能を担う肉の塊にサータンが加わり、より禍々しく・より強力な脈動を始めた。
この空間で変化が訪れたのは心臓だけではなかった。
ジャック「なっ・・・兄さん、そ、それは・・・?!」
マン「・・・最初はジャック・・お前の様に四肢の一部だけ・・・そして」
ジャック「・・?!・・・くそっ、飲み込まれていっているのか・・」
マン「付け根まで取り込まれると、今度は薄い膜が侵食してくるんだ」
ジャック「・・・?・・・」
マン「そして、膜が体の全てを覆い尽くすと・・・」
ジャック「ま、まさか・・・」
マン「あぁ・・・バルタンのように石化してしまう仕組みのようだ」
ジャック「ま、まだ時間はあります!諦めないで打開策を見出しましょう!」
マン「そ、そうだな・・・」
不安と恐怖に瞳の光に陰りが見えるウルトラマンを必死に励ますジャック。
しかし、そんなジャックも四肢の付け根が飲み込まれつつあり、確実に石化への末路を辿っていることに焦りを感じていた。
バルタンが石になる瞬間を見ていたウルトラマンの心は恐怖に染められ、心は暗く沈み始めていた。精神状態に反応してなのか、肉の壁から出ているウルトラマンの四肢の末端から徐々に半透明な膜が体を覆い始めていた。ゆっくり舐めるようにじっくりと・・・。